Quantcast
Channel: わ! かった陶芸 (明窓窯)
Viewing all 836 articles
Browse latest View live

素朴な疑問 88 窯の調整の仕方は?3

$
0
0
1) 窯の調整機能とは?(どんな事が調整できるのか?)前回の続きです。

  ④ 酸化、還元焼成と温度上昇の関係。

   燃料を使う窯の場合、温度を上昇させる為には、適度の窯内の雰囲気が必要です。

   酸化が強すぎても、還元が強すぎても温度上昇は低下するか、最悪温度低下を招きます。

   例えば、一定温度に保つ「寝らし」と呼ばれる行為では、強酸化焼成する事で一定に保つ

   事ができます。又、薪窯やガス、灯油窯の場合燃料の供給を増やした瞬間、温度が低下する

   事が有ります。これは、酸素(空気)の供給が追いつかないなどの為と思われます。

  ) 燃料の供給を増やした時、温度低下に対する処置。

   温度上昇が鈍る高温部では、徐々に燃料の供給を増やすのが一般的な方法です。しかし予想に

   反し、温度低下を招く事も稀では有りません。その際あわてて、窯の調整部を操作して、

   温度上昇に変え様とすると上手く行かない事も多いです。

   a) 温度がどんどん低下し、10℃以上落ちる事も珍しくありません。これは、供給量が

    多過ぎたのが原因と思われます。それ故、供給量を若干少なくするのも一つの解決策です。

   b) 冬場などでは、燃料が冷えている為、冷たい物が多量に窯に入り込み、結果的に窯を

    冷やすとも考えられます。

   c) 供給量が増した為、還元焼成気味になり、空気量を増す様に煙突の引きを強くした場合、

    冷たい空気が外部より入り込み、窯の温度を低下させたとも考えられます。

   d) 私の経験からすると、多くの場合、何もせずに放置すると、5~10分程度で、温度上昇

    に転じます。即ち、乱された窯の雰囲気が一定になり、温度上昇に転じたものと思われます

    それ故、「ジタバタ」しないで、静観した方が良い結果が得られる場合が多いです。

  ) 一般に温度が一番上昇するのは、中性炎と言われています。

    実際には、やや酸化気味かやや還元気味に成り、完全な中性炎は難しいです。

   a) ガス窯の場合、バーナーヘッドから出る炎の色を見て判断できます。

    炎の色は青であれば酸化焼成であり、オレンジ色になえれば還元焼成に成ります。

    バーナーの空気流入口の開閉具合で調整し、炎の色を見ます。

   b) 窯の壁に設けられた、色味穴(空気穴)の状態で判断できます。

    窯は呼吸を繰り返しているとも言えます。即ち、色味穴から窯の中に空気が流入している

    場合は、酸化焼成とし、炎が吹き出ていれば還元焼成と見て良いでしょう。

    中性炎では、この流入と流出が適度の間隔で繰り替えされている状態とも言えます。

   c) 薪などの燃料の場合、煙突から黒い煙が出ている状態が、還元焼成であり、白っぽい煙が

    酸化焼成の状態と言われています。

  ⑤ 炎の流れを調整する。

以下次回に続きます。


素朴な疑問 89 窯の調整の仕方は?4

$
0
0
1) 窯の調整機能とは?(どんな事が調整できるのか?)前回の続きです。

 ⑤ 炎の流れを調整する。

   燃料を使う窯では、炎が出ます。当然ですが、炎の温度は場所毎に異なります。即ち大きく

   分けて、根元部分(ガス窯の場合では、バーナーヘッド部分)中間部、先端部分と成ります。

   ) 根元部分では完全に燃焼していませんので、温度は比較的低いです。

   ) 中間部分は燃料と空気(酸素)が適度に混ざり合い、高温に成ります。

   ) 中間部から先端部の途中が、一番高温に成ると言われています。

     先端に行くに従い、温度は徐々に低下します。

   ) 炎が伸びるとは、中間から先端部の途中を出来るだけ引き伸ばす事です。

     即ち、高温部を時間的、距離的に延ばす事になります。

   ) 現在の窯の多くは、倒炎式と呼ばれる構造になっています。

     即ち、炎は窯の壁際から天井(アーチ状のものが多い)に上り、一転して下方に落ち、

     窯底の煙道より外に逃げていきます。上記中間部より先端部途中とは、炎が天井から下に

     向かう時から、煙道に抜ける瞬間までの時間となります。

     尚、炎を天井に向かわせる為に、耐火製の火盾(たて)を使い炎を導きます。

   ) 炎には太くて短いものと、細くて長いものがあります。

     容積の小さな窯であれば、太く短くても良いのですが、容積が大ききくなると、窯内の

     温度を一定にする為にも、細くて長い炎が求められます。更に、の炎を細かく分岐させ、

     窯の隅々まで届く様にします。

   ) 細くて長い炎を作り出すには、炎の通る道を作る必要があります。

     炎の通る道を直線的に作ると、一直線に窯底に到達し、周囲に高温が十分に届きません。

     それ故、下方に向かう途中途中に、炎を分散させる棚板や作品を置く事になります。

   ) 作品と作品の間や、棚板間に細い隙間を作る事で、細長い炎にする事が出来ます。

     隙間が細ければ細い程、炎は伸びますが、熱量は十分ではありません。本焼きの際には、

     窯詰め時に指一本程度の隙間が良いと言われています。高温では素地が収縮しますので、

     窯出し時にはもっと開いています。

以下次回に続きます。


余談ですが、先日伊豆にある韮山反射炉(にらやまはんしゃろ)を見てきました。

 注: この反射炉は、江戸末期に大砲を製作するのに必要な、鉄を作る日本最初の溶鉱炉です。

   世界遺産(産業遺産)に登録する運動がある様です。

耐火レンガで組み上げ、高い煙突を持つ構造ですが、陶芸の窯と同じ様に見えました。

熔けた鉄を作るには、千数百度の高温(説明には温度が表示されていませんでした)にする必要が

あります。燃料は石炭(筑後、常磐産)で、炎を丸い天井に上らせそこから炎と熱を反射させ、

前方下方にある鉄鉱石(?)に当て鉄を鎔かしました。時間は十数時間を要したそうです。

即ち、上記の如く、天井部と炎の先端部の途中が、最高温度に成る事を示しています。

尚、熔けた鉄は型に流し込み成型しています。

素朴な疑問 90 同じ釉なのに色が異なる理由

$
0
0
同じ釉の名前であっても、メーカーが異なれば発色の違いがあるのは、当たり前かも知れません。

各々のメーカーでは、釉の調合の細かい点は秘密ですので、違いが出ます。

更に、窯の種類や燃料の差、窯の構造の違いによって、釉の発色具合は異なるのは、良く知られて

いる事柄です。

今回問題にするのは、同一メーカーの同一釉を使い、同一の窯で同時に焼成した場合にも、違いが

発生する事です。その理由、原因などを考えたいと思います。

1) どの様な変化が現れるか?

