世の中には、本物として作られた物が、いつしか偽者と成ってしまった焼き物も多いです。
即ち流通過程で、産地や名前(名称)が変わってしまった場合で、誤認の場合と、意図的に変更する
場合があります。多くの場合、より経済的に高価の方に変わる事が多く、稀にその逆もあります。
特に、世に知られていない窯場の作品の場合、同じ様な土や釉を使う事で、それに類似した著名な
焼き物の産地の作品に変えられてしまう場合があります。
わが国で焼かれた物の中にも、本来別の窯場で作られたものが、他の産地の物として流通している
物もあります。
1)わが国の作品で、他国や他の窯の作品と混同される焼き物。
? 鎌倉〜室町時代の古瀬戸と混同される焼き物。
中国の青磁や影青(インチン)を手本として出発した瀬戸ですが、釉や作風が中国と異なる
為、中国の作品と混同する事はありません。
?) 古瀬戸灰釉の作品と、混同されるもの。
a) 中国の殷(いん)、周、漢、晋(しん)等に作られた、灰釉の古陶器類。
b) 越州窯青磁、南方の粗青磁類(元〜明時代)や灰釉陶器。
c) 朝鮮高麗末〜李朝初期の灰釉の雑陶器。
d) 美濃焼や桃山以降の瀬戸焼き。御深井焼(おふけやき)の小品など。
e) 東南アジアのクメール、タイ、ミヤンマーや安南などの諸窯の灰釉陶器類。
?) 瀬戸鉄釉陶の作品と混同されるもの。
a) 中国宋、元、明時代の磁洲系の鉄釉陶器。福建省、河南省などで作られた天目茶碗。
b) 李朝後期の民窯で作られ、鉄釉を掛けた雑器類。
c) わが国の志戸呂焼(しどろやき)、膳所(ぜぜ)焼、越中瀬戸など。
d) 安南鉄釉陶器など。
? 唐津焼の作品と混同される焼き物。
唐津の釉は主に、灰釉、藁(わら)灰釉、鉄釉、銅釉(緑釉、辰砂釉)が用いられています。
これらの釉は、特に特徴的な物とは言えません。但し、唐津では土の種類も多いが、近隣の
高取、上野(あがの)等で産出する土とは異なる為、区別が出来るとの事です。
a) 中国の各地の民窯の雑器で、灰釉や鉄釉の小物。
b) 朝鮮の黒高麗が、黒唐津と混同する。高麗末の雑器や堅手の作品が、無地唐津として流通。
堅手(かたて)鉄絵や絵高麗の作品が、絵唐津として扱われる。
c) 朝鮮の会寧(かいねい)や明川(めいせん)の作品が斑(まだら)唐津に仕立て上げられる
朝鮮の土は、唐津の土とそっくりとの事で、見分けが困難です。
d) 朝鮮の粉青沙器(ふんせいさき)は、三島や刷毛目唐津と混同され易いです。
e) その他、我が国の上野、高取、沖縄湧田(わくた)、壷屋(つぼや)、小代(しょうたい)
焼、萩焼なども、間違い易い焼き物です。
? 有田焼の作品と混同する焼き物。
有田の磁器は、中国明末の景徳鎮を手本としてスタートします。
その後、柿右衛門様式や、鍋島、九谷様式を生み出されます。江戸初期〜幕末までの間、
伊万里港から、西洋に大量輸出され、マイセンを始め西洋諸国で写しが作られる様になります。
しかし、ヨーロッパの写しの作品が我が国に輸入される事はありませんので、混同する事は
ありません。
?) 我が国の有田以外の磁器の生産地では、有田を手本として磁器の生産を開始します。
これらが、本物の有田焼と混同され紛れ込む場合があります。
a) 砥部(とべ)焼、波佐見焼、中国の天啓染付、広東染付などは、初期伊万里の作品と
混同されます。
b) 江戸中期以降の有田磁器と混同される焼き物。
国内各地の磁器生産地の作品類。清朝景徳鎮色絵磁器。19世紀以降の瀬戸の新製焼き
などがあります。
2) 「類似古陶」は、必ずしも、贋作を目的で作られた訳ではありません。
類似と言う事は、当然、同じと言う事ではありませんので、慎重に検討すれば、その違いが
解かるとも言われています。但し、贋作の目的ではありませんので、何処か後暗い処もなく
堂々とした作品も多いです。
更に、古陶であれば自然と、使用時の傷やスレが出て来ますし、古色も自然に付いてきます。
その為、その作品の本当の産地の特定は、さらに困難になります。
