焼き物の着物(色彩)86 赤絵1
6) 色絵磁器(赤絵)の誕生。 色絵磁器とは、白磁に赤を主調とし、緑、紫、青などの顔料で上絵付けをした焼き物です。 ? 赤絵の起源。赤絵は中国で発明された技法です。 中国の宋三彩の影響を得て、金王朝代(1115 〜 1234年)に初期の赤絵が誕生したと思われて います。 注: 宋三彩は、白、黄、緑、褐色などの鉛釉を掛けて焼いた軟陶です(三色とは限らない)...
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7) 日本の赤絵。 ? 色絵の顔料(色絵彩料)に付いて。 赤絵は白磁の上に、赤やその他の色絵彩料を筆で塗り、更に低温度(800℃程度)で焼き 付ける方法です。色絵の彩料は、全て鉱物(金属)を使用しています。更に、その色彩は窯の 雰囲気(酸化焔、還元焔)によって発色が異なります。使う金属の種類は以下の様になって...
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7) 日本の赤絵。 江戸前期〜江戸中期(1672〜1772年頃)の約100年間に肥前磁器の生産は黄金期を向かえます。 内外の需要に答える為、有田内山、外山、大外山(杵島、藤津地方)等の広範囲で磁器が製造 されています。 ? 西洋への輸出品。 オランダの東インド会社の磁器貿易が一段と活発化し、品種も多様化して行きます。...
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8) 古伊万里様式と柿右衛門様式。 西欧に大量輸出が行われていた時代に、有田皿山に於いて、古伊万里様式と柿右衛門様式と 異なる二つの色絵磁器が完成されます。両様式とも、個性に富んだ作品を作り出します。 制作工程は、有田皿山の各々の窯で、染付け磁器が作られた後、赤絵町に運ばれ、絵付け専門の 職人によって、上絵が施されます。 ? 柿右衛門様式...
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8) 古伊万里様式と柿右衛門様式。 ? 古伊万里様式。 ?) 伊万里焼の著名な作品。 a) 染付の作品(初期伊万里) ・ 染付竹虎文三脚皿: 谷川を渡る虎が見上げる岩に雉(きじ)が止まっている図柄です 高さ 15.0cm、口径 45.6cm。 ・ 染付葡萄文菊形鉢: 25弁の切れ込みを入れた、菊形の大鉢です。出光美術館蔵。 高さ...
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1) 鍋島焼。 17世紀初期から19世紀後半(1610〜1865年前後)の肥前の有田郷で製造された染付、色絵磁器の 中に、「鍋島焼」と呼ばれる作品があります。 ? 鍋島藩の「御用窯」。 ?) 鍋島とは、肥前鍋島藩窯で焼かれた「鍋島御用焼」の略称で、現在では鍋島藩窯の製品を 「鍋島焼」又は、「鍋島様式」と呼ばれています。...
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1) 鍋島焼 ? 鍋島焼の作品の種類。 鍋島の最盛期は、1690年代〜1750年頃までとされています。 ?) 鍋島焼の主要な作品は、大川内藩窯で制作された物です。1952年(昭和27年)以降行の 大川内山窯跡の発掘調査の結果で判明します。 ?) 作品は、皿、向付などの食器類が多いです。特に皿は円形で、小皿の三寸皿(約 9cm) 中皿の五寸皿(約...
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肥前鍋島焼は、以前述べた様に、一般人に売る為の作品ではなく、藩主が自費を投じて、将軍家 への献上品であり、他の諸大名への贈答品として製作されたものです。 その為、明治四年の廃藩置県により各藩は消滅して財政的に貧窮し、各々所持していた調度品 などは、市場に流出する事になります。 2)鍋島焼の発見。 ? 一般人が目にする事のなかった鍋島は、当然その存在は一部の人のみが知ってた状態でした。...
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3) 鍋島の様式と変途。(前回の続きです) ? 鍋島の文様や絵の描き方も、時代と伴に変化しています。 鍋島で取り扱われた文様の種類は、染付の作品を含め500種類以上あると言われています ?) 盛期(元禄年間)の鍋島の文様。 a) 「元禄柿」銘の皿とは、皿の裏側に元禄の年号が記された作品です。 ・ 最初に現れるのが、「元禄六酉...
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4) 鍋島の国指定の重要文化財の作品。 鍋島は幕府や貴族、各大名や寺社などの支配階級への最高級の献上品や、贈答用の焼き物とし て作られていた為、大切に保管されていました。その為貴重な作品が多く残る事になります。 ? 国指定の重要文化財の作品。 ?) 色絵 岩牡丹植木鉢図大皿: 元禄時代 栗田美術館蔵。 口径 30.7cm、高 8.2cm 底径 15.8cm。 ?)...
