轆轤作業に入る前に、知っておいた方が良い知識があります。初心者の為に一通り説明します。
1) 粘土と磁土。
轆轤作業で使う土は、大きく分けて粘土と磁土に分かれますが、磁器を焼く人の割合は極僅かで
ほとんどの方は、粘土で作っています。
土には轆轤挽きのし易い土と、轆轤挽きがし難い土があります。
磁土は、轆轤挽きが大変難しいです。粘土ほどの粘り気がありません。
更に、磁器は磁肌に汚れや他の色が着く事を極端に嫌いますので、轆轤作業の環境は十分綺麗に
して置かなければ成りません。
・ 今回のテーマで取り扱うのは、粘土を利用した轆轤挽きに限らせて頂ます。
? 轆轤挽きに適する土の条件。
?) 薄く上に伸びてくれる土(粘土)は、轆轤挽きに適する土です。 作品が作り易い土と
言えます。
?) 薄く上に伸び難い土は、轆轤作業がし難いです。
肌理(きめ)の細かい土は、手の触覚が滑らかで、一見轆轤作業がし易い様に見えますが、
実際には、土が伸びず苦労する土です。上に伸びた土も見る間に縮んで仕舞ます。
肌理の細かい土は磁土の他に、「半磁器土」や「土鍋土」等があります。
?) 市販されている粘土類の中で、一番多く使われている土は、信楽の並漉(なみこし)
と言われる土です。陶芸材料店で比較的安価に購入できます。
適度の粒子の粗さがあり、白く焼き上がりますので、大物から小物まで轆轤挽きに適します
・ 信楽の特漉(とくこし)と呼ばれる粒子の細かい土がありますが、轆轤挽きに手こずります
轆轤の初心者はなるべく、轆轤挽きのし易い土で練習すると良いでしょう。
?) 軟らかい土と硬目の土。水の含有量の違いです。
轆轤挽きする際、軟らかい土は、力も要らず弱い力で、土が伸びてくれます。
この様な土は小物を作る際には、適しますが一般には使い勝手の悪い土と言えます。
大物や、背の高い作品を作る事が出来ません。即ち、水の含有量が大きいと、土に腰が無く
なり、自分自身を支える事が出来なくなります。成形は時間を掛けずに、手早く終了
させる必要があり、初心者向きではありません。
硬目の土は強い力を必要としますが、長い時間轆轤作業をする事ができます。
?) 信楽の古陶土の中には、大粒の「ハゼ石」の入っている土もあります。
この土を轆轤挽きする際、指を怪我する事もありますので、布や皮を使う必要があります。
ある意味、使い難い土とも言えます。
・ 勿論、最終的には、どの土でも轆轤挽きの出来る腕前に成る事が理想です。
2) 轆轤の回転方向と、回転スピード。
? 電動轆轤の場合、スイッチの入れ方で、左右どちらの方向にも回転可能です。
どちら方向に回転させるかは、轆轤の作業者が自由に決める事ができます。
当然一方の方法をマスターすれば十分です。
?) 一般に日本では、右回転(時計方向回転)で使う事が多いです。
a) 我が国では、電動轆轤以前の轆轤は「手轆轤」を使う事が多かったです。
轆轤の回転盤の縁に設けられた穴(凹み)に棒を差し込み、手で回転させる方法で、右回転
の方が操作し易いため、右方向回転になったと言われています。
b) 成形時と底削り共、右回転で行う方法と、底削りのみを左回転で行う方法があります。
削る道具である、カンナ類を右手に持つと、左回転の方が削り易いと言う人もいますが、
要は慣れの問題です。
?) 海外や日本の一部の地方では、左回転で使っています。
主な理由は、足を使う蹴り轆轤の使用が多く、左回転の方が自然な行為と成る為です。
?) 回転方向が異なれば、手の使い方も反対に成ります。
a) 右回転の場合、器の外側は左手で、内側は右手で触れる事に成ります。左回転では左右の
手の使い方が逆に成ります。
b) 轆轤では、外側の手が重要です。
轆轤は回転する為に常に遠心力が発生します。この遠心力に負けない様に、手の位置を
しっかり固定できる事が、最も重要です。この位置が振ら付く事は、作品自体が振ら付く
原因に成ります。尚、この件の詳細は後日お話します。
? 回転スピード。
?) 電動轆轤の場合、轆轤右手側にスピードをコントロールするペダルが付いている形の物が
多いです。踏み込む量によって回転スピードは速くなります。
勿論、手動で行える様に、コントロールレバーが付いていますが、ペダルを使えば両手が
使えます。
?) 電動轆轤では、回転スピードが重要な要素になります。それ故、スピードを固定せず、
常に速度調整に気を使います。特に初心者は足への注意が不足し、段々速度が増したり、
逆に遅くなる傾向が見られます。
?) 回転スピードが二倍に成ると、遠心力は四倍になります。即ち速度の二乗に比例します。
直径が大きくなると、半径の長さに比例して遠心力は増えます。
a) 直径が大きくなるに従い、遠心力は極端に大きくなります。
b) 轆轤の操作時には、粘土と手の触れるスピードはなるべく一定にしたいです。
遠心力やスピードが極端に変化すると、肉厚が変化したり、作品が振れる原因になります
c) 上記問題を解決するには、径が大きくなるに従い、回転スピードを遅くする事です。
逆に、径が鶴首の様に細くする場合は、回転スピードを速くします。
d) 作品の径だけではなく、作品を上に伸ばした際に、手が上に行くほど回転スピードを
落し、振れを押さえる事も重要です。(この件に対しては、後日詳しく述べます。)
