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Channel: わ! かった陶芸 (明窓窯)
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騙しのテクニック40 本物も偽物も多い作品1

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2) 本物も偽物も多い作品。

 ? 唐三彩各種。

  ?) 褐色、藍、緑の鉛釉の三彩を低い温度で焼成した唐三彩は、強度不足で実用には適し

    ません。但し、低火度焼成の為、色彩が原色に近く、煌びやかで主に、儀式用や装飾品と

    して生産されいました。

  ?) 清朝末期(明治末〜大正初期)に大量に出土します。

    洛陽近辺で鉄道敷設工事の際、偶然、唐代の墓が掘り当てられ、派手の色彩の焼き物が

    次々に出土します。

   ?) 北京の骨董商の目に留まり、店に並べた際、日本人やアメリカ人、西洋人の関心を

    呼びます。次第に高値で取引される様になると、盗掘団によって洛陽付近の墓が次々に

    あばかれます。副葬品である壷、酒盃の他、食用でもあった豚、牛、羊などの置物も

    出土し、当時の貴族層の贅沢振りが見られます。

    明代になると、型作りによる同じ種類の唐三彩が作り出され、より安価な三彩が庶民の

    墓の副葬品として、使われる様になります。

   ?) 唐三彩の写しは、中国で現在でも盛んに作られています。飾り物として製造された物で

     す。但し真作を忠実に写した物や、白っぽい土を擦り付けて古色付けした物もあり、

     真偽の判断は、必ずしも容易ではありません。

   ?) 盃などの小物は、それなりに安価ですが、大作の真作は大変高価です。

   上記の理由で、本物も多く存在し、写し(贋作)も多く出回っています。

 ? 李朝白磁染付各種。

  李朝の陶磁器を好むのは、我が国に於いて顕著ですが、朝鮮と日本以外の国では、高麗中期頃

  までの陶磁器が評価され、それ以外比較的好まれない様です。

  その原因は、磁器は端正で精緻な作風の物と言うイメージですが、李朝は他と異なり、砕けた

  感じのする作品が多い為ではないかと言われています。

  尚、我が国で李朝の陶磁器が再発見をれ、高く評価したのは、民藝運動の創始者の柳宗悦氏で

  それ以降、我が国で李朝の陶磁器が注目を集めます。

  ?) 李朝白磁の偽物が多い理由。

   a) 形や文様に多様性が少なく、写しを作るのが比較的容易です。

   b) 韓国の現在の陶磁器は、伝統的な技法を踏襲している為、偽者のレベルが高くそのレベル

    も日々進化しています。

   c) 一般に偽物は単価の高い優れた磁器に多いのですが、韓国では小壷や盃など小物も多く

    存在しています。

  ?) 偽者の多い白磁の種類。

   a) 前期白磁の時代の物として、偏壷、俵壷、玉壷春形瓶、立壷などがあります。

     前期白磁は、白〜灰白色の磁肌が特徴です。本物に対し釉面は平滑とされていますが、

     「かせ」や「擦り傷」などが有ると(着けられると)真偽の判別は難しくなります。

   b) 中期の金沙里窯の白磁は、ややクリーム掛かった白色で、白磁面取瓶や、提灯壷などの

     贋作が多いです。贋作は表面状態や釉肌が本物とは、差がある様です。

  ?) 白磁染付の贋作。

   a) 前期染付は作られた数も、極めて少ないそうです。本物は博物館や美術館以外で見る事は

     ほとんど有りません。

   b) 前期染付は前期白磁に、梅文などの染付を施した物です。

     偽物は本物に比べ、染付の発色が微妙に異なる場合が多いです。更に、本物には無い

     文様が描かれた物もあります。その他、文様の描き方、磁肌の平滑さなどに差が有ると

     言われています。

   c) 後期分院窯の写しには、精巧の物が多いです。丸壷に着けられた木槿(むくげ)文や

     牡丹文などは、真作と見分けが困難とも言われています。

     近年出来の悪い小物の水滴などに古色(薬品処理など)を付けた贋作が、大量に出回って

     いるとの事です。

   d) 一時期化学コバルトが使用され、華やか過ぎる発色のの染付けが流行します。

     器形や絵付けなどが、李朝の様式を持ちながら、薄い呉須で色付された物がありますが、

     おおむね贋作です。又、変わった器形の作品も疑いがあります。

     更に、古色が付き薄汚れた作品には、贋作が多く、逆に古さを感じさせない作品の方が

     真作の場合が多い様です。 

  ?) 大正李朝と呼ばれる作品。

    大正〜昭和の戦前に、朝鮮半島で作られた李朝風の焼き物の事です。

   a) 厚手の白磁の碗や壷等に、化学コバルトで染付をした物で、贋作ではありません。

     しかし、この作品を李朝の作品として流通させれば、れっきとした贋作と成ります。

   b) 最初から贋作として作られた作品。

     李朝の古陶磁器は、本国や我が国に於いて根強い人気がある事に目お付け、古陶磁に

     似せて作った物です忠実に古作に似せた、優れた作品もありますが、各時代の様式を

     混ぜ合わせた様な、時代の不明な作品も多く、現代ではその不自然さが目立ち、贋作の

     判断が容易との事です。

 尚、李朝の陶磁器について、今まで詳細な説明はしておりませんが、後日説明したいと思って

 おります。 

以下次回に続きます。


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