騙しのテクニック25 よく有る贋作3(常滑)
2) 我が国中世の焼き物の贋作。(前回の続きです。) 常滑は、中世古窯の中で、最大の規模を誇り、現在までに確認されている古窯址は、千数百基と 言われています。未確認の物も含めると三千基以上存在すると、思われています。 ? 常滑焼: 知多半島にある、中世最大の窯場です。 常滑では、平安末期〜室町時代に掛け、知多半島の全域で山茶碗や壷などの、雑器を焼いて...
View Article騙しのテクニック26 よく有る贋作4(伊賀、備前)
2) 我が国中世の焼き物の贋作。(前回の続きです。) ? 伊賀焼 ?) 土に付いて。 信楽と伊賀の土は同一地層に存在し、その区別は困難と言われています。 それ故、土の違いから、信楽と伊賀を見分ける事は難しい様です。 但し、江戸初期頃までの、古信楽と古伊賀と呼ばれる作品に付いては、若干の相違があると 言われています。その相違とは、 a)...
View Article騙しのテクニック27 よく有る贋作5(丹波、越前)
2) 我が国中世の焼き物の贋作。(前回の続きです。) ? 丹波焼(たんばやき)。 丹波焼も中世から近世にかけて、無釉の素朴な焼き締め陶器を生産していました。 ?) 起原は、摂津(せっつ)と播磨(はりま)の国境に接する、丹波国小野原荘(現在の 兵庫県多紀郡今田町周辺)に興った焼き物です。 ?) 丹波焼の時代区分。 a) 窖窯時代(小野原時代):...
View Article騙しのテクニック28 よく有る贋作6(越前、珠洲)
2) 我が国中世の焼き物の贋作。(前回の続きです。) ? 越前焼の贋作。 昨今の「古陶ブーム」に乗り、お歯黒(おはぐろ)壷が注目を集め、贋作が作られる様に なります。 ?) 既婚の女性が歯を黒く染める風習は、江戸時代以前からありましたが、一般に広がるのは 江戸時代以降と言われています。...
View Article騙しのテクニック29 よく有る贋作7(施釉陶器1、猿投)
尾張地方(愛知県)の南部に位置する、猿投山西南麓古窯址群(猿投窯)は、奈良時代〜鎌倉時代 に掛け、須恵器から山茶碗までを製造していました。その間約900年の歴史を持つ日本屈指の窯場 です。その窯址の数は1000基を超えると言われています。 1) 猿投窯(さなげよう)。 奈良、平安時代は、猿投の最盛期と言われ、灰釉を施釉した、多種類の焼き物を生産しています ? 焼き物の種類。...
View Article騙しのテクニック30 よく有る贋作8(施釉陶器2、古瀬戸)
現在でも焼き物を生産している愛知県の瀬戸市は、鎌倉時代初期から凡そ1000年の歴史を誇る、 一大焼き物の産地です。 古瀬戸とは、鎌倉、室町時代から中世までの間、我が国唯一の施釉陶器が生産された焼き物を言い ます。当時は宋(中国)や高麗(朝鮮)の青磁や白磁を模倣した、高級陶器を生産していました。 1) 古瀬戸の特徴。...
View Article騙しのテクニック31 よく有る贋作9(施釉陶器3、美濃1)
現在の岐阜県多治見市北部から土岐市にかけて、美濃古窯と呼ばれる諸窯では、黄瀬戸、瀬戸黒、 志野、織部などの製品が焼かれていました。これらは、茶の湯の隆盛に伴い、茶道具や懐石料理の 器として使用される他、美術品としても認められている作品も多いです。 1) 作られた時代。 美濃古陶の最盛期は室町末期から江戸初期にかけての短い期間です。 更に、作品の種類によって、その最盛期も異なります。 ?...
View Article騙しのテクニック32 よく有る贋作10(施釉陶器4、美濃2)
3) 見所と贋作。 ? 織部: 織部の種類は多く、青織部、総織部、鳴海織部、赤織部、絵織部などがあります。 ・ 岐阜県土岐市の元屋敷窯は美濃窯最古の連房式登窯で、慶長から寛文(江戸初期)の期間に 主に織部が焼かれていました。 登窯が築かれてからは、熱効率も良く高温になり、鉄絵が 鮮明に出る様になります。尚、元屋敷一帯は昭和42年に国指定史跡となっています。 ・...
View Article騙しのテクニック33 よく有る贋作11(施釉陶器5、唐津)
唐津焼の起源は、はっきりしていませんが、室町末期には、現在の唐津市の岸岳の山麓に、岸岳 八窯と呼ばれる、古窯址群が存在し、ここが古唐津の発祥地と思われています。 尚、古唐津と呼ばれる焼き物は、17世紀前半までに作られた作品です。 豊臣秀吉の朝鮮出兵の文禄の役以後、朝鮮の陶工が多数移住(拉致)し、朝鮮の陶芸技術が伝わり、 唐津焼は隆盛を極めます。 1)唐津焼の特徴。 ?...
View Article騙しのテクニック34 よく有る贋作12(染付、古伊万里)
中国元朝(1206〜1368年)末期の景徳鎮で、染付磁器が完成されたと言われています。 染付は、コバルトによる藍色の下絵付の技法です。景徳鎮の染付磁器以前に、白と藍色との対比の 美は、ペルシャ陶器や唐の陶器で見られます。 尚、中国などの染付の贋作に付いては、後日お話する予定です。 1) 我が国の染付磁器。 ? 秀吉の、朝鮮出兵(文禄、慶長の役)以前には、磁器は主に中国や朝鮮から輸入されていま...
