2) 食器などに付いた臭い。
陶器は磁器に比べ、水分を吸収し易いです。勿論、備前焼、常滑焼などの様に十分焼き締まった
陶器では、無釉であっても十分使用に耐える物もありますが、多くの陶器は施釉する事で水分を
吸収する作用を抑えています。しかし如何に施釉しても、完全に水分の吸収する事が出来る訳では
ありません。その事が汚れの原因となり、更には有機物に雑菌が住み着き、臭いが付く事になり
ます。
1) 臭いの元は何か?
食器であれば、料理から出る汁であったり、汁物の汁であり、花瓶(花入れ)などでは中に入れる
水などが臭いの元です。汁には塩分や出しなどの調味料や、澱粉等の物質が含まれていますので、
これらが少しづつ器に吸収される事になります。単なる水であれば、器に吸収されても、ほとんど
表面より蒸発しまいますので、臭いの元には成らないと思われますが、実際には、花瓶の中の水が
長時間留まる事で、空気中の塵(ちり)や埃(ほこり)、雑菌が入り込み繁殖します。更に長時間
ですと水が腐る現象も起こります。場合によっては、活花を長持ちさせる為の薬剤を使う事も
稀ではありません。
2) 臭いの付き易い陶器。
① 釉はガラス質で、本来水を吸収する事も無く、汚れに対して強い性質があります。
但し、ガラス質の層が薄かったり、「貫入」(釉のひび)がある場合には、この割れ目から、
中の液が染み出してきます。液の中の水は染み出しても空気中に蒸発しますが、液の中にある
有機物は蒸発せずに、割れ目に残る事になります。
② 陶器の器を長い間使っていると、「味が出てきた」と言う場合があります。
)これは、「ひび割れ」に沿って、茶渋などの汚れが適度に付いた状態の事です。この汚れは
少しであれば、ほとんど臭いもしませんが、ある期間が過ぎると臭いが付いてきます。主に
有機物に付いた黴(かび)類や雑菌による腐敗臭です。
) 肌理の粗い素地の陶器では、施釉を施しても中の水が外に漏れてくる事があります。
多くの場合は、長い間水を溜めている花瓶などですが、萩焼きなどの茶碗にも現れる現象です
特に、「萩の七化け」とか「雨漏り」と呼ばれる物で、茶人などその筋の人には、珍重される
場合もあります。花瓶の場合は、市販の「水漏れ防止剤」を内部に塗り、乾燥させてから使い
ます。
) 食器戸棚など空気の交換が少ない場所に置いた食器では、高台内に黴(かび)が生える
事もあります。何度も述べる様に、陶器は水を吸い込み易いですので、食器を洗った後は、
十分に乾燥させる必要があります。これを怠ると、密封され易い高台内に黴は発生します。
これを予防する為に、高台内と畳付きと呼ばれる無釉の部分には、撥水剤を施す必要があります
3) 汚れの予防方法と対処方法。
① 吸湿性のある陶器は、使用前に水に漬ける事で、生き生きした表情を表します。同時に、
新たな汚れを吸収するのを防ぐ事が出来ます。
② 汚れや黴の付いた食器処理の仕方には、以下の方法があります。
) 汚れを煮出す方法。
一晩鍋などで水に漬けます。十分水を吸い込ませてから、水から数時間煮出します。
ガーゼや布で包むと、器同士の接触を避け、破損から守る事ができます。煮出しで汚れた水が
出てくれば、汚れが取れた事に成りますが、それでも不十分な場合には、再度繰り返します。
更に、重曹や木炭などを入れるとより脱臭効果が上がります。処理の済んだ器は、布で綺麗に
拭き、良く乾燥させます。
) 希釈した漂白剤に数日漬けておく方法。
頑固な汚れは希釈した漂白剤に数日間漬けて置くことです。水を数回取り替えるとより効果的
です。この処理の方法ですと、漂白剤が器に吸い込む事にも成りますので、水を入れた容器に
数日晒す事で、漂白剤を抜く必要があります。この作業を怠ると、貫入部分から漂白剤が
白く吹き出る場合があります。
) 素焼きの際、窯に入れて有機物を燃焼させる。
窯を持っていれば、素焼きの際に一緒に焼いてもらう事です。この方法は確実に新品同様に
綺麗にする事ができます。
以上で、「粘土の臭いと焼き物の臭い」の話を終わります。
陶器は磁器に比べ、水分を吸収し易いです。勿論、備前焼、常滑焼などの様に十分焼き締まった
陶器では、無釉であっても十分使用に耐える物もありますが、多くの陶器は施釉する事で水分を
吸収する作用を抑えています。しかし如何に施釉しても、完全に水分の吸収する事が出来る訳では
ありません。その事が汚れの原因となり、更には有機物に雑菌が住み着き、臭いが付く事になり
ます。
1) 臭いの元は何か?