View Article焼き物の着物(色彩)96 古九谷1
古九谷焼とは、加賀国江沼郡九谷村(現在の石川県江沼郡山中町九谷)で焼成された、色絵磁器の 事で、江戸の明暦年間(1655〜1658)頃から約4〜50年間に、加賀前田藩の支藩の大聖寺 (だいしょうじ)の藩窯の元で作られた作品の事と言われています。 現在でも、九谷焼は加賀で焼かれていますが、これらは「復興九谷」とも言われ、古九谷と区別 されています。 1) 古九谷焼の特徴。 ?...
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2) 「古九谷」の図柄と様式。 17世紀以降、日本で作られた色絵磁器の中で、有田の柿右衛門、古伊万里、色鍋島や古九谷、 京都の野々村仁清などの評価が高いです。 現在、「伝世古九谷」と呼ばれる色絵磁器は、大小、型物を含めて一万以上あると言われて います。これらは、ある研究者によれば、四つに分類できるとの事です。 ? 古九谷の素地に、大聖寺藩内で上絵付された物。...
View Article焼き物の着物(色彩)98 古九谷3
3) 古九谷の技法。 古九谷色絵の伝世品の名品は、ほとんどが平鉢や大皿類です。 江戸初期以来、中国から輸入された呉須手大皿や平鉢、赤絵の芙蓉手大皿などの大物が もて囃されていた影響で、古九谷でもこの様な平鉢や大皿に色付けした作品が作られたと 思われています。但し、中皿、小皿も存在し、これらは、大皿から取分けて食事する際に使われ たと言われています。 ?...
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4) 平鉢や大皿以外の古九谷の作品。 伝世の古九谷は平鉢や皿類が多いですが、その他の作品も、僅かですが存しています。 ? 手鉢: 鉢の中央を横断する持ち手(把手)の付いた物です。把手の部分は染付です。 ・ 色絵花鳥図手鉢: 重要美術品。 高 9.2cm、口径 22.8cm、底径 16.6cm。 ・ 色絵色紙花鳥図手鉢: 高 9.3cm、口径 22.5cm、底径...
View Article騙しのテクニック1 始めに
この世界では、人を騙す(だます)事が日常茶飯事に行われています。 振り込め詐欺や未公開株の投資や、捏造事件、偽ブランド、偽チケット、偽のサイトさえあります。 多くの場合、金銭的利益を得るのが目的で行われる場合が多いです。 騙しの世界にも、騙すつもりで騙す悪意のあるものから、騙すつもりは無いが、結果的に騙して しまったと言う場合があります。...
View Article騙しのテクニック2 古色付け 1
地球上にいる(又は、ある)あらゆる生物や鉱物は、時の経過とともに一定の法則の下で変化して 行きます。これを経年変化(けいねんへんか)と言います。 1) 経年変化。 ? 経年変化が起きる理由。 ?) 空気中の酸素に触れ、酸化作用(錆びる事)を受けます。但し酸素は地中や水中にも 存在しますが、大気中ほど多くはありません。...
View Article騙しのテクニック3 古色付け 2
2) 発掘品の様な、古色を付ける方法。 ? 古典的な古色の付け方。 ?) 紅茶など、古代色に近い色の液体に漬け、煮しめる事により貫入部分に染込ませて色付け します。 ?) 作品を松や杉の葉などの煙で燻す(いぶす)事で、煙の成分や煙に含まれる脂(ヤニ)を 作品に染込ませる。 ?) サンドペーパー(紙ヤスリ)で表面を擦り、自然に釉が風化した様に見せる。...
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3) 伝世品の経年変化 ? 発掘品と伝世品では、経年変化に差があります。 発掘品の多くは、窯場近くのゴミ捨て場の物原や、住居跡、墳墓から出土した物が多いです。 又、沈没船からの海上り品なども、長い間人の目に触れずに存在していました。一方伝世品は、 代々人が管理し、大切に保管されていますが、多くの場合、実際に使用していたと思われます。...
View Article騙しのテクニック5 古色付け 4
3) 伝世品の経年変化 ? 発掘品と伝世品では、経年変化に差があります。 ? 伝世品の経年変化の特徴。 ?) ホツとニュウに付いて。 a) ホツとは「欠け」の小さな物の事です。ニュウとは「ヒビ」の事です。 但し、「ニュウ」は釉と胎土の両方に入った「ヒビ」で裏側まで達している状態です。 古陶磁にはホツとニュウがある物が多く、茶陶では漆などで補修する場合が多いです。...
View Article騙しのテクニック6 古色付け 5
3) 伝世品の経年変化 ? 伝世品の経年変化の特徴。 ?) 汚れと染み(しみ)について。 伝世品には必づと言って良い程、染みと貫入の汚れ、地肌や釉面の色付き、場合に よっては、雨漏りと呼ばれる汚れ(よごれ)が有ります。但し磁器製品には少なく、陶器 で多く見られる現象です。 a) 汚れの種類。 イ)...
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