 ① 酸化と還元方法による違い。

  窯内の雰囲気はどの場所でも同じではありません。還元が強くなる場所、中性炎の処、酸化が

  強く出易い場所などがあり、更にそれらも刻々変化する事もあります。この様な状態では、

  釉の色の違いが発生します。

  ) 釉には酸化と還元では大きく異なる種類のものがあります。

    代表的なのが、銅を添加した釉で、織部釉、青銅釉等です。酸化では緑色になり、還元では

    赤、小豆色、ピンク色などを呈します。その他、石灰透明釉が上げられます。

    透明釉ですから、素地の色がそのまま出るはずです。しかし酸化では明るい色になり、

    還元ではグレー掛かった発色に成ります。特に素地に赤土などが混入している場合は、

    顕著にグレーが現れます。同様な事は、志野釉の様に白い釉でも起こります。

  ) 釉の種類によっては、酸化炎で焼成すべき物や還元で焼成すべき物、両方とも可能な物が

    あります。市販されている釉では、必ず焼成温度範囲と共に表示されています。

    それ故、酸化にすべき処を還元になってしまった時や、逆に還元の処が酸化炎になった

    場合には、所定の色には成りません。

  ) 前回お話した様に、炎の先端部は酸化に、炎の根元や途中では還元炎に成り易いです。

    それ故、酸化炎は、煙道に近い窯の底の周辺が良く出、還元は天井近くに出易いですので、

    窯詰めの際、考慮する必要があります。

 ② 窯の温度による違い。

  ) 基本的には、窯内の最高温度は一定にすべき物で、その為「寝らし」作業を行います。

    しかし、実際には5~10℃前後の高低があるのが普通です。窯の容積や作品の数等に

    よって温度差も異なります。必要な温度より高くなってしまった場合、マット釉でもいくら

    か光沢が出る場合があります。逆に光沢釉でも温度が低いと、熔け不足によるマット状に

    なる事もあります。

  ) 結晶釉の場合、熔け過ぎると、棚板まで流れ落ちて仕舞う事もありますし、熔け不足の

    場合には、結晶が出ない事に成ります。尚、結晶の出具合の差は良く解かっていません。

 ③ 施釉の濃淡による違い。

   釉には、厚掛け用と薄掛け用、普通の厚みに掛ける釉があります。厚く掛ける代表的な釉薬が

   青磁釉で、薄掛けの代表的なのが、焼き〆釉や緋色釉などです。その他の釉では適度の厚みに

   施釉しますが、どんな釉でも薄く掛けると、茶~焦げ茶になります。

 ④ 窯の冷える速度による、釉の発色の違い。

  ) 釉の良い黒色を出すには、急冷が良いと言われています。特に鉄釉の黒天目では、徐冷に

   すると柿釉の様に、明るい茶色に発色し易いです。その為、黒色を出すには窯の下部に窯

   詰めすると良い結果が得られます。即ち、窯は下部から徐々に冷えるからです。上部に

   窯詰めすると、茶色になります。

  ) 黒天目の場合、一つの作品の片側が黒で、反対側が茶色に発色する事があります。

   これは冷却速度のみによる物ではなく、釉の濃淡とも関係しています。即ち濃く掛けた部分は

   黒くなり、やや薄めの部分では茶色に成り易いです。

以下次回に続きます。

素朴な疑問 91 本焼き後の装飾とは?

$
0
0
施釉した作品を一度高温で本焼きした作品の上に、赤、黄、緑、紫、紺、金、銀などで色を付ける

方法を上絵付けと言います。下絵の呉須に色絵を上絵付する方法などです。特に著名なのが、有田の

染錦(染付けと上絵を重ねたもの)や九谷の五彩などがあり、古くから作られています。

赤や黄の原料は主に鉄を用い、緑は銅を、紫や紺はコバルト等の酸化金属が使われています。

フラックスと呼ばれる熔剤と顔料を混合せ、熔剤が下面の釉に熔け込み、顔料を固定します。

一般に700~850℃程度の温度で焼付けます。

尚、熔剤の種類は非常に多く70種類以上あると言われています。代表的な物はガラス質を作る硼酸

です。以前ですと酸化鉛が使用されていましたが、現在鉛は食器については、禁止されています。

一般に顔料と熔剤が混合されている各種の絵の具が、上絵の具として市販されていますので、利用

する事が多い様です。

1) 顔料と熔媒の比によって、光沢と艶消し色になります。

  ご自分で、上絵の具を作る際に参考にして下さい。

 ① 光沢のある色は、顔料:熔剤= 1:2~4の割合と成ります。

 ② 艶消し色は、顔料:熔剤= 1:1の割合と成ります。

 ③ 上記調合では、素地に接着する為の粘着剤が入っていませんので、植物油、砂糖、糖蜜などの

   他、油絵で使うテレピン油やリシドール油を添加する場合がます。

2) 和絵の具と洋絵の具。

 ① 和絵の具は、厚く塗り深みのある色を出します。但し、例外的に赤色は塗る様にします。

   但し、広い面積に赤色を塗ると、塗り方によっては、色斑(いろむら)が生じ易いです。

   厚く盛り上げる為に、下の釉面に密着させる必要があります。密着が不十分の場合ピンホール

   や、下釉と共に剥がれる事も有ります。

   陶器(土物)では、上絵の具は比較的安心して使用できますが、磁器の場合には十分注意が

   必要です。昔からの方法では、素地に布切で薄く膠(にかわ)で塗布してから、絵の具を塗る

   と良いといわれています。  

 ② 日本画で使われる岩絵の具に熔剤を添加すれば、良い上絵の顔料になります。更に鉱物質の

  油絵の具も、熔剤を添加すれば、良い上絵付けの顔料として利用できるとの事です。

  尚、近年の上絵の具は、純粋の化学薬品ですので、色に面白味(味わい)が無いと言われてい

  ます。昔は不純物の多い金属酸化物が使われている為、面白味のある色になっています。

 ③ 洋絵の具は近年、皿やコーヒーカップ等の既製の磁器製品に、絵付けする事が流行っています

  その為の絵付け専用の教室も存在しています。又、印刷や写し絵として量産され、広く使われて

  います。洋絵の具は薄塗ります。

3) 上絵付けで使う窯を錦窯と言います。

  現在では、電気窯で行う事が多いです。利点として、温度が平均的に伝わる事、(冷め)割れ

  などが起らない事が上げられます。尚、上絵付けでは窯内の湿度を嫌いますので、素焼きとは

  一緒に焼く事は避けた方が良いです。窯内に湿度があると、白釉が曇り易いと言われています。

  但し、素焼きとほぼ同じ温度ですので、湿度を気にせず一緒に焼成している人もいます。

以下次回に続きます。

素朴な疑問 92 作品が綺麗に見える形とは1?

$
0
0
古い時代から、陶磁器の形は時代と共に色々変化しています。用途によっては、固定された形も

存在します。

絵画の世界や建築(物)等の世界では、全体の構成をバランス良く見せる為、適度に分割する方法に

黄金比と呼ばれる割合があります。

  注:黄金比(おうごんひ)とは、線分を二分する時、短い部分:長い部分=1:1.618(近似値)

   を言います。古代ギリシャで発見されて以来、最も安定し、美しい比率とされ、美術的要素の

   一つとされている分割方法で、色々な分野で使われています。

この黄金比を更に簡略化すると、およそ2:3になります。陶磁器の世界でもこの割合で作品を

形つくれば、見た目にも綺麗に整った形になると言われています。

形作りに迷った時には、大いに利用すべき事柄です。では実際の方法に付いて述べます。

尚、2:3=2/5:3/5(又は、3/5:2/5)と成りますので、全体を5等分して考えた方が

解かり易いかも知れません。

但し、この比率に囚われ過ぎると、作品に動きが出ない為、面白味が出ないと見る向きもあります。

1) 縦(高さ)方向に2/5:3/5(又は、3/5:2/5)に分割する。

  例えば、高さが20cmの作品の場合、下部が12cm、上部が8cmになる計算になります。

  (逆の場合は下部が8cm、上部が12cmと成ります。)

 ① 袋物と呼ばれる器の場合。

  壷や花瓶など中空の部分が大きい器を袋物と呼びます。完全な球形の場合には、分割の問題は

  起こりませんが、上下の大きさ(張り具合)が異なる時には、どの部分で形を変えるかが、

  作品全体の形に影響します。

 ) 鶴頸(つるくび)の場合。

   下部に球形の器があり、その真上に細長い筒状の器から成ります。

   この球形部と筒状部の境が下から、2/5:3/5(又は、3/5:2/5)になります。

   筒状の部分が短いなれば、下から3/5が球形になり、上部筒状の部分が2/5となります。

   筒状の部分が長ければ、この比は逆に成ります。

  ) 瓢箪型にする場合。くびれ部分を何処に取るかによって作品の雰囲気は大きく異なり

   ます。上部を3/5とし、下部を2/5とすると頭でっかちの瓢箪型になり、上部を2/5とし

   下部を3/5とすれば、安定した形に成ります。

  ) 胴や型の張った壷などの場合。

   張り出す部分をどの位置に設けるかによって、作品の雰囲気も変わります。即ち張り出し部を

   下方(2/5)に取れば、重心が下がり安定感が増しますが、逆(3/5)の場合には、重心が

   高くなり、不安定さのある作品に成ります。

 ② 袋物に横線や模様を入れる場合にも、役立つ方法です。

   即ち、壷の様に桧垣紋を入れたり、円周上に帯状の模様を描く場合にも、この3/5(又は

   2/5)の分割方法をしれば、大きな失敗も無くバランス良く絵柄が出現します。

2) 口径と底径の比を、2/5:3/5(又は、3/5:2/5)にする。

  口径が小さく、底径(高台径)が大きい場合、安定感が増します。逆の場合、やや不安定になり

  ます。尚、皿の場合は、この割合では綺麗に見えません。一般に口径:底径=1:1/2~1/3と

  言われています。

以下次回に続きます。
  

素朴な疑問 93 作品が綺麗に見える形とは2?

