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Channel: わ! かった陶芸 (明窓窯)
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騙しのテクニック36 よく有る贋作14(染付、景徳鎮2)

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前回に引き続き、景徳鎮磁器に付いて話を進めます。

3) 磁器の素地、即ち陶石は産出する場所は数が少なく、それぞれの個性を持っています。

 ? 一般に染付磁器と言えば、青又は藍色の発色状態や、描かれた文様に注意が向きますが、

  陶芸作家や研究者は素地に注目するそうです。

 ? 中国産の陶石と、わが国の陶石とには大きな違いがあります。

  ?) 中国産の陶石: 質の良い陶石が多く産出します。質が良いとは、以下の事柄の事です。

   a) 耐火度の高いカオリン分子を多く含んでいます。その為、高温で焼成しても、作品が

     「へたる」事がありません。

   b) 粘土質で、轆轤挽きがし易く、極端に薄く造る事ができ、成形時に歪む事が少ないです。

   c) 中国では、釉は全て生掛けで行っています。

   d) 民窯系の古染付や祥瑞(しょんずい)の作品は、厚手の物が多いですが、中国の様な、

     軟らかい良質な磁土は、わが国には無いとの事です。

  ?) 我が国の陶石の特徴。

   a) 我が国での陶石の中で、最も良い土と言われているのは、有田(伊万里)の土です。

     上手と言われる作品のほとんどは、有田の土が使われています。

     有田で使われている胎土は、帰化人の李参平が泉山で発見した物で、後に天草陶石が

     使われるまでは、唯一の磁器の土でした。

   b) 有田の土は、粒子が細かく色が白いです。単味で使う事が出来るのが特徴です。

     但し、中国産と異なり、素焼きした後に絵付と施釉する必要があります。

   c) 磁土の粒子の細かい作品は、汚れに対して強いです。

     畳付の様に、素地が露出し釉の掛かっていない場所(露胎部分)は、汚れ易いですが

     粒子の細かい有田の土では、汚れが着き難く、例え着いたとしても、容易に汚れを落とす

     事ができます。 一方、他の磁器素地は粒子が粗い為、汚れが浸み込み、汚れが落とし

     難いと言われています。

    d) 天草陶石は可塑性に富み、成形がし易いのですが、焼き上がりが軟らかく力強さが

      不足していると感じられます。

4) 中国の焼き物にも、贋作は多いです。

  中国清朝時代に多くの写しが作られています。勿論贋作としてでは無く、先人の技術を再現する

  事が目的でしたが、結果的にはこれら模倣品が贋作として流通する事になります。

  ? 染付の最高位に置かれる、宣徳染付を始め、成化、嘉靖、万暦の染付は精巧に似せられ、

    真偽を見分けるのも困難との事です。

    ・ 但し、清代に成ると窯の改良が進み、更に呉須の品質が良くなり過ぎた為(不純物が

      少ない)「ダミ」と呼ばれる濃淡の「むら」が出せなく成り、真偽の見分けが付く

      と言われています。   

  ? 景徳鎮窯の中には、色の冴えない白磁や染付も多く生産されています。

    これらの焼き物は、現在でも発掘品として多く流通しています。

   ?) 発掘品には逸品は存在しません。

     元染付や明の永楽、宣徳染付の優良品はほとんどありません。 

     香港などでは、中国の古陶磁が多く流通し、日本国内に持ち込まれる場合がありますが、

     先ず、贋作とした方が安全です。

   ?) 明後期から末期に掛けての染付磁器は、上手(じょうて)ではないが、多く出回って

     います。一説には、本物の方が偽者より多いとも言われています。

   ?) 明朝の頃、背の高い壷などの作品は、胴継ぎの方法が採られていました。

     それ故、本物は繋いだ跡(痕)が残ります。ここもチェックポイントになります。

  ? 中国で作られた、古染付の偽者はほとんど存在しないとの事です。

    その多くは、我が国で作られた物です。

   ?) 天啓染付や芙蓉手と呼ばれる皿類は、多く出回っていますが、ほとんどが本物との事

    で、偽者は少ないです。

   ?) 日本からの発注品は日本にしか存在しません。

     茶碗、向付、香合などの茶道具は、我が国の茶人達が、景徳鎮に特注した物で、全数

     我が国に収められた品々ですので、これらは景徳鎮でも見る事は有りません。

以下次回に続きます。

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