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Channel: わ! かった陶芸 (明窓窯)
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焼き物の着物(色彩)22 無彩色21(須恵器3)

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4) 須恵器を作る環境。

  ? 窯は半地下式の窖窯(あながま)が使われています。(前回の続きです。)

   ?) 窯の構造。

   ?) 燃料に付いて。

     燃料は薪が使われていますが、須恵器を焼き始めの頃は、広葉樹林帯の樫(かし)や椎

     (しい)の木で焼成していた様です。現在では、攻焚き(せめたき)で脂を多く含む、赤松を

     使います。但し、生産場所によって現地の風土、地理的条件の違いにより薪の種類も違い

     ますので、地域差が存在します。

    a) 生産量に伴い、燃料の消費量が増え、周囲の自然林は荒廃して行きます。

       当時は植林の発想はありませんので、燃料を求めて新たな場所に窯を作る場合もあった

       様です。

      ・ 尚、荒廃した場所でも、杉や赤松などが自然再生される事が解かると、赤松を使う様に

       成り、一部植林もされていたかも知れません。

    b) 一度の焼成で1,500〜2,000束の薪が必要との事です。

      復元した須恵器の窖窯では、三昼夜の窯焚きで、約2000束の薪を使用したとの事で、

      大量の樹木が伐採され、古い書物には燃料の争奪戦の記載もある様です。

   ?) 焼成方法に付いて。

     須恵器は還元焔で焼成して、あの独特の青味掛かった灰色になります。更に、青い色調は

     胎土をガラス質に近い硬さにする働きもあります。

     但し、窯焚き当初から還元焔にすると、温度上昇が鈍く燃料の無駄が多いです。

     a) 最初に空気を十分送る、酸化焔で窯の温度を高めます。

     b) 攻焚きの段階で、薪を大量に投入して密閉状態にし、窯内を還元状態にします。

     c) 不十分な還元の場合には、表面は青色ですが、割れた断面を見ると、芯の部分に赤味

       が見えます。 窯跡近くから失敗して捨てた灰原(かいばら)と呼ばれる場所が見られる

       場所もあります。

  ?) 窯の使用年限に付いて。

    a) 6世紀中頃の窯は、何度も補修を繰り返し長期間使用続けられています。

      20回以上補修が繰り返された窯もあります。壁は塗り替えられ、窯底には砂などを入れて

      補修しています。

    b) 7世紀以降に成ると、補修するより隣に新たな窯を築く事が多くなります。

      これは、窯の改良とも関係があります。即ち窯の傾斜の変化や焚口を広げる事、煙道を

      煙突状に作る事などす。中でも、窯の中に分焔柱(ぶんえんちゅう)と見られる棒(径が

      10〜15cm)が焼成部の各所に取り付けられ、窯の長さも短くなります。

      平安時代末期に成ると、分焔柱も太くなり、天井と底の間を結ぶ物へと発展します。

      これらの改良は火勢を強め、火の回りを調整する処置と考えられています。

    c) 窯の改良は床面の傾斜角度や、大甕を据える為床面に浅い窪みを持つ窯も現れます。

      後日述べる灰釉陶器の焼成には、1240℃以上の温度が要求される為、更に工夫を凝らす

      事に成ります。

  ? 轆轤に付いて。

以下次回に続きます。


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