4) 漢緑釉陶(かんりょくゆとう)。
? 漢(紀元前202年〜)の時代になると、それまでの「灰釉」とは全く別の釉が登場します。
それは、「鉛釉」と呼ばれる物で、鉛(なまり)を熔媒とし、800℃程度の低温で焼成する事が
出来る釉です。(それ以前の「灰釉」では1200℃以上が必要でした。)
? この「鉛釉」に酸化銅を呈色剤として添加すると、緑色の釉ができます。
同様にして、酸化鉄を添加すると、褐色系の釉ができます。褐色の度合いは酸化鉄の量に
よって左右されます。この緑色の釉を掛けた陶器を、緑釉陶と呼びます。
但し、還元焼成ではなく、酸化焼成しなければ緑色は出ません。
尚、緑釉は後世の唐三彩の緑色として、利用されています。
? 緑釉陶は、前漢時代の末〜後漢(前1〜後2世紀頃)、更に三国時代(222〜280年)に掛けて
中国全土で盛んに作られています。緑釉陶は、青銅器の代用品として、明器(副葬品)として
盛んに作られます。その種類は、鼎(かなえ)、鐘、耳杯(容器)、盤(食器)更に、倉庫や
楼閣等の建物の模型(写し)も作られています。
? わが国では「漢の緑釉」と呼ばれ、1970年代までは、壺一個が当時のお金で数百万円もする
高価な焼き物もあったとの事でした。
?) 1980年代後半になると、中国の経済開放政策により、鉄道や道路など国中のいたる所で
インフラ開発が行われます。その工事中に多くの漢代や唐代の墳墓が、発見される事に
なり、多くの緑釉陶が出土します。
?) その結果、明器として埋められていた「漢の緑釉(胡瓜の緑)」や「唐三彩」が日本に
大量に持ち込まれる様になります。それまで貴重で高価であった陶磁器の価格が、大暴落
する事になります。
?) 六朝時代(222年 〜589年)に緑釉は一時中断し、北朝(960〜1127年)末に復活しますが、
その後に現れる、唐三彩の中に吸収されて消えて行きます。
?) 尚、現在では、食器などに鉛釉を使う事は、鉛中毒を起しますので、禁止されています。
? 緑釉の銀化作用(ラスター化)。
?) 緑色の釉が土中(墓室中)で長く放置されていると、化学変化を起こし、器物の表面が
銀色に被われた、所謂(いわゆる)「銀化」が起こります。
?) 緑釉の成分である酸化銅が、長年土中にあった為、釉の表面が銀白色の皮膜に覆われる
現象で、ラスター(虹色)とも呼ばれます。我が国では、この銀化した緑釉の作品は
特に珍重されます。但し西洋では、鮮やかで瑞々しいグリーン(胡瓜緑)を保ったままの
物が人気があります。
? 緑釉の代表的な作品は、東京国立博物館にある緑釉長頸瓶で、美しい釉色と器形、施文に
当時の高い技術水準を見る事ができます。
? 上記の理由で、以前は貴重品であった緑釉陶も現在では、多くの本物が存在しています。
尚、緑釉陶の贋作は、貴重であった時期に作られた物が多く、本物が多く出回る現在では、
贋作する必要も少なくなったと思われます。
以下次回に続きます。
? 漢(紀元前202年〜)の時代になると、それまでの「灰釉」とは全く別の釉が登場します。
それは、「鉛釉」と呼ばれる物で、鉛(なまり)を熔媒とし、800℃程度の低温で焼成する事が
出来る釉です。(それ以前の「灰釉」では1200℃以上が必要でした。)
? この「鉛釉」に酸化銅を呈色剤として添加すると、緑色の釉ができます。
同様にして、酸化鉄を添加すると、褐色系の釉ができます。褐色の度合いは酸化鉄の量に
よって左右されます。この緑色の釉を掛けた陶器を、緑釉陶と呼びます。
但し、還元焼成ではなく、酸化焼成しなければ緑色は出ません。
尚、緑釉は後世の唐三彩の緑色として、利用されています。
? 緑釉陶は、前漢時代の末〜後漢(前1〜後2世紀頃)、更に三国時代(222〜280年)に掛けて
中国全土で盛んに作られています。緑釉陶は、青銅器の代用品として、明器(副葬品)として
盛んに作られます。その種類は、鼎(かなえ)、鐘、耳杯(容器)、盤(食器)更に、倉庫や
楼閣等の建物の模型(写し)も作られています。
? わが国では「漢の緑釉」と呼ばれ、1970年代までは、壺一個が当時のお金で数百万円もする
高価な焼き物もあったとの事でした。
?) 1980年代後半になると、中国の経済開放政策により、鉄道や道路など国中のいたる所で
インフラ開発が行われます。その工事中に多くの漢代や唐代の墳墓が、発見される事に
なり、多くの緑釉陶が出土します。
?) その結果、明器として埋められていた「漢の緑釉(胡瓜の緑)」や「唐三彩」が日本に
大量に持ち込まれる様になります。それまで貴重で高価であった陶磁器の価格が、大暴落
する事になります。
?) 六朝時代(222年 〜589年)に緑釉は一時中断し、北朝(960〜1127年)末に復活しますが、
その後に現れる、唐三彩の中に吸収されて消えて行きます。
?) 尚、現在では、食器などに鉛釉を使う事は、鉛中毒を起しますので、禁止されています。
? 緑釉の銀化作用(ラスター化)。
?) 緑色の釉が土中(墓室中)で長く放置されていると、化学変化を起こし、器物の表面が
銀色に被われた、所謂(いわゆる)「銀化」が起こります。
?) 緑釉の成分である酸化銅が、長年土中にあった為、釉の表面が銀白色の皮膜に覆われる
現象で、ラスター(虹色)とも呼ばれます。我が国では、この銀化した緑釉の作品は
特に珍重されます。但し西洋では、鮮やかで瑞々しいグリーン(胡瓜緑)を保ったままの
物が人気があります。
? 緑釉の代表的な作品は、東京国立博物館にある緑釉長頸瓶で、美しい釉色と器形、施文に
当時の高い技術水準を見る事ができます。
? 上記の理由で、以前は貴重品であった緑釉陶も現在では、多くの本物が存在しています。
尚、緑釉陶の贋作は、貴重であった時期に作られた物が多く、本物が多く出回る現在では、
贋作する必要も少なくなったと思われます。
以下次回に続きます。