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Channel: わ! かった陶芸 (明窓窯)
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焼き物の着物(色彩)89 赤絵4

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8) 古伊万里様式と柿右衛門様式。

  西欧に大量輸出が行われていた時代に、有田皿山に於いて、古伊万里様式と柿右衛門様式と

  異なる二つの色絵磁器が完成されます。両様式とも、個性に富んだ作品を作り出します。

  制作工程は、有田皿山の各々の窯で、染付け磁器が作られた後、赤絵町に運ばれ、絵付け専門の

  職人によって、上絵が施されます。

 ? 柿右衛門様式

   柿右衛門様式と呼ばれる色絵磁器は、オランダ東インド会社の注文による西欧への輸出用の

   焼物で、1670年代〜1690年代にかけて流行した様式です。

   但し、これらは柿右衛門窯のみによって製造された訳ではなく、伊万里の陶工達が総力を

   挙げて作った製品群であった事が、近年の発掘調査で判明されています。

   その特徴は以下の通りです。

  ?) 余白を多く残し、淡い色調で文様を優雅に描きます。

  ?) 濁手という乳白色の素地に、余白を生かした絵画的な構図の作品となっています。

    作品は、皿、鉢、壷、瓶、蓋物が多いです。その他に色絵人形があります。

  ?) 赤や黒で細く輪郭を描いた後、赤、緑、黄で着色された文様が特徴です。

    文様は秋草文、菊文、花鳥文、粟鶉(あわうずら)文、双鳳牡丹文、蓮牡丹文、山水文

    などがあります。

  ?) 土型を用いて、薄手で同じ形が出来る技法も採っています。

    土形を利用して、六角や八角形の壷や鉢、五弁の輪花鉢などが作られます。

  ?) 柿右衛門様式として、著名な作品として以下のものがあります。

    a) 色絵花鳥文鉢、重要文化財: 17世紀後半、東京国立博物館蔵。

      高さ 21.3cm、 口径 30.3cm、 底径 16.3cm

    b) 色絵花鳥文瓢形瓶: 17世紀後半、 梅沢美術館蔵。

      高さ 40.2cm、 口径 7.6cm、 底径 12.6cm

    c) 色絵双鳳牡丹唐草文皿: 17世紀後半、 東京国立博物館蔵。

      高さ 7.0cm、 口径 35.2cm、 底径 19.4cm

    d) 色絵粟鶉文八角鉢: 17世紀後半、 救世箱根美術館蔵。

      高さ 7.5cm、 口径 24.2cm、 底径 13.0cm

    e) 色絵秋草文輪花鉢、: 17世紀後半

      高さ 21.3cm、 口径 30.3cm、 底径 16.3cm

    f) 色絵花卉(かき)文輪花鉢: 17世紀後半

      高さ 10.5cm、 口径 23.7cm、 底径 11.3cm

    g) 色絵人形:17世紀後半。高さ 30.2cm。 26.5cm。 26.5cmなど数体あります。

      我が国には現在、立姿や立膝(ひざ)姿の婦人の像が多く存在しますが、これらは

      ヨーロッパに輸出されスエーデン王室や英国王室などで、収集された物が近年逆輸入

      された物が多いです。当時の寛文〜元禄に掛けて流行した「御所髷(まげ)」と呼ば

      れる髪形です。衣装も当時流行った「寛文雛形」と呼ばれるものです。     

  ?) 柿右衛門様式の作品はヨーロッパに数多く輸出され、ドイツのマイセン窯等で模倣され

    ました。その繊細で優美な作風がヨーロッパの王侯貴族を魅了します。

 ? 古伊万里様式。

  「古伊万里様式」は、それまで流行していた「柿右衛門様式」に替わり、元禄期(1688〜1704)

   に生まれます。伊万里の歴史上で、最高技術の作品は、元禄期を中心にできた染付けの

   器です。染付の藍色の素地に、上絵の赤、緑、黄色などで装飾した作品です。

  ?) 初期伊万里

   a) 伊万里焼の初期の焼き物で、ほとんどが染付です。

    素焼きの技術はなく、生掛の為、焼成で貫入が入ったり、途中で割れる事も多かった様です

   b) 作品は小皿や中皿類が多く、大皿(尺〜尺五)の割合は少ないです。

    更に、大皿では無傷のものは、ほとんど有りません。 

   c) 皿の特徴は、高台が小さく(直径の1/3位)、そして、生掛けの為、何処かに必ず手跡が

    付いています。更に、生地は肉厚に成っています。

   d) 初期伊万里焼の作品は、昔から評価が高く、日本の鑑賞陶器としては、随一と言われて

    います。

  ?) 前期伊万里(藍九谷、古九谷)

   図柄や作風が古九谷の雰囲気に似ている為に、数十年前に藍九谷という名が付いた様です。

   初期の品物より完成度が上がっています。

   中でも、前期と後期があり、高台の直径は、初期の物が大きくなります。

   前期のものは生掛けですが、後期になると素焼きをした薄手の生地になります。

  ?) 藍柿(盛期伊万里)

   藍柿は、元禄を中心にして作られた染付けの最上手の器です。

   色絵や染錦もありますが、染付のものに限って使われる名称です。

   又、染付した物に、後で色を付けたも物もあります。

   a) 生地は白くて最高の土が使われています。その為、染付の色合も最高の物と成っています

  ?) 元禄古伊万里。

   元禄時代を中心に作られた 染付、色絵、染錦手の伊万里焼きを指します。

   染付や染錦の品物は、外国向けに作られた大きい品物が多く、柿右衛門手と比べると、生地が

   鼠(ねずみ)色がかった感じがします。

   ・ 型物古伊万里。型を使って作った様な、揃った形の作品で、見込みに染付で荒磯文や

     琴高仙人図など中国風な文様を描き、周囲には内外ともに濃密な色調で花唐草文などを

     描くもので、元禄期の華やかさを描き出した器です。 

   ?) 伊万里焼の著名な作品。

9) 金襴手様式

以下次回に続きます。

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