3) 轆轤作業に必要な用具類。
以下次回に続きます。
1) 粘土と磁土。
轆轤作業で使う土は、大きく分けて粘土と磁土に分かれますが、磁器を焼く人の割合は極僅かで
ほとんどの方は、粘土で作っています。
土には轆轤挽きのし易い土と、轆轤挽きがし難い土があります。
磁土は、轆轤挽きが大変難しいです。粘土ほどの粘り気がありません。
更に、磁器は磁肌に汚れや他の色が着く事を極端に嫌いますので、轆轤作業の環境は十分綺麗に
して置かなければ成りません。
・ 今回のテーマで取り扱うのは、粘土を利用した轆轤挽きに限らせて頂ます。
? 轆轤挽きに適する土の条件。
?) 薄く上に伸びてくれる土(粘土)は、轆轤挽きに適する土です。 作品が作り易い土と
言えます。
?) 薄く上に伸び難い土は、轆轤作業がし難いです。
肌理(きめ)の細かい土は、手の触覚が滑らかで、一見轆轤作業がし易い様に見えますが、
実際には、土が伸びず苦労する土です。上に伸びた土も見る間に縮んで仕舞ます。
肌理の細かい土は磁土の他に、「半磁器土」や「土鍋土」等があります。
?) 市販されている粘土類の中で、一番多く使われている土は、信楽の並漉(なみこし)
と言われる土です。陶芸材料店で比較的安価に購入できます。
適度の粒子の粗さがあり、白く焼き上がりますので、大物から小物まで轆轤挽きに適します
・ 信楽の特漉(とくこし)と呼ばれる粒子の細かい土がありますが、轆轤挽きに手こずります
轆轤の初心者はなるべく、轆轤挽きのし易い土で練習すると良いでしょう。
?) 軟らかい土と硬目の土。水の含有量の違いです。
轆轤挽きする際、軟らかい土は、力も要らず弱い力で、土が伸びてくれます。
この様な土は小物を作る際には、適しますが一般には使い勝手の悪い土と言えます。
大物や、背の高い作品を作る事が出来ません。即ち、水の含有量が大きいと、土に腰が無く
なり、自分自身を支える事が出来なくなります。成形は時間を掛けずに、手早く終了
させる必要があり、初心者向きではありません。
硬目の土は強い力を必要としますが、長い時間轆轤作業をする事ができます。
?) 信楽の古陶土の中には、大粒の「ハゼ石」の入っている土もあります。
この土を轆轤挽きする際、指を怪我する事もありますので、布や皮を使う必要があります。
ある意味、使い難い土とも言えます。
・ 勿論、最終的には、どの土でも轆轤挽きの出来る腕前に成る事が理想です。
2) 轆轤の回転方向と、回転スピード。
? 電動轆轤の場合、スイッチの入れ方で、左右どちらの方向にも回転可能です。
どちら方向に回転させるかは、轆轤の作業者が自由に決める事ができます。
当然一方の方法をマスターすれば十分です。
?) 一般に日本では、右回転(時計方向回転)で使う事が多いです。
a) 我が国では、電動轆轤以前の轆轤は「手轆轤」を使う事が多かったです。
轆轤の回転盤の縁に設けられた穴(凹み)に棒を差し込み、手で回転させる方法で、右回転
の方が操作し易いため、右方向回転になったと言われています。
b) 成形時と底削り共、右回転で行う方法と、底削りのみを左回転で行う方法があります。
削る道具である、カンナ類を右手に持つと、左回転の方が削り易いと言う人もいますが、
要は慣れの問題です。
?) 海外や日本の一部の地方では、左回転で使っています。
主な理由は、足を使う蹴り轆轤の使用が多く、左回転の方が自然な行為と成る為です。
?) 回転方向が異なれば、手の使い方も反対に成ります。
a) 右回転の場合、器の外側は左手で、内側は右手で触れる事に成ります。左回転では左右の
手の使い方が逆に成ります。
b) 轆轤では、外側の手が重要です。
轆轤は回転する為に常に遠心力が発生します。この遠心力に負けない様に、手の位置を
しっかり固定できる事が、最も重要です。この位置が振ら付く事は、作品自体が振ら付く
原因に成ります。尚、この件の詳細は後日お話します。
? 回転スピード。
?) 電動轆轤の場合、轆轤右手側にスピードをコントロールするペダルが付いている形の物が
多いです。踏み込む量によって回転スピードは速くなります。
勿論、手動で行える様に、コントロールレバーが付いていますが、ペダルを使えば両手が
使えます。
?) 電動轆轤では、回転スピードが重要な要素になります。それ故、スピードを固定せず、
常に速度調整に気を使います。特に初心者は足への注意が不足し、段々速度が増したり、
逆に遅くなる傾向が見られます。
?) 回転スピードが二倍に成ると、遠心力は四倍になります。即ち速度の二乗に比例します。
直径が大きくなると、半径の長さに比例して遠心力は増えます。
a) 直径が大きくなるに従い、遠心力は極端に大きくなります。
b) 轆轤の操作時には、粘土と手の触れるスピードはなるべく一定にしたいです。
遠心力やスピードが極端に変化すると、肉厚が変化したり、作品が振れる原因になります
c) 上記問題を解決するには、径が大きくなるに従い、回転スピードを遅くする事です。
逆に、径が鶴首の様に細くする場合は、回転スピードを速くします。
d) 作品の径だけではなく、作品を上に伸ばした際に、手が上に行くほど回転スピードを
落し、振れを押さえる事も重要です。(この件に対しては、後日詳しく述べます。)
3) 轆轤作業に必要な用具類。
以下次回に続きます。