$
0
0
3) 横幅に付いての基本的な比率。

 耳を持つ花器(花瓶類)の場合、その横幅(出っ張り具合)は、本体の径が3/5とし、両耳の横幅

 を2/3とすると、バランス良く取り付ける事ができます。

4) コーヒーカップの持ち手や、急須などの注ぎ口を付ける場合、取り付ける位置は下から3/5

 位置に取り付けるとバランスガ良いとも言われています。

5) 作品を軽く見せる方法。

  同じ大きさの作品でも重たい物と軽い物があります。大きさが同じであれば、作品の肉厚の差が

  一番大きな要因です。しかしながら、秤で測定すると同じ重さの物でも、軽く感じる物と重く

  感じる物があります。勿論同じ大きさとしての話です。

  但し、軽い作品が必ずしも良い作品とは言えません。作品の大きさに応じて、適度の重さにする

  事が大切です。

 ① 高台のある器は、無い作品より見た目にも軽く感じられるものです。

  高台があっても、碁笥底高台では、軽くなる効果は期待できません。

  ) 見た目にも軽く感じる理由。

    高台の役目は、施釉する際高台部を持ち、指跡を出来るだけ少なくする効果があります。

    更に、指や掌が高台脇に滑り込ませる事により、作品を安定した状態で持地上げる事が出来

    この事で軽く感じさせる事ができます。同時に、底面をテーブル等や卓上、床面から浮き

    上がらせる事(浮遊感)により、作品が浮き上がり 軽く見せる事になります。

  ) 高台の無い作品(ベタ高台)や碁笥底高台は、テーブルにしっかり根を張った様に見え

    重量感を増します。但し安定感はあります。

  ) 左右又は上下対称の作品は、整い過ぎて面白味に欠けるとも言われます。又この様な作品

    は、静的で躍動感が乏しく、重みを感じ易いです。

  ) 左右歪(いびつ)で、不安定感のある作品は、今にも動きそうに感じる事があります。

    この様な作品は、作品の重量を軽く見せる効果があります。

 ②  人の目では、同じ寸法の物は、横方向より縦方向が長く見えます。

   これは、人の錯覚による現象です。口径や胴径は測定してみると、予想以上に大きい事が

   解かります。富士山が高く見えるのもこの錯覚による物です。特に絵画などでは、富士山の

   頂上は、鋭角で尖った様に描かれている場合が多いですが、実際には鈍角でそれほど高くは

   有りません。

 ③  直角は鈍角に見えます。これも錯覚の一つです。

   特に鎬文(しのぎもん)と呼ばれる、凸状で筋状に彫刻する(削りだす)場合凸の先端部を

   鋭角にしないと、直角には見えません。

以下次回に続きます。



素朴な疑問 94 作品の名前1?

$
0
0
食器類や酒器類、花入(花器)類には、形に応じて名前が付けられています。

これらは、昔から呼びならされている場合が多いです。その名前を言えば、自ずからおおよその

形態を把握する事ができます。

1) 花入(花器)類。当然陶磁器以外の物もありますが、ここでは陶磁器制に付いて述べます。

 ① 塵劫壷(じんこうつぼ): 最も普通の壷です。但し、この名前は一般には使われていません

   襟が略垂直で長めに立ち、肩が張って腰の細くなった縦長の壷ですが、花器としても利用

   されています。口径も細いです。

 ② 鶴頸(つるくび): 頸部分が長い花瓶です。頸の太さは、細い物とやや太い物があります。

 ③ 輪立(りんだて): 一輪挿しの花瓶です。頸部分が細く長い物が一般的ですが、短い物も

  あります。

 ④ 中蕪(なかかぶら): 胴体中央部が太い野菜の蕪(かぶ)状の花瓶で、蕪の上に上向きに

  開いた筒状の頸が載ります。この頸には耳が付く場合があります。

 ⑤ 逆蕪(さかさかぶら): 胴体下部が丸く膨らんだ形で、蕪を逆さにした様な形です。

 ⑥ 蕪無(かぶらなし): 胴体に膨らみの無い花瓶です。若干上開きの形の物が多いです。

 ⑦ 瓢箪(ひょうたん)、箪瓢(たんぴょう): 胴の一部がくびれている形をしています。

   下が大きく上が小さい膨らみのある形が瓢箪型で、逆に上が大きく下が小さな膨らみのある

   物(瓢箪の上下をひっくり返した形)を箪瓢と呼びます。

 ⑧ 千切(ちぎり): 中央が凹み上下が開いている形です。太鼓の一種である「鼓(つづみ)」

   形をしています。

 ⑨ 飴粽(あめもち): 五月の節句に頂く粽(ちまき)の様に、中央が膨らみ、口と底面が細い

   花瓶です。

 ⑩ 切立(きったて): 円筒形で、周囲が垂直に切り立っている物で、花瓶の中で一番シンプル

   な形をしています。

 ⑪ 漆桶(うるしおけ): 蓋のある円筒形(切立)ですが、器の底の部分と蓋の周囲に鉢巻が

   されています。

 ⑫ 砧形(きぬたかた): 藁や洗濯物などを叩く際に使用する、持ち手の部分が細長く、打つ

   部分が太い円筒形になった形です。太い方を下にして立てて使います。

 ⑬ 台鉢、水盤: 口径が広く浅めの花生です。特に高めの台の付いている容器を台鉢と呼びます

 ⑭ 釣花生(つりはないけ)。

   花器を紐などで吊り下げるタイプです。月(三日月など)や船などの形が多いです。

   当然、他の花器より高い処に吊り下げられますので、生ける花類は限られます。

2) 酒器の名前。

  酒器には、酒を一時的に貯めておく物と、盃や猪口など酒を呑む際に、使用する物があります。

 ① 瓶子(へいし、へいじ): 口縁部が細く、その真下が膨らみ、肩の張った形で、古くから

   存在する比較的小型の器で、主に酒器として使われています。

 ② 梅瓶(めいびん、ばいびん): 細長い胴体に注ぎ口がやや膨らんだ形の酒徳利です。

   上部が太く尻すぼまり、直線的な細長い瓶で、主に中国や朝鮮で生産され、日本では、宮廷や

   貴族などの間で使用された、一種の瓶子状の容器です。

 ③ 高田徳利(貧乏徳利、びんぼうとくり): 美濃の高田で制作されていたので、この名前が

   あります。貸し徳利、通い徳利とも言われ、江戸 後期から昭和初期に流通していました。

   酒屋の小売用として庶民に使用されて、屋号が染付けられた物が多いです。

   尚、鎌倉時代までは、主に瓶子が使われてその後、徳利(とくり、とっくり)が使われる様に

   なります。

 ④ 抱瓶(だちびん)、肩壷(へんつぼ): いずれも、携帯用の酒瓶です。

   抱瓶は、沖縄で用いられる陶製の酒器で、紐で肩から釣り、腰に当て易いように断面が

   三日月形をしています。

   肩壷は、扁平な容器で両側面に付いた耳に紐を通し、肩に掛けます。

 ⑤ 鴨徳利(かもとっくり): 越中小杉焼の名物徳利です。色や形が鴨の形をした徳利です。

 ⑥ 胡蘆瓶(ころびん、ころへい): 瓢箪型の徳利です。

   中国の唐時代以降、各地で製作されています。 把手と注口の付いた水注形の物もあります。

以下次回に続きます。

素朴な疑問 95 作品の名前2?

