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Channel: わ! かった陶芸 (明窓窯)
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騙しのテクニック27 よく有る贋作5(丹波、越前)

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2) 我が国中世の焼き物の贋作。(前回の続きです。)

 ? 丹波焼(たんばやき)。

   丹波焼も中世から近世にかけて、無釉の素朴な焼き締め陶器を生産していました。

  ?) 起原は、摂津(せっつ)と播磨(はりま)の国境に接する、丹波国小野原荘(現在の

    兵庫県多紀郡今田町周辺)に興った焼き物です。

  ?) 丹波焼の時代区分。

   a) 窖窯時代(小野原時代): 平安末〜鎌倉〜室町〜桃山時代の長期に渡ります。

     作品は紐造りで、数段積み上げています。口造りは轆轤仕上げになっています。

    ・ この頃は、無釉の焼き締め陶器で、作品の種類は、壷と大甕がほとんどです。

    ・ 土紐を巻き上げて作る方法で、大物では胴に2〜3段の繋ぎ目があり、その跡が鮮明に

      残っている場合が多いです。

    ・ 鎌倉から室町初期の作品は、口造りは無造作に捻り返した物(反り口)です。

    ・ 室町中期には、反り口と玉縁の両方が制作されています。

    ・ 室町末には、反り口の玉縁(たまふち)になっています。

      形は整った小型の壷が多く作られています。

   b) 登窯時代: 〜宝暦年間(江戸中期) 

    焼き締め陶器から、施釉陶器へと変身を遂げます。制作方法も、轆轤水挽き法です。

    薄造りで、飴釉や、赤ドベ、イッチン掛け更には、鉄絵や赤絵など多彩になります。

    特に江戸後期になると、様々な徳利類が作られる様になります。

  ?) 丹波焼の装飾技法。

    a) 赤ドベ釉: 光沢のある赤色です。ドベ(泥)に灰を混ぜた釉です。

    b) 釘彫り: 釘(くぎ)又は箆(へら)状の物で、釉を削り取り、下地が文様になります

    c) 墨流し: 異なる色の釉を適宜垂らし、器全体を強く揺さぶり釉の移動による文様です

    d) 筒描き(イッチン): 竹筒(現在ではスポイト)に白土を入れ、押し出しながら

      模様を描く方法です。

    e) 葉文: 葉を表面に置き、その上から釉を掛け、葉の文様を出します。

  ?) 丹波焼の贋作。

   a) 丹波焼の贋作が出現するのは、昭和14〜15年頃からと言われています。

    切っ掛けは、民藝の柳宗悦氏が、雑誌「工芸」で丹波を取り上げた事です。

    それ以前は、丹波焼は地方の一窯場で注目を集める事は少なかった様です。

   b) 贋作は江戸中期の「海老絵徳利」、「傘徳利」等の徳利類が多く、江戸初期の「朝倉

    山椒壷」、室町時代の自然釉の写しなどが多いです。これらが流通段階で、古陶に化ける

    事もある様です。

   c) 江戸時代の丹波の作品は、種類も多く、バラエティーに富んでいますので、真贋の特徴を

    見極めるのは難しいとの事です。

   d) 大方の贋作は、真作に比べ作行が鈍く、真作よりも汚れている場合が多いとの事です。

6) 越前焼。

  越前焼は後で述べる珠洲(すず)、加賀など共に、北陸を代表する焼き物です。

 ? 越前焼とは。

  ?) 越前古窯の中心地は、現在の福井県丹生郡織田町と宮崎村です。現在確認されている

   古窯址は、平安末から桃山期の十数基です。須恵器、大型の甕、壷、擂鉢を中心に日常雑貨が

   制作されていました。その他、骨蔵壷も多いです。

   鎌倉中期から南北朝に掛けてが、最盛期と考えられています。

  ?) 室町時代になると、越前焼のスタイルであるなで肩の壷が、作られる様になります。

    鉄分を含む赤土を塗り、木灰釉が掛けられています。

  ?) 室町末には、小型な「おはぐろ壷」が作られ、江戸末期まで造り続けています。

  ?) 江戸時代になると、施釉陶器が多く作られる様になります。主に農民用の小型の日常

    雑貨(農耕貯蔵用具)が多く、食器類はほとんどありません。

 ? 越前焼の特徴。

  ?) 刻文、刻字: 壷や甕、擂鉢の内側に箆(へら)で文様が描かれています。

     文様は植物や文字などが多いですが、桃山期以降の文字は窯印と思われています。

  ?) 押印: 最初は繋ぎ目に押し密着をよくする目的で、格子状の印が多いですが、やがて

     装飾として、押される様になります。

 ? 越前焼の贋作。

以下次回に続きます。

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