食器であれば、料理から出る汁であったり、汁物の汁であり、花瓶(花入れ)などでは中に入れる
水などが臭いの元です。汁には塩分や出しなどの調味料や、澱粉等の物質が含まれていますので、
これらが少しづつ器に吸収される事になります。単なる水であれば、器に吸収されても、ほとんど
表面より蒸発しまいますので、臭いの元には成らないと思われますが、実際には、花瓶の中の水が
長時間留まる事で、空気中の塵(ちり)や埃(ほこり)、雑菌が入り込み繁殖します。更に長時間
ですと水が腐る現象も起こります。場合によっては、活花を長持ちさせる為の薬剤を使う事も
稀ではありません。
2) 臭いの付き易い陶器。
① 釉はガラス質で、本来水を吸収する事も無く、汚れに対して強い性質があります。
但し、ガラス質の層が薄かったり、「貫入」(釉のひび)がある場合には、この割れ目から、
中の液が染み出してきます。液の中の水は染み出しても空気中に蒸発しますが、液の中にある
有機物は蒸発せずに、割れ目に残る事になります。
② 陶器の器を長い間使っていると、「味が出てきた」と言う場合があります。
)これは、「ひび割れ」に沿って、茶渋などの汚れが適度に付いた状態の事です。この汚れは
少しであれば、ほとんど臭いもしませんが、ある期間が過ぎると臭いが付いてきます。主に
有機物に付いた黴(かび)類や雑菌による腐敗臭です。
) 肌理の粗い素地の陶器では、施釉を施しても中の水が外に漏れてくる事があります。
多くの場合は、長い間水を溜めている花瓶などですが、萩焼きなどの茶碗にも現れる現象です
特に、「萩の七化け」とか「雨漏り」と呼ばれる物で、茶人などその筋の人には、珍重される
場合もあります。花瓶の場合は、市販の「水漏れ防止剤」を内部に塗り、乾燥させてから使い
ます。
) 食器戸棚など空気の交換が少ない場所に置いた食器では、高台内に黴(かび)が生える
事もあります。何度も述べる様に、陶器は水を吸い込み易いですので、食器を洗った後は、
十分に乾燥させる必要があります。これを怠ると、密封され易い高台内に黴は発生します。
これを予防する為に、高台内と畳付きと呼ばれる無釉の部分には、撥水剤を施す必要があります
3) 汚れの予防方法と対処方法。
① 吸湿性のある陶器は、使用前に水に漬ける事で、生き生きした表情を表します。同時に、
新たな汚れを吸収するのを防ぐ事が出来ます。
② 汚れや黴の付いた食器処理の仕方には、以下の方法があります。
) 汚れを煮出す方法。
一晩鍋などで水に漬けます。十分水を吸い込ませてから、水から数時間煮出します。
ガーゼや布で包むと、器同士の接触を避け、破損から守る事ができます。煮出しで汚れた水が
出てくれば、汚れが取れた事に成りますが、それでも不十分な場合には、再度繰り返します。
更に、重曹や木炭などを入れるとより脱臭効果が上がります。処理の済んだ器は、布で綺麗に
拭き、良く乾燥させます。
) 希釈した漂白剤に数日漬けておく方法。
頑固な汚れは希釈した漂白剤に数日間漬けて置くことです。水を数回取り替えるとより効果的
です。この処理の方法ですと、漂白剤が器に吸い込む事にも成りますので、水を入れた容器に
数日晒す事で、漂白剤を抜く必要があります。この作業を怠ると、貫入部分から漂白剤が
白く吹き出る場合があります。
) 素焼きの際、窯に入れて有機物を燃焼させる。
窯を持っていれば、素焼きの際に一緒に焼いてもらう事です。この方法は確実に新品同様に
綺麗にする事ができます。
以上で、「粘土の臭いと焼き物の臭い」の話を終わります。