$
0
0
食器類や酒器類、花入(花器)類には、形に応じて名前が付けられています。

これらは、昔から呼びならされている場合が多いです。その名前を言えば、自ずからおおよその

形態を把握する事ができます。

2) 酒器の名前。(前回の続きです)

  酒器には、酒を一時的に貯めておく物と、盃や猪口など酒を呑む際に、使用する物があります。

 ⑦ 酒煎子(しゅせんじ): いわゆる土瓶です。そろばん、黒ぢょか(黒千代香、黒じょか)

   等の異名があります。主に茶を飲むための物ですが、焼酎を温める酒器でもあります。

   黒千代香は沖縄から鹿児島に伝わった焼酎を温める酒器です。

 ⑧ 馬上杯(ばじょうはい): 高い高台があり、握り易くなっている杯です。

  朝鮮の祭器の盃から伝えられた物と言われています。

 ⑨ ぐい呑み: やや深味のある形の猪口です。上を向いて「ぐい」と飲み干す事からこの名前が

   付いたと言われています。

 ⑩ 猪口(ちょく、ちょこ): 一般的に酒を飲む為の小型の器(盃)をいいます。

  尚、蕎麦をそば汁につけるための容器(蕎麦猪口)も同様に呼びます。 猪口の形状は

  筒胴、六角形、八角形など様々なものがあります。

 ⑪ 枡(ます): 陶磁器ではありませんが、木製の小型の枡も利用されています。木の香りが

  残り、酒が美味く感じるそうです。

3) 茶碗類の名前。

  茶碗には、飯茶碗、湯飲茶碗、抹茶々碗の三種類があります。この中で抹茶々碗が一番種類が

  多いです。

 ① 抹茶々碗の名前。

  ) 椀形(わんがた)茶碗: 底がやや狭く、自然に口径が開いている形です。

    最も一般的な形です。

  ) 天目茶碗: 小振りの茶碗です。口縁がスッポン(鼈)口と言い、やや狭まっているのが

    特徴です。

  ) 端反(はたそり)形茶碗: 椀形茶碗よりやや細めの茶碗で、口縁を外に捻り出した形に

    なっています。

  ) 筒茶碗: 切立てで底径(高台径ではありません)と口径がほぼ同寸の茶碗です。

  ) 半筒茶碗: 筒茶碗の高さ方向を低くした形の茶碗です。

    筒茶碗がやや細めなのに対し、半筒茶碗の方がやや太めになります。

  ) 胴紐形茶碗: 半筒茶碗の胴の中央部に、凸状の出っ張りのある茶碗です。

  ) 呉器(ごき)形茶碗: 筒茶碗の底部が丸みを帯びた形の茶碗です。

  ) 馬盥(ばたらい)形茶碗: 口径が大きく、半筒茶碗より更に高さが低い茶碗です。

  ) 沓(くつ)形茶碗、沓茶碗: 馬盥形茶碗が大きく歪んだ形になった茶碗です。

  ) 鉄鉢(てっぱち)形茶碗: 僧侶が托鉢の際に持つ、鉄鉢に似た形で、球体の上部を切り

    取った様な形の茶碗です。

   xi) 塩笥(しおげ)茶碗: 元々は塩、味噌などを入れた容器で、茶人が真冬用の茶碗として

    使用した物です。丸みのある胴にやや細まった口が付いている形です。

  Xii) 平(ひら)茶碗: お皿の様な形の茶碗で、主に夏茶碗として使います。

  xiii) その他

   a) 杉形(すぎなり)茶碗: 底が狭く、口縁に向かって径が直線的に開いた形です。

   b) 五峯(ごほう)茶碗: 楽茶碗に多く、口縁の凹凸が五つ有る形の茶碗です。

   c) 五所丸茶碗: 主に豊臣、徳川初期朝鮮より渡来した茶碗で、塩笥茶碗を小振りにした

     形の茶碗です。

  ② 抹茶々碗には特徴的な高台名があります。

   ) 撥(ばち)高台: 根元が細く末広がり状の高台です。三味線の撥から来ています。

   ) 三日月高台:輪高台の外側と内側の「中心をずらし」高台幅を不均一にした物です。

   ) 竹節高台: 高台の中央部に竹の節を模した突起があります。

   ) 切高台: 輪高台の一部を「Vの字」状又は「矩形」に切り取った物です。

   ) 桜高台: 高台を桜の五弁の花びらに見立てた物で、タタラ状の粘土紐を後から接着

     した物です。

   ) 四方(よも)高台: 輪ではなく四角の高台です。

   ) 碁笥底(ごけぞこ)高台: 囲碁の石を入れる容器の底の様に、底の中央が凹んでいる

     高台です。

以下次回に続きます。

素朴な疑問 96 作品の名前3?

$
0
0
3) 茶碗類の名前。

  茶碗には、飯茶碗、湯飲茶碗、抹茶々碗の三種類があります。この中で抹茶々碗が一番種類が

  多いです。

 ③ ご飯茶碗。

   「陶芸は茶碗に始まり、茶碗で終わる」と言われる場合があります。

   丁度「釣りは鮒(ふな)に始まり、鮒で終わる」と言われるのと符号します。

   即ち、陶芸で一番最初に作るのは抹茶々碗の事が多く、気に入った茶碗を作る事は大変です。

   抹茶々碗のみでなく、ご飯茶碗でも同じです。気に入ったご飯茶碗を作る事は中々難しい事

   です。

  ) ご飯茶碗を作る際の難しさ。

   我が国と朝鮮など一部の国々では、自分専用の茶碗や箸(はし)を使いますが、世界的には

   例外の様です。特定の人専用の器を「属人器」と言うそうです。

   a) 我が国では、ご飯茶碗は手に持ち箸(はし)で頂く様式が一般的です。その為、軽く作る

    必要が有ります。それ故、肉厚を薄く作る事になりす。

   b) 轆轤で作品を薄く挽く事は、意外と難しい作業です。その為、轆轤挽き後、やや乾燥させ

    てから、削り作業で軽く作る方がより簡単です。しかし、轆轤での削り作業は慣れない方には

    結構難しく、削り不足や削り過ぎて孔を開け易く、薄くする事は熟練を要します。
    
   c) 市販されているご飯茶碗は、量産品の磁器製が多いです。但し、手に持ち暖かさを醸し

    出すには、断然陶器製が優れています。又、断熱効果も陶器が一段上です。

   d) 茶碗には、大人用、子供用、更に男用、女用に分かれます。

    年齢により、男女の差により、使い易い大きさもあります。各々ある程度の大きさで決め

    られている事が多いです。それ故、ご自分で茶碗を作る際には、参考にした方が良いと思われ

    ます。

    大人の男性では、口径が12cm 以上の茶碗が多く。

    大人の女性では、口径が11cm 程度が多く

    子供用は男女で変わりは無く、10cm 程度が多いです。

   e) 茶碗は見た目では、ご飯の量が判らない物も有ります。

    一見多く入りそうで、意外と入らないないのは、口径が大きいですが底の狭い形をした物です。

    高さ(深さ)も低いく成っています。 旅館の茶碗などで良く見掛ける形です。

    近年、一般家庭でも、食洗機で洗う事が多くなっています。食洗機で洗う場合には、上記の

    様な形の器が理想的とも言えます。更に磁器製の器の方が、食洗機に向いています。

    逆に入りそうも無いのに、意外と入る物もあります。即ち口径は小さいですが、深さがあり、

    更に底の面積が広い器です。

   f) 一般に市販されているご飯茶碗は、高台が高く、末広がりの撥(ばち)高台に成って

    います。削り出しで行う場合が多いですが、付け高台にする方法もあります。

    即ち、べた高台に削り出した後、小さな粘土の塊をドーナッツ状にし、底の中央に載せ、

    轆轤挽きする方法です。この方法では、背の高い馬上杯の様な高台も作り出す事も可能です。

  ④ 湯飲茶碗。お茶を飲む容器です。

   ) 磁器製では、熱を伝える為、熱いお茶を注ぐと、手に持てない程熱くなりますが、

    陶器の場合には。陶器の断熱効果があり、器が熱くならず、保温効果があり、冷め難いです。

    大人用の男性と女性用、子供用があります。おおよその目安は以下の通りです。

    特大湯飲(寿司湯飲): 口径7cm以上。 大湯飲(主に男性用) : 口径7cm以下。

    中湯飲(女性用): 口径 6cm以下。 小湯飲(子供用): 5.5cm以下。

  ⑤ 夫婦(めおと)茶碗。同じ形で口径や高さに大小のある、飯茶碗や湯飲を夫婦茶碗といいます

    模様などが描かれている場合、同じ模様になっています。

以下次回に続きます。

素朴な疑問 97 陶芸での失敗事例1?

