2) 我が国中世の焼き物の贋作。
中世の焼き物と言えば、常滑、信楽、伊賀、備前、丹波、渥美、越前、珠洲市焼きが著名で、
いずれも、無釉の焼き締陶器です。大型な甕(かめ)や壷類が制作されていますが、大型の
贋作は意外と少ないそうです。
この中でも、一番人気があり、贋作の多いのが信楽焼きと言われています。
? 信楽焼の贋作に付いて。
?) 信楽焼で使われている土は、中世より更に昔の時代から同じ物が使われています。
信楽では、昔と同じ土が、今でも大量に産出されているそうです。
それ故、贋作で有っても、中世信楽と同じですので、土から時代区分は出来ません。
?) 信楽では制作方法が、時代毎に変化していますので、その違いで時代区分する事が
可能との事です。又器形も有力な手掛かりです。
a) 轆轤での水挽き制法(〜平安末期頃)
須恵器の技術を持つ、百済系の帰化人達によって、轆轤技術が伝わったと言われています
この延長上にある信楽焼は、上手な轆轤挽きで制作されているのが、特徴です。
端正な造りで、重量も軽く口造りがシャープです。
b) 紐造りの方法(鎌倉〜室町時代)
轆轤挽きの技術は途絶え、より原始的な土紐を積み上げる方法が取られる様になります。
(理由ははっきりしていません。)
鎌倉末〜室町初期に最も信楽らしい傑作が作られいます。
・ 鎌倉期では、寸胴の形のものが多く、重量は重く大型の作品はほとんどありません。
・ 室町期になると、紐造りではあるが、轆轤挽きを併用し土を延ばす事で薄く軽くなります
形も肩の張った物から、次第に胴の張った壷なども出現し、大型の作品も作られる様に
なります。
・ 紐造りを基本にしていますので、左右対称の作品は少なく、「ゆがんでいる」のが普通
です。轆轤との併用の為、器の内側には紐を積んだ跡が残っている場合が多いです。
c) 桃山時代になると、茶碗、水指、掛花生、建水などの茶陶が作られる様に成ります。
特に、室町時代に作られた、種壷でる蹲る(うずくまる)は、花生として、茶の湯に
取り込まれます。 更に、信楽特有の豪放で、形のしっかりした大壷が作られます。
?) 信楽焼は一貫して、窖窯(あながま)で焼成しています。
人為的な装飾は一部桧垣文を除いて、一切ありません。即ち、窯任せの焼き次第になり
ます。 贋作は人為的に各種の装飾を行いますので、どうしても発覚し易いです。
a) 信楽焼の景色と呼ばれる物に、下記のものがあります。
自然釉、灰被り、火(緋)色、石はぜ、蜻蛉(とんぼ)の目、焦げ、ひっつき、火ぶくれ
それに肩に窯印です。勿論、これら全てを持つものは、本物でも限られた数しかありま
せん。火(緋)色、灰被り、焦げは、窯変によって偶然出来た物です。
火(緋)色は、土の成分に影響され、明るい火色は鉄分の少ない土で作った時に現れます
?) 信楽焼では、鎌倉から室町時代に作られた、蹲る(うずくまる)の贋作が最も多いです。
特に、小型の壷は真似易い為とおもわれます。
・ 口縁が二重になっている二重口が特徴ですが、贋作は作り方が「ぎこちない」との事です
・ 平安、鎌倉、室町時代の作品は、経年変化で「カセ」が出ている物が多く、艶が無い
状態になります。贋作には、人工的な「カセ」を付けた物がありますが、内側に
「カセ」が見られない物は、贋作と見なしても良いようです。
地肌に光沢のある物も要注意です。焼き過ぎた場合に起こる現象です。
・ 贋作では、自然釉や灰被りを出す為、灰釉や流し掛けしたり、灰を人為的に吹きつけて
いる場合が多いです。
?) 室町以降では、大壷の贋作もあります。肩に桧垣文が付けられています。
雄大な姿を写し取る(模倣する)事は難しく、力強さを表した贋作はほとんど無いとの
事です。
