焼き物の着物(色彩)67 古唐津 4(奥高麗)
4) 奥高麗に付いて。 千利休が「ねのこ餅」と呼ばれる奥高麗茶碗を所持していた事はすでに多くの人々によって 指摘されています。その茶碗が唐津で作られた事も確かの様です。 筒形(つつなり)と奥高麗茶碗としては、珍しい形です。 ・ 奥高麗筒茶碗 銘 ねのこ餅(もち): 高さ 10.4cm、口径 9.5cm、高台径 5.5cm...
View Article焼き物の着物(色彩)68 古唐津 5(絵唐津1)
朝鮮から渡来した陶工達は、革新的な二つの技法をもたらします。 一つは以前にお話した(割竹式)登窯の使用です。中世までは窖窯(あながま)が使われていました が、より効率的な登窯が導入されます。 二つ目は蹴(け、又はけり)轆轤の使用です。 従来の轆轤は手回轆轤といわれる物で、回転盤の端に設けられた複数の小穴に、回し棒を差込手で...
View Article焼き物の着物(色彩)69 古唐津 6(絵唐津2)
5) 絵唐津に付いて。 ? 絵付けされた作品。 作品の種類は、代表的な壷や茶碗の他、大皿、水指、花生、向付、大鉢、片口、茶入、香炉、 香合など多種多様です。中でも茶陶と関係深い、茶碗や向付、皿や鉢類に多く見られます。 ?) 作品のほとんどが轆轤水挽法で作っています。後で述べる、四方(よほう)向付や、...
View Article焼き物の着物(色彩)70 古唐津 7(絵唐津3)
5) 絵唐津に付いて。 ? 絵付けされた作品。(前回の続きです) ?) 皿類に付いて。 壷や茶碗などは絵を描く面が湾曲し、しかも面積も狭いですが、皿は平面な面積も広い為 描く絵も伸び伸びとしています。絵唐津は皿類の物が一番良く、絵柄も豊富の様に見えます ・ 絵唐津松文皿: 17世紀(江戸初期)。 出光美術館蔵。 高さ 9.0cm、口径 36.2cm、底径...
View Article焼き物の着物(色彩)71 古唐津 8(黒、三島、二彩唐津、他)
唐津焼きの種類は、斑唐津、朝鮮唐津、絵唐津の他に幾つかの焼き物があります。 1) 黒唐津: 黒い釉肌の唐津焼を言います。この方法には二つ方法があります。 ? 濃い飴釉の掛かった物: 釉に酸化鉄が含まれる為、酸化焔で焼成すると茶色〜黒色の釉肌に 成ります。 ? 灰黒色の釉肌になる物: 蛇蠍(じゃかつ)唐津と呼ぶ場合もあります。...
View Article焼き物の着物(色彩)72 高取焼と上野焼1
高取焼も上野(あがの)焼も共に福岡県の焼き物ですが、秀吉による朝鮮出兵の文禄、慶長の役後に 朝鮮よりの渡来人の手によって新たに興った窯です。 但し、唐津焼が大いに発展したのに対し、この両窯では大きな発展は見られませんでした。 その理由は、領主の御用窯として活動し、陶工の数も少なかった為とも言われています。 1) 高取焼。 高取焼は、筑前博多五十二万石の領主の黒田藩の御用窯として始まります。...
View Article焼き物の着物(色彩)73 高取焼と上野焼2
上野(あがの)焼は、豊前(現在の福岡県)小倉に三十七万石の居城を構えた、細川藩の藩主細川 忠興(号は三斎)が1602年(慶長七年)以降に興された御用窯です。「三斎公のたのしみ窯」と 言われたそうです。 注: 細川三斎(1563〜1646年)は、千利休の弟子で利休が秀吉の怒り受け、京から堺に 下る際、古田織部と伴に伏見まで見送った事でも知られる茶人です。 1) 上野焼の開窯。...
View Article焼き物の着物(色彩)74 古薩摩 1
薩摩焼とは、九州の薩摩島津家藩主領内の、広い範囲で焼成された陶磁器の総称です。 但し、藩内のかなり広い範囲に、数多くの窯が築かれ、その結果焼かれた作品は、黒物(くろもの) や白磁、染付、色絵、錦手、三彩など幅広い分野の焼き物が作れています。 これは、渡来した陶工の人数が多い事と、更に朝鮮の各地の窯場から連れて来られた為、各自独自の...
View Article焼き物の着物(色彩)75 古薩摩 2
古薩摩はには、黒薩摩、白薩摩、三島手、染付、色絵など色々な焼き物があります。 薩摩焼の系譜として「竪野系」、「龍門司系」、「苗代川系」、「 西餅田系」、「平佐系」と大別され、 作られていた作品に若干の差があります。 2) 古薩摩の作品。 ? 竪野野窯 細川義弘の跡を継いだ家久は、居城を鹿児島に移します。渡来人の金海らも藩主に従い、城に...
View Article焼き物の着物(色彩)76 古薩摩 3
2) 古薩摩の作品。 ? 苗代川(なえしろがわ)窯 現在の薩摩焼で一番著名な窯は、苗代川窯です。沈寿官吏(ちんじゅかん)氏を始め、多くの 窯が現在でも活動しています。龍門司が共同組合的な経営なのに対し、苗代川では個人経営が 行われている事もあって、人気があると思われています。又他の窯と違い、「御用窯」的 要素は無く、独自の形態を守り続けています。 ?) 苗代川の開窯。...