$
0
0
作品が出来上がる迄には、色々な失敗が付き物です。

 勿論、失敗しようとして失敗する訳ではありませんが、何らかの事情により失敗する事になります。

 例えば、作品の選択の失敗。土の種類の選択の失敗。制作途中の失敗。作品の乾燥時の失敗。

 細工時の失敗。素焼きの際の失敗。絵付けや施釉の際の失敗。窯詰の際の失敗。本焼時の失敗。

 窯出しと窯出し後の失敗など、色々な場面で失敗する事があります。

 これらの失敗の原因を突き止め、再度の失敗を繰り返さない様にする方法などに付いて考えたいと

 思います。

1) 作品の種類と寸法の失敗。

 ① 作品を作る際には、事前にどの様な作品を作りたいかを明確にしておく事が大切です。出来れば

   ラフスケッチでも良いですので、図面として描くとより考えが明確になります。この図には

   出来上がり時の寸法を記入しておきます。当然ですが、作る事が技術的に不可能な作品でない

   事です。(極端に細い物、上の重みを支えきれない形状などです。)

 ② その作品の特徴は何処にあり、制作時に難しそうな処を把握するとより作り易くなります。

   特に蓋物などでは、蓋の形状、本体との合わせ部分、摘み部分などより細かく考えておくと制作

   時間も短くなります。特にご自分が使う作品の場合、ある意味予定と違っても満足できますが、

   注文を受けて作った物は、注文者の意見を十分聞く必要があります。

   食器類の場合、同じ形状の物を数個作る事があります。その際、重ね合わせが可能である事は、

   非常に大切な要素になります。

 ③ 完成までの土の収縮を考え、制作時の寸法を図面に記入する。

   粘土の種類によって収縮率が異なりますが、概(おおむね)1割2~3分縮みますので、

   大きめに作る必要があります。縦横高さともこの割合で縮みますので、体積としては、7割程度

   に成ってしまいます。特に、徳利など酒の容量が決っている場合には、その量が入りません。

   慣れない方や「うっかり」して、出来上がり寸法で制作してしまい勝ちですので、注意が必要

   です。

2) 土の種類選定の失敗。

   磁器と陶器の違いは、材料が明らかに異なりますので、間違える事は無いはずです。

 ① 仮に、萩焼風や備前焼風、信楽焼風、益子焼風など、著名な産地の焼き物を作りたい時には、

   当然、その土地で使われている材料(粘土)を使う必要があります。現在では特定の産地の粘土

   は陶芸材料店や「ネット」などで、容易に入手ができます。尚、同じ産地の土であっても、

   色々な種類の土が存在しますので、更に土の種類を選定する必要があります。作品の種類に

   よって使い分けます。(例、赤土、並土、細目、粗目、ハゼ石の大小などです。)

 ② 粘土には、焼き上がると、色の付いた物も多いです。

   土の色は釉を掛けた際、微妙に発色の差が出ます。即ち、赤土などを混入させると、釉は落ち

   着いた地味な色になります。

  ) 下絵付けや、顔料による土の練り込み模様の作品を作るには、白っぽい土を選ぶ必要が

    あります。赤土などを使えば、下絵の図柄は鮮明ではありませんし、練り込み粘土の色も

    本来の明るく鮮明な色に発色しません。

  ) 青磁の焼き物を作る際には、鉄分を含む赤土を使う必要があります。

    青磁の釉と鉄分が反応して、青磁の色が出ると言われています。

  ) 市販されている土は、そのまま単味で使うのが一般的ですが、場合によってはブレンドして

    使う事もあります。その際ブレンドの割合をメモしておかないと、次回に同じ粘土を作る

    事が出来ません。

3) 制作途中の失敗。

以下次回に続きます。

 

素朴な疑問 98 陶芸での失敗事例2?

$
0
0
3) 制作途中の失敗。

 ① 作品を作る方法は、色々あります。

  大きく分ければ、手捻り、電動轆轤、機械轆轤、鋳込み方法などです。これらの方法も更に幾つかの

  方法に別れます。但し、ここでは省略します。

  機械轆轤や鋳込み方法は、同じ形の作品を多く作る量産的な方法ですので、普通に陶芸を楽しんで

  いる人にとっては、余り馴染みの無い方法です。

  当然作り方が変われば、自ずから作品の形や表情が変化する事が多いです。

 ② 作品に対する要求を満たす制作方法を見付ける事で、失敗を回避できます。

  一般に電動轆轤では綺麗な左右対称形になります。それに対し、手捻りでは、どの様な形の作品に

  対しても対応が可能です。若干表面に残る凸凹も、削り作業によって、轆轤挽きに引けを取らない

  位に表面を滑らかにする事も可能です。又、手捻りの特徴としては、制作途中で失敗しても、

  幾らでも修復可能な事が上げられます。それに対し電動轆轤では、一瞬にして作品が壊れる事は

  珍しくありませんし、修復技術も難しく、修復するよりも、最初からやり直す方が、時間的にも

  早く、綺麗な作品になります。

 ③ 電動轆轤は慣れれば、形の整った作品を、比較的短時間で作り出す事が可能です。手捻りは

  時間を掛けて作る事が多い傾向にあります。

 ④ 制作途中の失敗事例(手捻り)。

  ) 粘土の量を十分確保しない為の失敗。

    作品を作る際、途中で材料の粘土が不足し、新たの土を加えた時、違う土を使ってしまう

    事があります。生の粘土の色は、同じような色をしている場合が多いです。生で同じ色だから

    と言って、焼成後の土の色が同じである訳ではありません。同じ様に見える粘土でも焼成後に、

    白、黄色、茶褐色、黒色になる場合も有ります。それ故、数種類の粘土を使い分けて使用して

    いる窯場では、粘土の種類を間違えない様に管理する必要があります。

    又、同じメーカーの同じ名前の粘土であっても、ロットによっては、発色が微妙に変化する

    場合があります。それ故、使う量よりも若干多目に土は用意しておかなければなりません。

  ) 繋ぎ目の処置の失敗。

    手捻りでは、繋ぎ目が多く発生します。特に紐を巻き上げる紐作りの際には、一段毎に繋ぎ目

    が発生し、この繋ぎ目を指や竹箆(へら)などを使い、消す必要があります。勿論上下から

    紐を圧着する事で、必ずしも繋ぎ目を消す必要はありませんが、圧着が不十分の場合、繋ぎ目

    から「ひび」や水漏れの原因になりますので、繋ぎ目の線は見えない様に、内外共に処理する

    事が重要に成ります。

  ) 手捻りの場合、下段から順番に積み上げる方法と、各パーツを分割して作り、後から全体を

    組み立てる方法が在ります。

   a) 前者の場合は、全体の構想を頭に描きながら作業しますので、全体の形を把握し易くなる

    利点があります。しかし、背の高い作品は、下段がある程度乾燥し、強度が増さなければ、

    その上に土を載せる事は出来ません。さもないと、下段は上の重みで変形してしまいます。

   b) 後者の場合、各パーツを別々に作る為、作業待ちの状態は少ないです。それ故、割合

    早く、作品を作る事ができます。但し、組み立てる際に繋ぎ目の大きさが、上下で一致して

    いなければ成りません。更に、繋ぎ目部分は乾燥し過ぎでは、上手に接着できません。

    例えその場で完全に接着した様に見えても、時間が経つと、繋ぎ面に亀裂が入り易くなります

    ある程度、生(なま)に近い方が、接着面は綺麗に出来上がります。

 ⑤ 制作途中の失敗事例(電動轆轤)。

以下次回に続きます。

素朴な疑問 99 陶芸での失敗事例3?

