染付の本家の景徳鎮の磁器の技術は、中国各地の窯場に伝わると同時に、時代を経るに従いその
時代特有の染付磁器が作られる様になります。即ち、永楽、宣徳、成化、嘉靖、万暦、天啓、崇禎、
乾隆と、元の時代から清朝染付と延々と続き、現在でもその流れは継続しています。
朝鮮半島の李朝の初期から、中国の染付磁器が伝わり、ベトナムでも15世紀頃に軟質の染付磁器が
作られる様になると、我が国の茶人の間で、「安南物」として、珍重される様になります。
更に、我が国でも有田(伊万里)で景徳鎮の模倣から、染付磁器が発展を遂げます。
1) 染付の色に付いて。
染付の青は、コバルトによるもので、強固な発色剤となります。
? 呉須(ごす)を使う。
呉須は、天然のコバルト混合土です。天然のコバルト鉱が風化し、水に溶けて沈殿し更に、
鉄、銅、マンガン、ニッケルなどの化合物が自然に混ざった土状の物です。
尚、19世紀以降では、人造呉須(化学コバルト)が使われる様に成ります。
a) 染付の発色は以下の状態で変化します。
・ コバルト自体に含まれる不純物の種類と含有量。
・ 素地(胎土)と釉に含まれる他の鉱物の種類と量。
・ 窯の温度と酸化又は還元状態。
b) 鮮やかな藍色に発色する条件は以下の状態の時です。
・ コバルトの純度が高い時(不純物が少ない)。
・ 素地に珪酸成分が少なく、マグネシウムも少ない時で、透明釉を掛けた時。
・ 高温で還元炎で焼成した時。
尚、同じ呉須を使い、同じ窯で焼成しても色合いが異なるのは、日常茶飯時です。
? 染付磁器が作られた時代によっても、呉須の色合いが異なります。
一つは呉須の産地の違い(当然、不純物の種類と量が異なります。)と、窯の構造と窯焚き
技術の相違が原因です。 この発色の違いが、鑑定の重要な目安に成っています。
2) 時代の特定と発色の関係。
? 元(1271〜1368)の染付: コバルトの色はやや黒味を帯、器いっぱいに豪放的な文様が
描かれています。
? 中国の染付磁器の最高級は、明初期の物と言われています。その中でも宣徳の染付は最高位
に置かれています。
?) 宣徳年間(1426〜1435年): 落ち着いた渋みのある色調です。
濃淡のある着色で、文様に強いコントラストが付いているのが特徴です。
?) 成化時代(1465〜1487年): コバルトの青色は薄く、上品で優雅な趣があります。
作品は小品が多く、大物は滅多にありません。
?) 弘治〜正徳年間(1488〜1521年): 特に個性的とは言えない、灰藍色又は藍色です。
?) 嘉靖〜万暦年間(1522年 〜1620年): 濃厚で派手な紫藍色です。
酸化コバルトを4〜6%溶かし込んだガラス(スマルト)を利用しています。
この時代には、大量生産が行われていた為、品質は低下しています。
? 明末〜清初期: 染付の色調は、黒ずんでいます。
自由奔放な器形の物が多くなります。祥瑞(しょんずい)手と呼ばれる、鮮やかな紫藍色を
呈する焼き物は、日本からの注文で作られた物です。
? 清朝の染付: 冴えた肌理の細かい藍色や、くすんだ藍色、明暗や濃淡を使い分けた
技巧的で繊細な染付です。
? 安南染付: 粗い灰白色の素地に、品質の悪い呉須で、色調は黒青色で明初期風の絵付が
施され、乳白を帯びた釉が厚めに掛かっています。時代が下るに従い、呉須が流れて、
文様がぼやけた物も多いです。
? 李朝染付: 色調が薄く暗い青色で、優しい描絵が施されている物が多いです。
以下次回に続きます。
時代特有の染付磁器が作られる様になります。即ち、永楽、宣徳、成化、嘉靖、万暦、天啓、崇禎、
乾隆と、元の時代から清朝染付と延々と続き、現在でもその流れは継続しています。
朝鮮半島の李朝の初期から、中国の染付磁器が伝わり、ベトナムでも15世紀頃に軟質の染付磁器が
作られる様になると、我が国の茶人の間で、「安南物」として、珍重される様になります。
更に、我が国でも有田(伊万里)で景徳鎮の模倣から、染付磁器が発展を遂げます。
1) 染付の色に付いて。
染付の青は、コバルトによるもので、強固な発色剤となります。
? 呉須(ごす)を使う。
呉須は、天然のコバルト混合土です。天然のコバルト鉱が風化し、水に溶けて沈殿し更に、
鉄、銅、マンガン、ニッケルなどの化合物が自然に混ざった土状の物です。
尚、19世紀以降では、人造呉須(化学コバルト)が使われる様に成ります。
a) 染付の発色は以下の状態で変化します。
・ コバルト自体に含まれる不純物の種類と含有量。
・ 素地(胎土)と釉に含まれる他の鉱物の種類と量。
・ 窯の温度と酸化又は還元状態。
b) 鮮やかな藍色に発色する条件は以下の状態の時です。
・ コバルトの純度が高い時(不純物が少ない)。
・ 素地に珪酸成分が少なく、マグネシウムも少ない時で、透明釉を掛けた時。
・ 高温で還元炎で焼成した時。
尚、同じ呉須を使い、同じ窯で焼成しても色合いが異なるのは、日常茶飯時です。
? 染付磁器が作られた時代によっても、呉須の色合いが異なります。
一つは呉須の産地の違い(当然、不純物の種類と量が異なります。)と、窯の構造と窯焚き
技術の相違が原因です。 この発色の違いが、鑑定の重要な目安に成っています。
2) 時代の特定と発色の関係。
? 元(1271〜1368)の染付: コバルトの色はやや黒味を帯、器いっぱいに豪放的な文様が
描かれています。
? 中国の染付磁器の最高級は、明初期の物と言われています。その中でも宣徳の染付は最高位
に置かれています。
?) 宣徳年間(1426〜1435年): 落ち着いた渋みのある色調です。
濃淡のある着色で、文様に強いコントラストが付いているのが特徴です。
?) 成化時代(1465〜1487年): コバルトの青色は薄く、上品で優雅な趣があります。
作品は小品が多く、大物は滅多にありません。
?) 弘治〜正徳年間(1488〜1521年): 特に個性的とは言えない、灰藍色又は藍色です。
?) 嘉靖〜万暦年間(1522年 〜1620年): 濃厚で派手な紫藍色です。
酸化コバルトを4〜6%溶かし込んだガラス(スマルト)を利用しています。
この時代には、大量生産が行われていた為、品質は低下しています。
? 明末〜清初期: 染付の色調は、黒ずんでいます。
自由奔放な器形の物が多くなります。祥瑞(しょんずい)手と呼ばれる、鮮やかな紫藍色を
呈する焼き物は、日本からの注文で作られた物です。
? 清朝の染付: 冴えた肌理の細かい藍色や、くすんだ藍色、明暗や濃淡を使い分けた
技巧的で繊細な染付です。
? 安南染付: 粗い灰白色の素地に、品質の悪い呉須で、色調は黒青色で明初期風の絵付が
施され、乳白を帯びた釉が厚めに掛かっています。時代が下るに従い、呉須が流れて、
文様がぼやけた物も多いです。
? 李朝染付: 色調が薄く暗い青色で、優しい描絵が施されている物が多いです。
以下次回に続きます。