以下次回に続きます。
中世の焼き物と言えば、常滑、信楽、伊賀、備前、丹波、渥美、越前、珠洲市焼きが著名で、
いずれも、無釉の焼き締陶器です。大型な甕(かめ)や壷類が制作されていますが、大型の
贋作は意外と少ないそうです。
この中でも、一番人気があり、贋作の多いのが信楽焼きと言われています。
? 信楽焼の贋作に付いて。
?) 信楽焼で使われている土は、中世より更に昔の時代から同じ物が使われています。
信楽では、昔と同じ土が、今でも大量に産出されているそうです。
それ故、贋作で有っても、中世信楽と同じですので、土から時代区分は出来ません。
?) 信楽では制作方法が、時代毎に変化していますので、その違いで時代区分する事が
可能との事です。又器形も有力な手掛かりです。
a) 轆轤での水挽き制法(〜平安末期頃)
須恵器の技術を持つ、百済系の帰化人達によって、轆轤技術が伝わったと言われています
この延長上にある信楽焼は、上手な轆轤挽きで制作されているのが、特徴です。
端正な造りで、重量も軽く口造りがシャープです。
b) 紐造りの方法(鎌倉〜室町時代)
轆轤挽きの技術は途絶え、より原始的な土紐を積み上げる方法が取られる様になります。
(理由ははっきりしていません。)
鎌倉末〜室町初期に最も信楽らしい傑作が作られいます。
・ 鎌倉期では、寸胴の形のものが多く、重量は重く大型の作品はほとんどありません。
・ 室町期になると、紐造りではあるが、轆轤挽きを併用し土を延ばす事で薄く軽くなります
形も肩の張った物から、次第に胴の張った壷なども出現し、大型の作品も作られる様に
なります。
・ 紐造りを基本にしていますので、左右対称の作品は少なく、「ゆがんでいる」のが普通
です。轆轤との併用の為、器の内側には紐を積んだ跡が残っている場合が多いです。
c) 桃山時代になると、茶碗、水指、掛花生、建水などの茶陶が作られる様に成ります。
特に、室町時代に作られた、種壷でる蹲る(うずくまる)は、花生として、茶の湯に
取り込まれます。 更に、信楽特有の豪放で、形のしっかりした大壷が作られます。
?) 信楽焼は一貫して、窖窯(あながま)で焼成しています。
人為的な装飾は一部桧垣文を除いて、一切ありません。即ち、窯任せの焼き次第になり
ます。 贋作は人為的に各種の装飾を行いますので、どうしても発覚し易いです。
a) 信楽焼の景色と呼ばれる物に、下記のものがあります。
自然釉、灰被り、火(緋)色、石はぜ、蜻蛉(とんぼ)の目、焦げ、ひっつき、火ぶくれ
それに肩に窯印です。勿論、これら全てを持つものは、本物でも限られた数しかありま
せん。火(緋)色、灰被り、焦げは、窯変によって偶然出来た物です。
火(緋)色は、土の成分に影響され、明るい火色は鉄分の少ない土で作った時に現れます
?) 信楽焼では、鎌倉から室町時代に作られた、蹲る(うずくまる)の贋作が最も多いです。
特に、小型の壷は真似易い為とおもわれます。
・ 口縁が二重になっている二重口が特徴ですが、贋作は作り方が「ぎこちない」との事です
・ 平安、鎌倉、室町時代の作品は、経年変化で「カセ」が出ている物が多く、艶が無い
状態になります。贋作には、人工的な「カセ」を付けた物がありますが、内側に
「カセ」が見られない物は、贋作と見なしても良いようです。
地肌に光沢のある物も要注意です。焼き過ぎた場合に起こる現象です。
・ 贋作では、自然釉や灰被りを出す為、灰釉や流し掛けしたり、灰を人為的に吹きつけて
いる場合が多いです。
?) 室町以降では、大壷の贋作もあります。肩に桧垣文が付けられています。
雄大な姿を写し取る(模倣する)事は難しく、力強さを表した贋作はほとんど無いとの
事です。
以下次回に続きます。