$
0
0
3) 制作途中の失敗。

 ⑤ 制作途中の失敗事例(電動轆轤)。

  ) 電動轆轤での失敗で多いのは、一瞬で形が変わり、作品が台無しに成ってしまう事です。

   良くテレビなどで見る光景に、芸能人などの有名人が轆轤体験で、完成間近の作品が「グニャ

   グニャ」に成ってしまう状態になる事です。多くの場合口縁が内側に折れ曲がる状態になります

   原因は力の入れ具合が適切でない事と、手や腕の保持(固定)が不完全な為、更に回転速度が

   遅い為でもあります。

  ) 轆轤作業の基本は、肉厚の場所では力を入れ、肉薄の場所では力を抜き気味にする事です。

   これを実行する為には、常に肉厚を指先で感じていなければ成りません。即ち、片手又は両手の

   指を向かい合わせて、粘土の壁を摘む事で、厚みが確認できます。

  ) 轆轤作業での肉厚は、基本的には根元(轆轤のターンテーブル側)が肉厚になり、上部に

   行く程、肉が薄くなります。これは、上部の重みを支える為には、どうしても必要な事です。

   作品の途中の高さの肉厚が極端に薄くなると、その上の土は捩れ(ねじれ)てきます。

   都合の悪い事に、轆轤作業では、肉厚を薄くする方法は、さほど難しくは有りませんが、逆に

   薄い肉厚を厚くする事は、口縁部を除きかなり難しい作業になります。

  ) 土の捩れは、轆轤に慣れない方は、捩れている事を自覚する事が少なく、気付いた時には、

    多きく捩れてしまっています。但し、外部からは捩れの初期から見出す事ができます。

    それ故、轆轤の技術的指導者が近くにいれば、指摘してもらえますが、一人で作業している

    場合には、指先に神経を集中したり、時々外側から捩れの有無を確認しながら作業する事に

    なります。

   a) 捩れを直すには、一般に轆轤の回転方向を逆にして直します。但し轆轤の回転が逆に

    なると、左右の手の使い方が逆になります。これも慣れない方には難しい作業となります。

   b) 他の方法では、轆轤作業での手の使い方を一般とは逆に上から下へ、移動させる方法が

    あります。 即ち、肉厚の部分を肉の薄い部分に移動させて、捩れを直します。

    但し、轆轤の回転速度は若干遅くする必要があります。この方法も大きな捩れの場合には

    さほど効果はありません。尚、捩れを直ぐに直さず、若干土を乾燥させてから、直し作業を

    行うと、いくらか作業がし易いです。

   c) 一番良い方法は、新たな土を使い、全て初めからやり直す事です。

   d) 捩れの主な原因は、下から上に移動する手の動きが、途中で遅くなりその部分に時間を

     掛け過ぎた為でもあります。手が止まる理由は、上部にたっぷり土が残り、手の移動を阻止

     いる為ですので、轆轤作業で土延ばしの際には、最初に上部の肉厚を薄くした後、下から

     順次薄く延ばす事です。

     尚、当然の事ですが、粘土と手は十分水で濡らすか、泥(どべ)を付け、手が滑る様にして

     おく事は必須条件です。

  ) 土を円筒形に延ばす際、部分的に高さに差が出る事。

    特に轆轤の初心者に多く見られる失敗です。これには幾つかの原因が考えられます。

   a) 土殺しが不十分な為。

     土を轆轤の中央に据える作業(センター出し)が土殺しの大きな目的の一つです。

     轆轤の中心に置いていないと、センターに穴を掘り込む際、円周上の肉厚に差が出易く

     なります。肉厚に差がある状態で土を上に延ばせば、当然、肉厚部は高くなります。

   b) 土殺し後に土の中央を掘り込む際、中心からずれて(外れて)しまい、肉厚に差が出る

     場合も有ります。穴を掘る指は「ブレ」無い様にしっかり保持し、位置を出す事です。

   c) 粘土の中に空気や異物が混入している場合。

     空気のある部分や異物のある部分は、他の箇所より、粘土の伸びが少なくなります。

     その為、その部分は高さが低くなります。異物とは、同じ粘土の中にある、やや硬い塊も

     異物となります。

以下次回に続きます。

素朴な疑問 100 陶芸での失敗事例4?

$
0
0
3) 制作途中の失敗。

 ⑤ 制作途中の失敗事例(電動轆轤)。前回の続きです。

  ) 作品の直径を大きくしても、肉厚はほとんど変化はしません。しかし、直径を小さくすると

    確実に肉厚になります。即ち、作品を膨らませても、肉厚はほとんど変化しませんが、

    背の高さは、膨らみに比例して、確実に低くなります。その為、所定の高さ寸法に仕上げる

    には、所定の高さより、高く土を延ばしてから、形作りをしなければなりません。

    逆に、直径を細くすると、肉厚は確実に厚みを増します。肉厚のまま形作りを行うと、

    撚れ(よれ)が出ますので、厚くなった部分は肉を薄くしながら、更に径を細くする必要が

    あります。肉を薄くする事により、背は高くなります。その為、必要な高さにするには、

    上部を切り取る事もあります。

   a) 直径を細める方法には、作品の径の状況により、幾つかの方法があります。

    直径の大きい場合もは、両手の掌(手のひら)を使い、細くなるに従い、両手の指6本、

    指4本と本数を少なくしてゆきます。

   b) 細める時の注意点。土は細くしようとすると、必ず土の逃げが生じます。

    土の逃げ場を無くすのが理想的ですが、土を指や掌で全周を押さえるには、限度があります。

    その場合、一箇所に逃げ場があると、土はそこに逃げ、細くなってくれません。

    一箇所に逃げ場を作るのではなく、対称的な位置(2又は4箇所)に逃げ場を作ります。

     更に逃げ場の大きさ(隙間)も同じ間隔にします。一方が広いとそちらに多く土が逃げ、

     径は細くなりません。   

  ) 肉が薄くなり過ぎた部分は、径を小さくする事は難しい事です。その為、肉厚にもなりま

    せん。径を小さくして、肉厚にするには肉厚が厚い程効果的です。「ペラペラ」の状態では

    幾ら径を小さくしようとしても、小さくならず、スカートの「ギャザー」状態になるのみです。

    この様な状態の場合、薄くなった部分を切り取ります。薄い部分のみを切り取るのはかなり

    難しいですので、若干厚みのある部分を切る事になります。当然背は低くなりますが、

    切り取った事で、頭が軽くなり、その下の土を上に延ばす事で、背の高さが切り取る前の高さ

    に成る事も珍しい事では有りません。それ故、一度試す価値があります。それでも高さが

    足りない場合には最初からやり直す方が手っ取り早いです。尚、上に土を継ぎ足す方法も

    ありますが、かなり難易度が高いです。

  ) 轆轤作業で簡単なのは、径を広げる事です。電動轆轤では、轆轤の回転に合わせて遠心力が

    発生し、常に径を広げる方向に力が働くからです。

    逆に、径を狭める事は、遠心力以上の力で、中心(内側)に押し戻す事に成りますので、

    難しくなります。それ故、径を小さめに作り、最後の段階で径を所定の寸法に広げる事が

    制作上の「コツ」です。

  ) 作品の揺れの問題。

   a) 轆轤作業が巧く行っている場合は、作品に揺れは発生しません。しかし、背が高くなるに

    従い揺れが発生します。特に上部は大きく揺れる事も多いです。その為、上部の振れを抑え

    様としますが、巧く行かない事が多いです。揺れが発生するのは、目に見えている部分より、

    若干下の部分から、揺れているものです。それ故、幾ら振れを止め様としても、下から直さ

    ないと巧く行きません。

   b) 揺れ(振れ)の発生原因は色々あります。

   ・ 土の量が一方に多くなった場合(円周上の肉厚に差がある場合)。

     円周上の高さに差がある場合にも、揺れは発生します。

   ・ 胴体など膨らませ際に、均等に膨らませていない場合。

   ・ 根元(土台)部分で、一箇所が極端に「えぐられて」いる場合(即ち、一箇所の径が小さい)

   ・ 轆轤目を着け様として、轆轤の回転速度を緩くしたが、手の上昇スピードが速い場合。

   ・ 土から手や指を離す際、早く離し過ぎた場合(基本は一呼吸入れる様に、「ゆっくり」

     離す事です。

以下次回に続きます。

素朴な疑問 101 陶芸での失敗事例5?