View Article焼き物の着物(色彩)77 古萩焼 1
江戸時代の茶陶で最も著名な焼き物は、楽焼と萩焼と言われています。 但し、萩茶碗の名声が高まるのは、江戸中期以降と見なされています。江戸初期の頃は「萩焼」の 名前は無く、上野焼や高取焼の方が茶会記に多く登場していました。 江戸中期から後期に掛けて、千家流で大いに賞賛され用いられる様になると「一楽二萩三唐津」と 言われる程になります。特に萩茶碗が主で他の作品の伝世品は少ない様です。 1) 萩焼の開窯。...
View Article焼き物の着物(色彩)73 古萩焼 2
3) 古萩焼の特徴。 ? 茶碗の種類。 ?)古萩焼の茶碗では、初期には形や装飾方法など、朝鮮の高麗茶碗風の焼き物を作ってい ました。 即ち、高台などに特徴が現れています。 a) 竹節高台: 井戸風や熊川(こもがい)、雨漏茶碗に見られる高台です。 注:竹節高台とは、高台の外側が竹の節状になった物です。 b) 割高台:...
View Article焼き物の着物(色彩)79 染付1 (景徳鎮1)
「染付」とは、白磁の素地にコバルトを原料にした「呉須(ごす)」と呼ばれる青又は紺色の顔料で 文様を描き(下絵付)透明釉を掛けて高温(1300℃程度)で焼き上げた彩画磁器の事で、中国では 青花(せいか)とも呼ばれています。但し「染付」は我が国の呼び名で、韓国では「青華白磁」、 英語では「ブルー アンド ホワイト」と言います。 尚、鉄絵の技法は青花の出現より、かなり以前から行われていました。 1)...
View Article焼き物の着物(色彩)80 染付2 (景徳鎮2)
2) 青花の誕生。 ? 元の青花磁器の器種と文様。 元の時代の青花磁器の種類は、盤(皿類)、鉢、壷、偏壷、梅瓶、瓢形瓶、玉壷春瓶(ぎょくこ しゅんへい)、その他、酒器、文房具、室内装飾品の器などがあります。 ?) 中国国内で出土する元時代の盤の大きさは、口径が20cm前後のものが多いです。 しかし、イスラム世界での伝世品する同時代の青花磁器の大きさは40〜60cmと大型の...
View Article質問9 楽焼とガス窯について
坂下様より、以下の質問を頂戴しました。 楽焼ですが私は小型ガス窯一般用しか持ってませんが、その窯で楽焼をやる方法を教えて下さい。 800度になったらどういうことをすればいいでしょうか。 明窓窯より 楽焼は800℃程度の低い温度で焼成する焼き物です。 楽焼の方法には、主に二つの方法があります。 A) 800℃程度に昇温した窯に、作品を入れ釉が熔けた段階で、鉄の火箸で挟み出す方法です...
View Article焼き物の着物(色彩)81 染付3(景徳鎮3)
3) 中国明代(1368〜1644年)の景徳鎮窯。 1368年、貧しい農民の生まれと伝えられている、漢民族の「朱元璋(洪武帝)」が、「元 (モンゴル帝国)」を倒し、南京に「明王朝」を建国します。「元」の支配していた東アジアから ヨーロッパに掛けての広大な地域は「明」がそのまま引き継ぐ事になります。 ? 龍泉窯、磁州窯、鈞窯(きんよう)は、元の滅亡と伴に衰退し、地方窯として存在する様に...
View Article焼き物の着物(色彩)82 染付4(景徳鎮4)
? 青花磁器の様式。 ?) 宣徳期の青花磁器。 宣徳は1426〜1435年のわずか10年程でしたが、この時期の青花磁器は、永楽期に続き、 黄金期を向かえます。この時期の青花の皿の底には、「大明宣徳製」の年款銘が記されて います。製品は、精緻で宮廷磁器として完成度が一段と上がっています。 宣徳期の製品は、国外に輸出する事が禁じられた関係で、中近東では数が少ないです。...
View Article焼き物の着物(色彩)83 染付5(景徳鎮5)
中国の「元時代」や「明時代」に造られた青花(染付)磁器は、多くはイスラム各国などに輸出 されていますが、我が国にももたらされていました。特に沖縄の琉球王国には多数の青花磁器が 存在していました。但し、日本本土では、20数箇所より少量の陶片が出土しいるとの事です。 4) 沖縄琉球王国と青花磁器。 わが国で最初に「染付」の記載があるのは、南北朝時代の東坊城秀長の日記「迎陽記(げい...
View Article焼き物の着物(色彩)84 古伊万里焼1
我が国の近代工芸は、江戸時代(前期〜幕末)からとされています。 時の権力は豊臣家から徳川家に移り、幕藩体制が確立するに従い、従来と様相が異なる様になります 即ち、焼き物製作が領主経済と結び付き、藩政によって保護され、更に藩の専売制度や、各地の 問屋制度が充実するに従い、作業は分業化され、量産体制へと順次移行してゆきます。...
View Article焼き物の着物(色彩)85 古伊万里焼2
4) 古伊万里の特徴 ? 初期伊万里の技術的特長。 1605〜1633年前後に有田内山、外山地域で焼かれた磁器製品を「初期伊万里」又は「初期 有田」といいます。 ?) 素地の材料は、磁器、又は半磁器土です。 ?) 成形技術は、古唐津系の陶器の造り方に似ています。即ち、碗や皿、瓶類は高台が高く 径が小さ目で、底や高台の削り方は古唐津の技術を継承しています。 ?)...
View Article