5) 須恵器の種類。
須恵器の種類は、古墳の副葬品などに利用された、供献(きょうけん)用と日常的に利用する
食器類とに分けられます。
? 供献用の須恵器。
これらに属する須恵器には、実用的とは思われない、特異な形の物も多いです。
?) 脚付装飾壷、脚付有蓋壷: 6世紀(特に後半)の古墳から出土する事が多いです。
高さが30〜60cm程度で、その半分がタワー状(円錐形)の脚(きゃく)で、その上に壷が
載った形をしています。単なる壷だけの物は少なく、蓋が付いた物や、壷の肩部に複数の
小さな壷や鳥などを載せた物が多いです。
?) 装飾壷(子持壷): 装飾過多な飾り壷も作られています。
兵庫県龍野市や大阪府茨木市などの古墳から出土する装飾壷には、相撲取り、行司、観客、
その他、鹿の親子などの小さな像を肩に載せた物も出土しています。
a) この人物や動物などを配した装飾壷は、上記の古墳のみでなく、関東から北九州までの
広範囲の古墳に分布しています。中心地は岡山、大阪、和歌山の様です。
b) 人物や動物の小像は、粘土紐を細工して接合したものです。
人物には、巫女、貴人、従者、荷を担ぐ人、子を負う人等、種類も多いです。
動物の種類も馬、鹿、犬、猪、亀、蛇などがあります。
c) この様な装飾した壷が何を意味するものかは、現在でもはっきりしません。
?) 三脚付壷: 高さ20〜30cm 7世紀、福岡県の古墳より出土。
有蓋壷に箆(へら)削りした棒状の脚が3本付いています。恐らく、朝鮮から直接影響された
物ではないかと考えられています。
?) 脚付四連壷、脚付七連杯、 子持台器など:
数個の壷や杯を脚の上に載せた物で、蓋付きの壷や杯があります。
?) その他の器形。
a) 脚付鳥蓋壷: 蓋に鳥形の摘み部を持つ須恵器で、尾張、三河、遠江地方の古墳から
出土します。蓋には三羽の鳥を付けた物もあります。
b) はそう(瓦偏に泉)について。
壷の真横に1〜3個の丸い小孔が空いた形の物で、高くて長い脚が付いている物も
あります。 これは酒器ではないかと考えれています。この孔からストロー状の管(細い
竹筒)を差込み、中の酒(液体)を吸い取っていた様です。孔に木栓がしてある状態で出土
した例もあるそうです。脚(器台)には長方形の穴が沢山空けられています。
この脚の部分は楽器の一種を模したものと見る研究者もいます。
又、樽形(米俵形)のものもあり、一孔が空けられています。
c) 平瓶(ひらべ・へいへい)他: 7世紀前半に出現します。
胴体に短い口頸が付けられた形で、提瓶(さげべ)、横瓶(よこべ)、平瓶があります。
・ 平瓶には、やや扁平な容器の一方の端に注ぎ口を設けた形をし、酒など入れ酒宴に必要な
物であったようです。鳥を模した鳥形瓶もあります。
・ 提瓶は扁平な胴を持ち、口縁を挟んだ両側に耳を付け、紐を通して水筒の様に使った
物と思われます。現在の沖縄の抱瓶(だちびん)の原型とも言えます。
・ 横瓶は横長の器で、真上の中心に小振りな口頸を持つ、液体貯蔵用の物と思われます。
? 日常的に使う須恵器の種類。
以下次回に続きます。