$
0
0
4) 削り作業の失敗事例。

  陶芸では、器の高台を削り出したり、高台脇を削る作業を伴うのが一般的です。その他に、肉厚を

  薄くする為や模様を彫り込んだり、装飾模様を表す為に、削り作業を行う事も多いです。

 ① 削り作業は、電動轆轤上で行う以外に、手回し轆轤を使ったり、轆轤は使わずに手に持って削る

   事もあります。高台周りや、作品の肉厚を薄くする際には、均等な厚みにする事が求められます

   さもないと、「割れやひび」の他、作品が変形する恐れが出てくるからです。

 ② 電動轆轤で削り作業で失敗する事。

   基本的に、電動轆轤で削る事が出来るのは、円形状のものに限られます。

  ) 電動轆轤で削ると表面が滑らかで、完全な円形に削れます。更に、削るスピードも格段に

    速く効率的に削り作業が行なわれます。但し、一歩間違えれば一瞬ににて形が変化したり、

    穴が開いてしまいますので、注意が必要です。

  ) 削り作業に入る前に、カンナなどで削れる程度に、生乾きの状態にしておく必要があります

    一般に、前日轆轤挽きした作品は、一晩ほど室内に放置しておけば、削り易い状態になります

    当然、季節や空気の乾燥具合によって左右されます。乾きが速いようですと乾いた布又は、

    水で濡らし固く絞った布を被せる等して調整します。

  ) 轆轤上で削り作業を行うには、作品を伏せて裏返しにします。

    安定して直接轆轤上に作品を伏せる事が出来る場合は、問題ありませんが、口径の狭い作品や

    口縁の高さに差があり不安定な場合、「湿台(シッタ)」を使います。

  ) 作品の肉厚を確認する。削り出す前に、あらかじめ、どの部分にどの程度の贅肉が付いて

    いるかを確認します。片手の指で厚みが確認できれば良いのですが、背の高い場合には両手で

    計る場合もあります。又作品を持った場合の重さで判断する事も可能です。即ち大きさの

    割には重たく感じるのは、どこかに余分な土が付いている証拠です。多くの場合、作品の腰の

    周りが多いです。

  ) 作品を伏せた状態で、轆轤の中心に据えます。

    但し、作品が歪んでいる場合や、傾いている場合には、全ての部分で中心が取れる訳では

    有りません。基本的には、削りたい部分を中心にその上下が中心に来る様にします。

   a) 轆轤上に鉛筆などで円を描き、この線に合わせ様とする人がいますが、状況によっては

    巧く行きません。この方法が有用なのは、背の低い皿状の場合のみです。

   b) 背が高く成るに従い、少しの狂いも上部に行く程、狂いは大きくなりますので、

    上記の方法は使えません。一般に高台や高台脇を削る際には、底面からい1cm程度下の位置

    で中心をとります。

   c) 中心を出す方法は慣れない方は大変難しい作業になります。

    ・ 一般には、轆轤をゆっくり手で回転させながら、器の側面を指の裏側で、連続的に軽く

     叩く方法が良いと言われています。轆轤の回転が速いと、遠心力で作品が轆轤上より

     転げ落ちてしまいますので、ゆっくり回転させます。連続的に叩く事で、作品は轆轤の

     中心に移動します。実際には、かなりの熟練を要する作業です。

    ・ 基準点よりどの程度離れるかによって調整する方法。

     一般に基準点は自分の指を使います。左又は右手の人差し指を使う事が多いです。

     基準点ですので、しっかり位置が出なければなりません。即ち、しっかり位置を固定

     します。轆轤をゆっくり回転させると、指に触れる場所と触れない(空振りする)場所

     があります。空振りした所で、右手又は左手で轆轤の回転を止め、空振りした方向に作品を

     移動させます。移動させる寸法は、作品から離れた基準指との距離の半分です。

     作品の全周で指が触れていれば、OKです。    

    ・ 上記指の他、固定した治具(じぐ)を使う場合もあります。

     基準になる指の位置を固定する事は中々難しいですので、固定した物で代用します。

   ) 作品を轆轤上又は「湿台(シッタ)」に固定する、又は固定しない場合。

以下次回に続きます。
     

素朴な疑問 102 陶芸での失敗事例6?

$
0
0
4) 削り作業の失敗事例。

  ② 電動轆轤で削り作業で失敗する事。

   ) 作品を轆轤上又は「湿台(シッタ)」に固定する、又は固定しない場合。

    a) 轆轤上に直接作品を伏せて置いた時、金属製の轆轤では、削る際、遠心力で移動して

     しまいます。それ故、周囲を別の土(止め土)で3箇所止めるのが普通です。

     但し、止め土が削る際にカンナの邪魔にならない位置で止め、固定しなければなりません。

     作品を固定すると、作業の終わるまで、直接肉厚が計れないと言う欠点があります。

    b) 「湿台(シッタ)」を使う場合、「シッタ」は轆轤上に固定され、更にその「シッタ」の上に

     作品が載る事になります。「シッタ」に被せる様に伏せた作品を置くだけならば、作品を

     外側から軽く叩く事で、轆轤の中心に載せる事ができます。この場合、作品の底の中心を

     右又は左の指(主に一番長い中指)で押さえ、作品が移動しない様に押さえます。
   
     場合によっては、シッタに作品を止め土で固定します。

    ・ 注:「シッタ」には、生シッタと素焼きしたシッタがあります。一般いは汎用性のある

      素焼きの物を使います。素焼きの物は、水に漬けて十分水を吸い込ませてから、生の土を

      巻いて、クッションにして使います。

    c) 良くある失敗は、カンナで作品を削る際、何らかの理由で、カンナの刃先が作品に

      食い込み、作品が轆轤上より転げ落ちてしまう事です。転げ落ちた作品は回転部とドベ

      受けの間に落ち、大きな傷を付けてしまう事です。この様成った場合、ほとんど望みは

      ありません。それ故、しっかり作品を固定する方が安全です。

   ) 削る際の電動轆轤の回転方向は一定していません。人により異なります。

     即ち、轆轤挽きも削り作業も左(時計)回転の人、轆轤挽きは左で削り作業のみ右回転の人

     轆轤も削りも右回転の人など、色々な方法が有りますが、基本はやり良い方法で行う事です

   ) 削る道具はカンナやベラ(平行、丸)と呼ばれる金属製の物を使います。

     基本的には上から下に掛けてカンナ類を移動させますが、上下交互に行う事もあります。

     尚、上から下の方が、作品を下(轆轤面)に押し付ける効果がありますので、若干有利です

     高台脇を削ってから、高台内を削るのが一般的な方法です。高台は釉掛ける際に持つ事で、

     指跡などを付けない為でもありますので、三本の指で持てる高さが必要です。

     但し、例外的に、碁笥底高台や極低い高台の場合もあります。

   ) 作品を轆轤や「シッタ」に固定してしまうと、直接肉厚を計る事はできません。

     その場合、回転している作品の側面や底の部分を、中指などで弾いて音で判断します。

     音での判断(聞き分け)は、かなり難しいですが、実際に作品の側面や底を弾いて音の違い

     を習得すると、後々役にたちます。

     尚、一度削り終え、作品を取り上げると、肉厚の場合再度、轆轤の中心に再セットする事は

     可能ですが、実際には元の状態に戻す事は、慣れないとかなり難しいです。

   ) 削った場所と削らない場所の境目に、「ボカシ」を入れ滑らかにする。

     削り作業はカンナの位置が振れ無い様に、両手を添えてしっかり固定させて使います。

     「ボカシ」は、片手でカンナ類を持ち、軽く押し付ける事で、作品の凸凹度に応じる様に

      します。そうする事により、削った境目が目立たなくなります。

 ③ 乾燥時の失敗事例。

 以下次回に続きます。    


素朴な疑問 103 陶芸での失敗事例7?

$
0
0
5) 乾燥時の失敗事例。

  陶芸で作品を乾燥させる場合は、削り作業を行い易くする時と、素焼き前の乾燥の時です。

  但し、作品が水を吸い過ぎ、形作りに支障をきたす場合にも、ある程度土を乾燥させて、作品に

  強度を持たせる場合があります。それ故、各場面で乾燥させる具合も異なります。

 ① 乾燥させると水分が蒸発し縮みます。当然、乾かし具合によって縮み率も異なります。

  ) 素焼き前の乾燥では、「カラカラ」になる迄乾燥させます。その場合土の種類によりますが

    およそ12~15%縮みます。

  ) 素焼き前の乾燥が不十分な場合、窯の中で水蒸気爆発を起こし、作品がバラバラになります

    更に飛び散った破片が周囲の作品に当たり、その作品も破損させる事も珍しくありません。

    特に一部分が肉厚の場合、爆発し易いです。

 ② 乾燥させる基本は、作品の全ての場所を、均等に乾燥させる事です。

  ) 特に肉厚の部分は乾燥が遅くなりますし、作品の表面から内部へと、上部から乾燥が徐々に

    下部に進みます。袋物と呼ばれる中空の作品の内側は乾燥が遅くなります。

    逆に肉薄の部分から乾燥が進みます。底の周囲の土の角は面取りを怠ると、この角から乾燥が

    進み、「ひび」が発生します。この「ひび」は底の中心に向かって伸びますので、底割れの

    原因にもなります。45度程度の角度で面取り、又は糸面取りを行って下さい。

  ) 不均等に乾燥させた作品は、一方が強く縮み、形が歪(いびつ)になります。

    特に、直射日光や、風向き方向などで、一方方向のみから乾燥させると、必ず歪みが発生

    します。一度歪みが発生すると、全体が均等に乾燥し後でも、歪みの無い元の形に戻る訳では

    ありません。

  ) 板状の作品は、特別な縮み方をしますので、特に注意が必要です。

    板状の作品は、「反り」が出易いです。特に箱状の物は、内々に反る性質があります。

    底の中央は内側に持ち上がり、周囲の壁は「弓なり」に内側に反ります。その為、周囲の壁は

    やや外側に「弓なり」にしておく必要があります。底の部の中央もやや外側にしておきます。

 ③ 土には、記憶性が存在します。即ち、乾燥を行うと、変形前の形に戻ろうとする性質です。

   曲げて作った物は、乾燥と伴に曲げが弱まる方向に変形します。又強く押し付けた場所はその

   部分のみが外に膨らんできます。轆轤作業ですと、土は捩れ(ねじれ)ながら上に伸びますので

   その捩れが戻り方向に変化します。良く取り上げられる例としって、「急須の注ぎ口」があり

   ます。戻る事を予想して、取り付ける事になります。

 ④ 作品を乾かす場合、一般に木の板の上で行います。即ち、作品の水分を板に吸い取らせる為です

   のでプラスチックや金属板、塗装された板では用を足しません。更に悪い事に、作品の水分が

   プラスチック等の間に浸み込み、貼り付いてしまう事もあります。

 ⑤ 乾燥は室内などの日陰で、ゆっくり時間を掛ける事が理想ですが、急ぎの時は、直射日光や

   ドライアーやストーブを使う事もあります。但し、時々回転させたり、轆轤を回転させながら

   ドライアーを使います。一般の技術書ではこの様な事は、禁じ手に成っていますが、処置を

   間違えなければ、問題ありません。

 ⑥ 板状の平皿などは、しっかり乾燥後でないと、立て掛けない事です。平たい作品はそのままです

   と場所をとりますので数枚重ね、紙などで包んで棚などに立て掛ける事も多いです。

   その際、作品が歪む事があります。乾燥不十分ですと、自分の重みで変形する事になります。

以下次回に続きます。

 

素朴な疑問 104 陶芸での失敗事例8?

