坂下様より、以下の質問を頂戴しました。
楽焼ですが私は小型ガス窯一般用しか持ってませんが、その窯で楽焼をやる方法を教えて下さい。
800度になったらどういうことをすればいいでしょうか。
明窓窯より
楽焼は800℃程度の低い温度で焼成する焼き物です。
楽焼の方法には、主に二つの方法があります。
A) 800℃程度に昇温した窯に、作品を入れ釉が熔けた段階で、鉄の火箸で挟み出す方法です
急熱急冷を行う事で、鮮やかな黒色に発色します。これを「引き出し黒」と言います。
尚、当ブログでは主にこの方法に付いて述べています。
B) 一般の本焼き(1200〜1250℃)と同様な方法で、800℃程度で行う方法です。
即ち、高温の窯の中に作品を出し入れしない方法です。これを「置き冷まし」と言います。
歴史的にはこの方が、古いやり方です。
◎ では本題に入ります。
一般に、楽焼は楽焼専用の窯を使います。この窯は胴の横方向、又は天井部に作品を出し入れ
する小窓(蓋)が付いていますので、加熱状態で作品の出し入れが可能です。
今回は小型ガス窯一般用での楽焼をご希望です。
1) 焼きたい作品の種類と、焼く数に応じて考える必要があります。
「黒楽茶碗」を焼きたい場合や、短時間で連続して多数の作品を焼成したい場合には、
A)の方法を採ります。「黒楽茶碗」以外の作品(例えば人形などの置物)であれば、
B)の方法が危険も無く無難な方法です。
2) A)の方法では、高温(800℃以上)の窯の扉を開ける必要があります。
? 当然、作品は楽焼用の釉で施釉された状態で、表面が乾燥している必要があります。
手早く作品の出し入れをする為にも、作品の準備や窯の周囲の整理整頓が大切です。
? 扉を開ける際、ガスが点火した状態ですと危険ですので、なるべく火は止めた状態にしたい
です。炎が直接身に迫ると危険です。
? 扉を開けると、開いた状態(隙間)と開いている時間によって違いますが、確実に窯の温度は
下がりますので、850〜900℃程度まで上げておいた方が良いでしょう。
窯によっては、1〜2分程度で、直ぐに100℃下がる事も稀ではありません。
作品は、手早く取り出し易い状態で窯に並べます。横扉では手前側に置きます。
作品の一つ以上は、色味穴から釉の熔け具合が見られる場所が最適です。
? 扉を閉じて再点火し、温度を上げ作品の表面がテカル状態に成れば、釉が熔けていますので
扉を開けて引き出す事が可能です。加熱時間は10〜20分程度です。
この場合も火は止めておく方が安全です。
釉が熔け過ぎると光沢(テカリ)が強く出、熔け不足ではザラツク感じになりますので、
加熱時間を調整します。尚、熔け不足の場合、再度窯に入れて焼く事が出来ます。
? 火が止まっていても、扉を開けると熱風が出てきますので、手袋が必要ですし場合により
眼鏡などを用意した方が安全です。くれぐれも火傷(やけど)をしない様に注意する事です。
更に、前もって作品を火箸で掴む練習をしとおくと、後々役にたちます。
3) B)の補足説明。
楽焼は急冷する事で、黒い色が鮮明に成ります。そこでB)の方法で少しでも早く冷やす方法を
述べます。
? 窯は下段から冷え始めます。それ故、早く冷ましたい作品は、窯の最下段に窯詰めします。
? 放熱を早くする。但し、窯内部を急に冷やすと、窯を痛めるますので、急冷は避けたいです
?) 色味穴などがあれば開く。この程度の穴ならば、火を止めた直後に開いても安全です。
?) 窯の温度が300℃程度に成ったら、扉を徐々に開く。
窯の壁の厚さによって冷えの速度は変わります。
尚、300℃程度に成れば、直接引き出した方が早いかも知れません。
?) 冷えが遅い場合には、扇風機で窯に風を送り込み冷やします。
4) 最後に、800℃程度の温度は素焼きの温度とほぼ一緒です。
それ故、素焼きの作品と一緒に焼く事も可能ですが、素焼きの土が急冷に耐えられない場合
には、窯を急冷する事は危険です。
以上ですが、疑問点などがありましたら、再度質問して下さい。
