2) 我が国中世の焼き物の贋作。(前回の続きです。)
常滑は、中世古窯の中で、最大の規模を誇り、現在までに確認されている古窯址は、千数百基と
言われています。未確認の物も含めると三千基以上存在すると、思われています。
? 常滑焼: 知多半島にある、中世最大の窯場です。
常滑では、平安末期〜室町時代に掛け、知多半島の全域で山茶碗や壷などの、雑器を焼いて
いました。室町中期頃までは、窖窯(あながま)による焼き締め焼成でしたが、やがて大窯で
焼成する様に成ります。
?) 常滑焼の特徴。
a) 土: 知多半島に豊富に埋蔵されている陶土は、低火度でも焼き締まる性質を、有して
います。これは、鉄分を多く含む為です。さらにこの特徴は、焼き損なう危険性を低くします
土は田土で、原土や水簸(すいひ)して使います。採取時には灰色(グレー)であったものが
空気中に 晒すと、鉄分が酸化して、赤く変色します。(朱泥土の原料です)
b) 窖窯に適した地層の存在。
窖窯が多く使われていた理由: 知多半島には、珪砂層(けいしゃそう)の丘陵が多く存在
します。この珪砂層を堀り抜いて作った窖窯は、焼かれる度に膨張する性質がある為、窯の
内部の壁が固まり強固になるります。それ故、壊れ難い窯を自由に作る事が可能になります。
c) 常滑では、実用に徹した雑器を大量生産しています。
それらの中でも、壷や甕(かめ)の三筋(みすじ)文様(三筋壷)、肩に付けられた三耳
(さんじ)、頸元に凸帯のある長頸壷、押印による文様、器面に流れる自然釉、砂底などの
特徴があります。
注: 押印とは、輪積みによる成形の際、土を締めて繋ぎ目の強度を持たせる為、模様の
付いた印を押す事です。
・ 砂底とは、底裏に砂粒状の痕がある事です。これは成形時に轆轤上に砂を撒き、土離れを
良くします。乾燥後に砂を取り除きますが、砂粒の痕が残ります。
・ 同様の方法に、灰底があります。主に信楽や丹波焼で見られる方法です。
轆轤上に木灰類を撒き、成形します。
?) 良く見かける常滑焼の贋作。
三筋壷(さんきんこ)、凸帯のある長頸壷、不識壷、山茶碗などが多いです。
注: 三筋壷: 壷の肩、胴、裾野近くの三箇所にほぼ等間隔に、一周した陰刻の細い線が
描かれている、中型の壷です。
・ 不識壷(ふしきこ): 鎌倉時代〜室町時代に作られた、小壷です。
日常品として造られたものですが、広い口と胴部が張った形のつぼです。
骨蔵器と使われる事もありますが、茶の湯に用いられる様になると、水指に転用されて
人気を博しています。それだけ贋作も多いです。
a) 贋作を見破るポイント。
現代の轆轤は、中心が「ブレル」事なく正確に回転します。
中世の轆轤は、人力による回転で、回転のスピードも一定ではありません。即ち、
スムーズに回転せず、場合によっては、中心をとる事も困難であった様です。
その為、紐造りの輪積み成形では、「ゆがんだ」形になります。これが一つの特徴です。
現代作は、綺麗に出来過ぎる為、故意に「ゆがむ」様にしています。自然の「ゆがみ」と
故意の「ゆがみ」の判別は、見慣れた人なら簡単に見破れるとの事です。
b) 贋作者が、下手に作る事に苦心した物は、何処と無く不自然な感じがします。
下手な真作であっても、造形美が感じられるそうです。
以下次回に続きます。
常滑は、中世古窯の中で、最大の規模を誇り、現在までに確認されている古窯址は、千数百基と
言われています。未確認の物も含めると三千基以上存在すると、思われています。
? 常滑焼: 知多半島にある、中世最大の窯場です。
常滑では、平安末期〜室町時代に掛け、知多半島の全域で山茶碗や壷などの、雑器を焼いて
いました。室町中期頃までは、窖窯(あながま)による焼き締め焼成でしたが、やがて大窯で
焼成する様に成ります。
?) 常滑焼の特徴。
a) 土: 知多半島に豊富に埋蔵されている陶土は、低火度でも焼き締まる性質を、有して
います。これは、鉄分を多く含む為です。さらにこの特徴は、焼き損なう危険性を低くします
土は田土で、原土や水簸(すいひ)して使います。採取時には灰色(グレー)であったものが
空気中に 晒すと、鉄分が酸化して、赤く変色します。(朱泥土の原料です)
b) 窖窯に適した地層の存在。
窖窯が多く使われていた理由: 知多半島には、珪砂層(けいしゃそう)の丘陵が多く存在
します。この珪砂層を堀り抜いて作った窖窯は、焼かれる度に膨張する性質がある為、窯の
内部の壁が固まり強固になるります。それ故、壊れ難い窯を自由に作る事が可能になります。
c) 常滑では、実用に徹した雑器を大量生産しています。
それらの中でも、壷や甕(かめ)の三筋(みすじ)文様(三筋壷)、肩に付けられた三耳
(さんじ)、頸元に凸帯のある長頸壷、押印による文様、器面に流れる自然釉、砂底などの
特徴があります。
注: 押印とは、輪積みによる成形の際、土を締めて繋ぎ目の強度を持たせる為、模様の
付いた印を押す事です。
・ 砂底とは、底裏に砂粒状の痕がある事です。これは成形時に轆轤上に砂を撒き、土離れを
良くします。乾燥後に砂を取り除きますが、砂粒の痕が残ります。
・ 同様の方法に、灰底があります。主に信楽や丹波焼で見られる方法です。
轆轤上に木灰類を撒き、成形します。
?) 良く見かける常滑焼の贋作。
三筋壷(さんきんこ)、凸帯のある長頸壷、不識壷、山茶碗などが多いです。
注: 三筋壷: 壷の肩、胴、裾野近くの三箇所にほぼ等間隔に、一周した陰刻の細い線が
描かれている、中型の壷です。
・ 不識壷(ふしきこ): 鎌倉時代〜室町時代に作られた、小壷です。
日常品として造られたものですが、広い口と胴部が張った形のつぼです。
骨蔵器と使われる事もありますが、茶の湯に用いられる様になると、水指に転用されて
人気を博しています。それだけ贋作も多いです。
a) 贋作を見破るポイント。
現代の轆轤は、中心が「ブレル」事なく正確に回転します。
中世の轆轤は、人力による回転で、回転のスピードも一定ではありません。即ち、
スムーズに回転せず、場合によっては、中心をとる事も困難であった様です。
その為、紐造りの輪積み成形では、「ゆがんだ」形になります。これが一つの特徴です。
現代作は、綺麗に出来過ぎる為、故意に「ゆがむ」様にしています。自然の「ゆがみ」と
故意の「ゆがみ」の判別は、見慣れた人なら簡単に見破れるとの事です。
b) 贋作者が、下手に作る事に苦心した物は、何処と無く不自然な感じがします。
下手な真作であっても、造形美が感じられるそうです。
以下次回に続きます。