View Article騙しのテクニック35 よく有る贋作13(染付、景徳鎮1)
染付の本家の景徳鎮の磁器の技術は、中国各地の窯場に伝わると同時に、時代を経るに従いその 時代特有の染付磁器が作られる様になります。即ち、永楽、宣徳、成化、嘉靖、万暦、天啓、崇禎、 乾隆と、元の時代から清朝染付と延々と続き、現在でもその流れは継続しています。 朝鮮半島の李朝の初期から、中国の染付磁器が伝わり、ベトナムでも15世紀頃に軟質の染付磁器が...
View Article騙しのテクニック36 よく有る贋作14(染付、景徳鎮2)
前回に引き続き、景徳鎮磁器に付いて話を進めます。 3) 磁器の素地、即ち陶石は産出する場所は数が少なく、それぞれの個性を持っています。 ? 一般に染付磁器と言えば、青又は藍色の発色状態や、描かれた文様に注意が向きますが、 陶芸作家や研究者は素地に注目するそうです。 ? 中国産の陶石と、わが国の陶石とには大きな違いがあります。 ?) 中国産の陶石:...
View Article騙しのテクニック37 よく有る贋作15(景徳鎮色絵磁器1)
一度焼成した陶磁器に、色絵の具で上絵付けを施し、再度低温で焼き付けた物、即ち、二度焼きした 物を色絵と呼びます。 二度焼きの色絵は、12〜13世紀頃に中国の、宋の時代に完成された技術です。 尚、色が付けられた陶器は、古く唐三彩やペルシャ陶器にも見られますが、色絵とは区別されます。 宋赤絵と呼ばれるのが初期の色絵ですが、その後、明代の景徳鎮で、様々な色絵が作られます。...
View Article騙しのテクニック38 よく有る贋作16(景徳鎮色絵磁器2)
2) 中国の色絵磁器の写しと贋作。 景徳鎮の官窯で作られた優れた作品類(南京赤絵)は、オランダの東インド会社により、17世紀 に福建省南部の漳州の港から積み出され、現在のジャカルタ(当時のバタビア)を中継して、 スマトラ、イランの他、ヨーロッパ各地に輸出されています。 ? 我が国では、民窯系の窯で作られた、「古赤絵」や「呉須赤絵」が人気があります。...
View Article騙しのテクニック39 本物より偽物が多い作品
あらゆる種類の焼き物には、多かれ少なかれ偽物が存在します。 その中でも、1)偽物が常に出回っていて、本物の方が少ない物。2)本物も多いが、偽物も多い物 3) 偽物より、本物の方が多い物。4) ほとんど本物で、偽物の方が少ない物など、偽物の世界 も多種多様です。これらの知識が有れば、ある程度の贋作に対して対応できます。 1) 偽物が常に出回っていて、本物の方が少ない物。(偽者100、本物1...
View Article騙しのテクニック40 本物も偽物も多い作品1
2) 本物も偽物も多い作品。 ? 唐三彩各種。 ?) 褐色、藍、緑の鉛釉の三彩を低い温度で焼成した唐三彩は、強度不足で実用には適し ません。但し、低火度焼成の為、色彩が原色に近く、煌びやかで主に、儀式用や装飾品と して生産されいました。 ?) 清朝末期(明治末〜大正初期)に大量に出土します。...
View Article騙しのテクニック41 本物も偽物も多い作品2
2) 本物も偽物も多い作品。 ? 李朝の陶器。 ?) 三島手(粉青沙器) 三島手と呼ばれる白化粧土を施した陶器は、我が国で特に人気のある作品で、それだけ 贋作も多いです。 a) 伝世品以外の李朝陶器は、ほとんどが発掘品です。それ故、風化の具合が自然であるかが 真贋の目安に成ります。 b) 三島手は作風が砕けた感じの物が多く、写し易いと言われています。...
View Article騙しのテクニック42 本物が偽物よりも多い作品1
1) 宋胡録(すんころく)青磁。 ?) 13世紀末〜15世紀頃に掛けて、タイ中部、サワン(又はスワン)カローク地方の焼き物を、 日本では宋胡録と呼びます。タイ中部には他に、ソコタイ窯があり、作品も同様に呼ばれる 事もあります。更に、タイ北部には、パーン、カロン、サンカンペン等の諸窯があります。 145基の窯址が確認され、大規模な窯群が形成されていた事が判明しています。...
View Article騙しのテクニック43 本物が偽物よりも多い作品2
3) 唐加彩俑(とうかさいよう) ? 俑とは死者と伴に墓に収められる副葬品で、従者、人物、家畜、家屋、調度品の模型です。 中国では、戦国時代の紀元前5世紀頃から、殉葬(じゅんそう)されていた人間や、高価な 道具に代えて、陶器や木製品でどで模型(俑)を作って副葬するようになります。 a) 秦の始皇帝(紀元前259 〜紀元前210年)陵の兵馬俑:...
View Article騙しのテクニック44 本物が偽物よりも多い作品3
4) 漢緑釉陶(かんりょくゆとう)。 ? 漢(紀元前202年〜)の時代になると、それまでの「灰釉」とは全く別の釉が登場します。 それは、「鉛釉」と呼ばれる物で、鉛(なまり)を熔媒とし、800℃程度の低温で焼成する事が 出来る釉です。(それ以前の「灰釉」では1200℃以上が必要でした。) ? この「鉛釉」に酸化銅を呈色剤として添加すると、緑色の釉ができます。...
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