以下次回に続きます。
即ち流通過程で、産地や名前(名称)が変わってしまった場合で、誤認の場合と、意図的に変更する
場合があります。多くの場合、より経済的に高価の方に変わる事が多く、稀にその逆もあります。
特に、世に知られていない窯場の作品の場合、同じ様な土や釉を使う事で、それに類似した著名な
焼き物の産地の作品に変えられてしまう場合があります。
わが国で焼かれた物の中にも、本来別の窯場で作られたものが、他の産地の物として流通している
物もあります。
1)わが国の作品で、他国や他の窯の作品と混同される焼き物。
? 鎌倉〜室町時代の古瀬戸と混同される焼き物。
中国の青磁や影青(インチン)を手本として出発した瀬戸ですが、釉や作風が中国と異なる
為、中国の作品と混同する事はありません。
?) 古瀬戸灰釉の作品と、混同されるもの。
a) 中国の殷(いん)、周、漢、晋(しん)等に作られた、灰釉の古陶器類。
b) 越州窯青磁、南方の粗青磁類(元〜明時代)や灰釉陶器。
c) 朝鮮高麗末〜李朝初期の灰釉の雑陶器。
d) 美濃焼や桃山以降の瀬戸焼き。御深井焼(おふけやき)の小品など。
e) 東南アジアのクメール、タイ、ミヤンマーや安南などの諸窯の灰釉陶器類。
?) 瀬戸鉄釉陶の作品と混同されるもの。
a) 中国宋、元、明時代の磁洲系の鉄釉陶器。福建省、河南省などで作られた天目茶碗。
b) 李朝後期の民窯で作られ、鉄釉を掛けた雑器類。
c) わが国の志戸呂焼(しどろやき)、膳所(ぜぜ)焼、越中瀬戸など。
d) 安南鉄釉陶器など。
? 唐津焼の作品と混同される焼き物。
唐津の釉は主に、灰釉、藁(わら)灰釉、鉄釉、銅釉(緑釉、辰砂釉)が用いられています。
これらの釉は、特に特徴的な物とは言えません。但し、唐津では土の種類も多いが、近隣の
高取、上野(あがの)等で産出する土とは異なる為、区別が出来るとの事です。
a) 中国の各地の民窯の雑器で、灰釉や鉄釉の小物。
b) 朝鮮の黒高麗が、黒唐津と混同する。高麗末の雑器や堅手の作品が、無地唐津として流通。
堅手(かたて)鉄絵や絵高麗の作品が、絵唐津として扱われる。
c) 朝鮮の会寧(かいねい)や明川(めいせん)の作品が斑(まだら)唐津に仕立て上げられる
朝鮮の土は、唐津の土とそっくりとの事で、見分けが困難です。
d) 朝鮮の粉青沙器(ふんせいさき)は、三島や刷毛目唐津と混同され易いです。
e) その他、我が国の上野、高取、沖縄湧田(わくた)、壷屋(つぼや)、小代(しょうたい)
焼、萩焼なども、間違い易い焼き物です。
? 有田焼の作品と混同する焼き物。
有田の磁器は、中国明末の景徳鎮を手本としてスタートします。
その後、柿右衛門様式や、鍋島、九谷様式を生み出されます。江戸初期〜幕末までの間、
伊万里港から、西洋に大量輸出され、マイセンを始め西洋諸国で写しが作られる様になります。
しかし、ヨーロッパの写しの作品が我が国に輸入される事はありませんので、混同する事は
ありません。
?) 我が国の有田以外の磁器の生産地では、有田を手本として磁器の生産を開始します。
これらが、本物の有田焼と混同され紛れ込む場合があります。
a) 砥部(とべ)焼、波佐見焼、中国の天啓染付、広東染付などは、初期伊万里の作品と
混同されます。
b) 江戸中期以降の有田磁器と混同される焼き物。
国内各地の磁器生産地の作品類。清朝景徳鎮色絵磁器。19世紀以降の瀬戸の新製焼き
などがあります。
2) 「類似古陶」は、必ずしも、贋作を目的で作られた訳ではありません。
類似と言う事は、当然、同じと言う事ではありませんので、慎重に検討すれば、その違いが
解かるとも言われています。但し、贋作の目的ではありませんので、何処か後暗い処もなく
堂々とした作品も多いです。
更に、古陶であれば自然と、使用時の傷やスレが出て来ますし、古色も自然に付いてきます。
その為、その作品の本当の産地の特定は、さらに困難になります。
以下次回に続きます。