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Channel: わ! かった陶芸 (明窓窯)
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焼き物の着物(色彩)18 無彩色17(埴輪6)

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? 埴輪の作り方。

  ?) 埴輪は、粘土の紐を積み上げながら成形する方法で、型による方法ではありません。

    基本的には中空に仕上げられています。これは土偶などとは大きな違いです。

    中空にする事で、埴輪の重さを軽くし、大きな埴輪を作る事も可能に成ります。

    又、中空にする事で、作品の乾燥を早め短い期間で、埴輪を作る事が出来る様にもなります。

    但し、側面に開けられた孔は、乾燥を早める以外に、別の目的があると思われます。

   a) 粘土は赤土を含み、800℃程度の低温で焼成する為、埴輪は赤褐色になります。

     余談ですが、現在でも埴輪を作る人は、「テラコッタ」と言う粘土を使います。これは白い土に

     鉄分を含む黄土を混ぜた土です。但し、高い温度で焼成すると、独特の赤褐色は出ずに、

     黒褐色になります。「テラコッタ」は素焼きの植木鉢の色となります。

   b) 筒型埴輪の様に円筒の物は、粘土で紐を作り巻き上げて作ったと思われます。

     当時は轆轤(ろくろ)は有りませんが、何らかの方法で作品を回転させたか、作る人が回った

     と考えられています。尚、回転させる為に、大きな葉(又は、複数の葉)の上で粘土を載せ、

     地面上を滑らせて回転させた可能性もあります。埴輪によっては、底に葉の文様が残る物も

     出土しています。

  c) 家形埴輪などは、粘土を板状や帯状にして、軟らかい内に、貼り付け形を作った物と思わ

    れます。

  d) 人物埴輪や太刀や盾などの埴輪には、主に円筒形の基台部が付いています。

    家形埴輪にも、背の低い基台部が付いています。

    基台部は人物などの埴輪を高く持ち上げる効果と、遠くから見える効果があり、更に基台部を

    地面に埋め込む事で、安定した状態に設置する目的があります。この基台部の側面には丸い

    孔が開けられた物が多いです。特に円筒形埴輪の側面には色々な形の孔が数多く開けてられ

    ています。 この孔は土に埋め込む際、周囲から土が円筒内に流れ込み、埴輪を安定化させる

    働きをさせる目的かも知れません。

  e) 高さが1m以上の大型の埴輪もあります。これらは、下から順番に積み上げ、ある程度乾燥

    させて強度を持たせてから、更に土を載せていく方法をとりました。背の高い埴輪には、横方向

    に繋いだ痕が残る物も多いです。

   f) 埴輪の各パーツを先に作り、それらを粘土で貼り付けたり、差し込んだりして作る方法も

     有ったようです。 人物埴輪は、基台を作り、その上に人物の胴体、頭、帽子又は冑(かぶと)

     両腕、剣や楽器などとパーツを順番に取り付け、全体象が大まかに出来上がると、衣装と

     目、鼻、口を付けて埴輪が出来上がります。人物埴輪の腕は、実際の人の腕の長さより短く

     作られています。これは、取り付け部分に大きな力が掛り、破損し易いのを防ぐ為と思わ

     れます。  

    ・ 動物埴輪には脚部と胴体部の境に、繋いだ痕が認められます。

    埴輪の成形が終わり、十分乾燥させてから焼成しますが、焼き損じたり、「割れ」なども多く

    有ったと思われます。現在、ほとんどの埴輪は、破損した状態で出土しますが、当然、完成品が

    使われたはずです。

 ?) 埴輪の表情と衣装。

以下次回に続きます。


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