1) 陶芸で焼くとは、単に1200~1250℃の高温にすると言う事ではありません。
短時間に高温で焼成すれば、土が焼き締まる訳でもありません。
焼き締りは素地に与えられた熱量によって決まります。熱量=温度X時間で表せます。
即ち、与えられた温度と時間の積ですので、時間が長ければ比較的低温でも焼き締まる事に
なります。又、高温に成る程縮む量は増え、焼締りが強くなります。即ち作品が小さくなります。
① 土の縮みは、各工程で見られます。
) 制作直後から、素地は縮み始めます。
制作時では素地が水分を多く含んでいます。轆轤作業では手捻りよりも多くの水を使います
のでかなりの量の水を吸い込んでいます。(20%程度とも言われています。)制作終了と
共に乾燥が始まり、徐々に水分が抜けていきます。それと共に作品全体が縮み始め、土の
色も白っぽくなっていきます。ここまでの縮む量は、本焼き終了後の縮み量の約半分程です。
即ち、全体で12%程縮む土で有れば、約6%程度縮む事になります。
) 十分乾燥させた素地は、素焼きではほとんど縮みません。(但し、十分乾燥させても若干
水分を含みます。)素焼きは、一般に700~800℃程度で焼成する事が多いですが、1000℃
近くの温度で行う事があります。この程度の温度差では、素地の縮み具合も大差ありません。
約1000℃(厳密には980℃程度)までの焼成を、焙炊き(あぶりたき)と言います。
主に素地に含まれる有機物を焼失させたり、有害な硫化鉄を酸化させて、無害にする目的も
あります。
) 約1000℃程度から化学反応を起こし、急速に収縮し始めます。
焼き締まるとは、素地(粘土や磁土)に含まれる珪酸成分や長石類が、熔剤であるカルシウム
ナトリウム、カリウム、マグネシウム等によって、カオリン等の粘土質成分を密に結合させる
事により、焼き締まる(縮む)現象が起きます。
尚、約1000℃から目的の最高温度(焚上=たきあげ、揚火=あげびと言います)までを
攻焚き(せめたき)、又は追焚き(おいたき)と言います。
最高温度では、釉が熔けきって流れ、釉が平滑になった状態に成っている事です。
) 窯の温度を上げる事は同時に、窯の壁も暖める事になります。即ち窯全体を暖める事です。
暖められた窯の壁からは、輻射(放射)熱が放出され、作品に熱量を与える事になります。
それ故、単に作品だけを暖めるだけでは、温度が上昇してくれません。当然ですが、窯を
暖めたり、棚板などの窯道具を暖める熱量は、作品を暖める熱量よりも多くなります。
② 焼き締り易い土と、焼き締り難い土があります。
肌理の細かい素地は収縮率が大きくなります。粗めの素地は小さいです。鉄分を含む赤土などは
鉄分が高温で素地を熔かす働きをしますので、白い土より融点が低く、且つ縮み量も若干多く
なります。
③ 窯の冷却は、ほとんど作品の縮みには関係しません。
高温の窯の中では作品は、熱膨張を起こしているはずで、冷却と共に熱膨張が少なくなり、
作品が収縮する感がありますが、実際には、ほとんど影響がありません。
2) 無釉の焼き物で、水を透さない物に器(せっき)があります。器は別名「焼き締め陶」と
言います。代表的な焼き物に備前焼(岡山県)があります。
以下次回に続きます。
短時間に高温で焼成すれば、土が焼き締まる訳でもありません。
焼き締りは素地に与えられた熱量によって決まります。熱量=温度X時間で表せます。
即ち、与えられた温度と時間の積ですので、時間が長ければ比較的低温でも焼き締まる事に
なります。又、高温に成る程縮む量は増え、焼締りが強くなります。即ち作品が小さくなります。
① 土の縮みは、各工程で見られます。
) 制作直後から、素地は縮み始めます。
制作時では素地が水分を多く含んでいます。轆轤作業では手捻りよりも多くの水を使います
のでかなりの量の水を吸い込んでいます。(20%程度とも言われています。)制作終了と
共に乾燥が始まり、徐々に水分が抜けていきます。それと共に作品全体が縮み始め、土の
色も白っぽくなっていきます。ここまでの縮む量は、本焼き終了後の縮み量の約半分程です。
即ち、全体で12%程縮む土で有れば、約6%程度縮む事になります。
) 十分乾燥させた素地は、素焼きではほとんど縮みません。(但し、十分乾燥させても若干
水分を含みます。)素焼きは、一般に700~800℃程度で焼成する事が多いですが、1000℃
近くの温度で行う事があります。この程度の温度差では、素地の縮み具合も大差ありません。
約1000℃(厳密には980℃程度)までの焼成を、焙炊き(あぶりたき)と言います。
主に素地に含まれる有機物を焼失させたり、有害な硫化鉄を酸化させて、無害にする目的も
あります。
) 約1000℃程度から化学反応を起こし、急速に収縮し始めます。
焼き締まるとは、素地(粘土や磁土)に含まれる珪酸成分や長石類が、熔剤であるカルシウム
ナトリウム、カリウム、マグネシウム等によって、カオリン等の粘土質成分を密に結合させる
事により、焼き締まる(縮む)現象が起きます。
尚、約1000℃から目的の最高温度(焚上=たきあげ、揚火=あげびと言います)までを
攻焚き(せめたき)、又は追焚き(おいたき)と言います。
最高温度では、釉が熔けきって流れ、釉が平滑になった状態に成っている事です。
) 窯の温度を上げる事は同時に、窯の壁も暖める事になります。即ち窯全体を暖める事です。
暖められた窯の壁からは、輻射(放射)熱が放出され、作品に熱量を与える事になります。
それ故、単に作品だけを暖めるだけでは、温度が上昇してくれません。当然ですが、窯を
暖めたり、棚板などの窯道具を暖める熱量は、作品を暖める熱量よりも多くなります。
② 焼き締り易い土と、焼き締り難い土があります。
肌理の細かい素地は収縮率が大きくなります。粗めの素地は小さいです。鉄分を含む赤土などは
鉄分が高温で素地を熔かす働きをしますので、白い土より融点が低く、且つ縮み量も若干多く
なります。
③ 窯の冷却は、ほとんど作品の縮みには関係しません。
高温の窯の中では作品は、熱膨張を起こしているはずで、冷却と共に熱膨張が少なくなり、
作品が収縮する感がありますが、実際には、ほとんど影響がありません。
2) 無釉の焼き物で、水を透さない物に器(せっき)があります。器は別名「焼き締め陶」と
言います。代表的な焼き物に備前焼(岡山県)があります。
以下次回に続きます。