? 埴輪の作り方。
?) 埴輪の表情と衣装。
大型化した埴輪は、葬送の行列を再現したもので、その様子を長く墳丘内に留め、更には一定
期間人に見せる為に制作され、並べられた物と言われています。
各種の埴輪の中でも、一番魅力的なのは人物埴輪です。その表情や衣装からは当時の生活
様式や、暮らし振りが判明します。
a) 人物埴輪の眼や口は、透かし彫りで表現されています。
細く横長の楕円形の眼は空洞の為、眼全体が黒く見えます。その見ている先は「ハッキリ」
しませんが、一説には泣いている眼であると見る人もいます。しかし見る人に何かを感じ
させる眼でもあります。
口も眼よも小さな孔で、僅かに口を開けている状態で表現されています。
一見、放心した時の表情に似ています。
b) 人物埴輪のほとんどは、男女を問わず、武人さえも数珠状の首輪(頸飾り)をしています。
当時の頸飾りは、正装の時には必須の装飾品であった様です。
但し、これらの衣装は特別の場所で着用された物で、普段にはもっと質素な衣装であった
事は事実です。
c) 重要文化財 正装の女(群馬県伊勢崎市出土)に見る衣装。
全身を表現した有名な女子の埴輪です。尚、圧倒的に上半身のみの埴輪が多いそうで、
全身像は極めて稀な事の様です。
イ) 頭は櫛を挿した髷(まげ)を結い、筒袖の衣装で、左前に合わせ、上下二箇所を紐で
結ばれ、スカート状の裳(も)を付けています。
ロ) 上衣(上着)には、青海波(せいがいは)の文様があり、裳には縦縞の文様が先の尖った
用具で引っ掻き、細い線で表現されています。
d) 埴輪 正装の男に見る衣装:(埼玉県美里村、太田市出土)
鉢巻状や鍔(つば)の付いた帽子、耳飾り、頸飾り、上衣、環頭太刀、刀子(とうす)、褌
(はかま)、足結び、沓(靴)を履いています。
褌とは腿の部分が大きく膨らみ、その下を紐で結ぶ衣装です。褌には櫛目文様の細かい
線が、縦方向に描かれています。
e) 国宝 「挂甲をつけた武人」(埴輪武装男子立像)に見る衣装: 群馬県太田市出土
衝角付冑、挂甲(けいこう=鎧)、肩甲、籠手(こて)、太刀、膝甲、臑当(すねあて)で完全
武装した埴輪です。衝角付冑には鋲(びょう)が打たれ、耳当で顔を包み込みんでいます。
挂甲、肩甲、籠手、膝甲、臑当には、細い線で短冊状の模様が描かれています。
・ 武人の埴輪の特徴として、柄に手を掛け今にも抜刀する構えになっている事です。更に
墓の外を向くように設置されている事です。これは、外から来る悪霊や悪者に対して墓を
守る姿勢を示していると言われています。
f) 赤色顔料(ベンガラなど)を、顔や冠、衣装に塗布した埴輪も多くあります。関東地方では
赤以外に、黒やグレーの色も使われています。
次回から須恵器(すえき)に付いてお話します。