楽焼ですが私は小型ガス窯一般用しか持ってませんが、その窯で楽焼をやる方法を教えて下さい。
800度になったらどういうことをすればいいでしょうか。
明窓窯より
楽焼は800℃程度の低い温度で焼成する焼き物です。
楽焼の方法には、主に二つの方法があります。
A) 800℃程度に昇温した窯に、作品を入れ釉が熔けた段階で、鉄の火箸で挟み出す方法です
急熱急冷を行う事で、鮮やかな黒色に発色します。これを「引き出し黒」と言います。
尚、当ブログでは主にこの方法に付いて述べています。
B) 一般の本焼き(1200〜1250℃)と同様な方法で、800℃程度で行う方法です。
即ち、高温の窯の中に作品を出し入れしない方法です。これを「置き冷まし」と言います。
歴史的にはこの方が、古いやり方です。
◎ では本題に入ります。
一般に、楽焼は楽焼専用の窯を使います。この窯は胴の横方向、又は天井部に作品を出し入れ
する小窓(蓋)が付いていますので、加熱状態で作品の出し入れが可能です。
今回は小型ガス窯一般用での楽焼をご希望です。
1) 焼きたい作品の種類と、焼く数に応じて考える必要があります。
「黒楽茶碗」を焼きたい場合や、短時間で連続して多数の作品を焼成したい場合には、
A)の方法を採ります。「黒楽茶碗」以外の作品(例えば人形などの置物)であれば、
B)の方法が危険も無く無難な方法です。
2) A)の方法では、高温(800℃以上)の窯の扉を開ける必要があります。
? 当然、作品は楽焼用の釉で施釉された状態で、表面が乾燥している必要があります。
手早く作品の出し入れをする為にも、作品の準備や窯の周囲の整理整頓が大切です。
? 扉を開ける際、ガスが点火した状態ですと危険ですので、なるべく火は止めた状態にしたい
です。炎が直接身に迫ると危険です。
? 扉を開けると、開いた状態(隙間)と開いている時間によって違いますが、確実に窯の温度は
下がりますので、850〜900℃程度まで上げておいた方が良いでしょう。
窯によっては、1〜2分程度で、直ぐに100℃下がる事も稀ではありません。
作品は、手早く取り出し易い状態で窯に並べます。横扉では手前側に置きます。
作品の一つ以上は、色味穴から釉の熔け具合が見られる場所が最適です。
? 扉を閉じて再点火し、温度を上げ作品の表面がテカル状態に成れば、釉が熔けていますので
扉を開けて引き出す事が可能です。加熱時間は10〜20分程度です。
この場合も火は止めておく方が安全です。
釉が熔け過ぎると光沢(テカリ)が強く出、熔け不足ではザラツク感じになりますので、
加熱時間を調整します。尚、熔け不足の場合、再度窯に入れて焼く事が出来ます。
? 火が止まっていても、扉を開けると熱風が出てきますので、手袋が必要ですし場合により
眼鏡などを用意した方が安全です。くれぐれも火傷(やけど)をしない様に注意する事です。
更に、前もって作品を火箸で掴む練習をしとおくと、後々役にたちます。
3) B)の補足説明。
楽焼は急冷する事で、黒い色が鮮明に成ります。そこでB)の方法で少しでも早く冷やす方法を
述べます。
? 窯は下段から冷え始めます。それ故、早く冷ましたい作品は、窯の最下段に窯詰めします。
? 放熱を早くする。但し、窯内部を急に冷やすと、窯を痛めるますので、急冷は避けたいです
?) 色味穴などがあれば開く。この程度の穴ならば、火を止めた直後に開いても安全です。
?) 窯の温度が300℃程度に成ったら、扉を徐々に開く。
窯の壁の厚さによって冷えの速度は変わります。
尚、300℃程度に成れば、直接引き出した方が早いかも知れません。
?) 冷えが遅い場合には、扇風機で窯に風を送り込み冷やします。
4) 最後に、800℃程度の温度は素焼きの温度とほぼ一緒です。
それ故、素焼きの作品と一緒に焼く事も可能ですが、素焼きの土が急冷に耐えられない場合
には、窯を急冷する事は危険です。
以上ですが、疑問点などがありましたら、再度質問して下さい。