$
0
0
6) 素焼きの失敗事例。

  施釉する場合、一般に素焼きを行います。素焼きを行う事で、施釉時の作品の破損を防ぐ事になる

  からです。粉末の釉は水に溶かして使います。生状態の素地が水を吸った場合、素地自体が溶ける

  恐れがあります。素焼きする事で、水を吸収しても、素地が溶ける事が無くなります。

 ① 素焼きの温度は、700~800℃が最適な温度とされています。

   温度が高くなると、作品の機械的強度は増しますが、吸水性が著しく少なくなる為、釉が適当な

   厚みになりません。逆に温度が低過ぎた場合、機械的強度が弱く脆い(もろい)感じになります

 ② 素焼きでの失敗では、作品が粉々に砕ける事が最大の失敗と言えます。

   前回の「乾燥時の失敗」で述べた様に、乾燥不十分の場合、窯の中で水蒸気爆発を起こします。

   即ち、温度上昇と共に素地中の水分が蒸発し始め、表面より外部に抜け出てきます。しかし温度

   上昇が早過ぎると、表面より発散する水蒸気より、素地内部で発生する水蒸気の方が大量に成る

   と素地内部の圧力が増し、爆発する事になります。

 ③ 素焼きで爆発し易い温度範囲が存在します。その為この期間では、出来るだけゆっくり温度上昇

   する必要があります。その温度範囲は約230~300℃程度です。

   但し、この温度は特定の場所の温度ではありません。作品全部に言える事です。

  ) 窯を焚くと30分以内に、直ぐに150~200℃に成ります。窯が冷えている状態では温度上昇は

   速いです。この後に温度上昇を抑え、1時間で100℃以下の温度上昇を目安に窯焚きを行います

   当然、作品の乾燥具合でこの時間は変化します。十分乾燥していれば時間は短くなります。

  ) 乾燥具合は水蒸気の量によって推察されます。

   窯の扉を少し開けたり、火色を見る穴を開けて水蒸気を排出します。電気窯であれば、水蒸気

   を逃がす穴があります。この穴から蒸気が出てきます。最初は少しですが、ある温度になると

   急激に量が増え、300℃を超える頃から水蒸気は激減します。これは季節に関係ありません。

   尚、冬場であればより明確に水蒸気が確認できますが、真夏であっても確認できます。

   a) 窯の上部が一番温度上昇が早いです。そして徐々に下部の温度が上昇します。

   b) 素焼きの場合、本焼きと異なり、窯の中の温度を一定にする様な焚き方は少ないです。

    それ故、窯焚き直後の窯の中の温度差は大きいく、100℃以上ある事も稀ではありません。

    300℃で水蒸気量が激減しますが、窯の中の作品全体が300℃以上になるには、窯の上部に

    設けられた温度計では、約400℃位に表示した場合、全体が300℃以上になると考えるのが

    妥当です。そこで蒸気穴や、扉を閉じるのは400℃を目安にします。この頃から、どんどん

    温度上昇させても、ほとんど問題ありません。

   c) 560~580℃程度で温度上昇は鈍ります。これは、素地から結晶水が抜け出る温度です。

    結晶水が蒸発する為に、吸熱反応で熱が温度上昇に寄与しない状態で、温度上昇が」押さえ

    られます。強引に温度上昇させると、素地に「ひびや割れ」が発生すると言われています。

    この温度範囲を無事に乗り越えれば、目標温度まで一気に温度上昇しても問題ありません。

 ④ 素焼きの特徴は、重ね焼きが出来る事です。それ故、本焼きに比べ2倍程度窯詰めが可能との

   事です。

以下次回に続きます。

素朴な疑問 104 陶芸での失敗事例8?

$
0
0
6) 素焼きの失敗事例。(前回の続きです。)

 ④ 素焼きの特徴は、施釉していない為、重ね焼きが出来る事です。それ故、本焼きに比べ2倍程度

   窯詰めが可能です。

  ) 重ねて焼くにも、注意しないと思わぬ失敗が起こります。

   a) 重ね焼きできる数にもおのずと、限界があります。

    即ち、下で支える作品は、上に載る重量に耐える必要があります。下から支える作品は、

    やや肉厚でしっかりした作品を選ぶ事です。

    又、支える場所によって強度に差がでます。一般には底面(見込み部)で受ける事が多いです

    この場合は比較的安定して、上に積む事ができます。底の広い器であれば、3~5個程度

    重ねる事が可能です。特に入れ子状態の作品では、比較的多数を重ねる事があります。

   b) 口縁で支える場合には、1又は2個程度までです。

    壷などの場合、口縁の真上に他の作品を逆さにして載せて焼く事があります。当然口縁の大きさ

    が同じ寸法である事が条件です。更に、逆さに載せた作品の底(高台)に合わせて、他の作品を

    重ねる事もあります。

   c) 重ねは上下方向だけでなく、立て掛ける様にして重ねる事もできます。

    板皿や丸い大皿などは重ねて、他の作品に寄り掛からせて焼く事があります。背の低い作品は

    一枚一枚平らに並べると、棚板の数が増え火の回り(熱の周り)に斑(むら)が出来易く

    なるからです。更に、窯の中の場所を多く占領するのを防ぎます。

   d) 立て掛けて焼成する場合、中央にやや背の高い壷などを置き、その周囲から均等に寄り

    掛かる様にします。更に、立て掛けた作品が倒れない様に、棚板の支柱等で「つっかい棒」を

    置きます。丸皿の様に回転する恐れがある作品の場合は、回転防止に支柱などを使います。

    尚、芯にになる作品が無い場合には、本焼きした壷などを使う事もできます。

   e) 重ねる事の弊害として、燃料を使う窯では、重なり部分で、不完全燃焼で煤(すす)が

     発生し、黒くなる事です。尚、煤は高台内の様に、外気が遮断されて部分にも発生します。

     この煤も、本焼きすれば、綺麗サッパリ無くなります。問題は、絵付けなどを行いたい場合

     表面が黒いと、絵柄や色の判別が難しくなる事です。その為、絵付けを行う大皿などは、

     一番外側に置き、煤が付くのを押さえる必要があります。

 ⑤ 素焼きは、素焼き以外に既存の作品が、煮汁や茶渋などで汚れた場合に綺麗にする働きも

   あります。漂白剤などで、汚れを取る方法もありますが、素焼きと共に焼成すれば、有機物

   である汚れは燃えてしまい、新品の様になります。逆に綺麗になり過ぎて、趣(おもむき)

   が消失し、面白みの無い作品になってしまう場合があります。

 ⑥ 素焼きで「ひび」等の傷が現れる事もあります。

   多くの場合、素焼き前からある傷が表面化しただけですが、素焼きで新たに出現した様な錯覚に

   陥ります。特に底の中央に現れ易いです。この傷は釉を掛けて、本焼きする事で、塞ごうと

   しても、巧くいきません。 むしろ本焼きでは傷口は広がってしまいます。

 ⑦ 素焼き焼成後の土の色は、素地の種類によって異なりますが、素焼きの鉢の様な色になります。

   同じ、素地であっても、焼成温度によって発色具合が異なります。しかし本焼きする事を前提と

   した作品であれば、色の違いはほとんど問題になりません。

 ⑧ 素焼きの作品は脆い(もろい)です。特に衝撃に弱く、他の物とぶつけると、確実に割れます。

   作品を持つ場合には、作品の底に手を添えて持てば、より安全です。

以下次回に続きます。
   

素朴な疑問 106 陶芸での失敗事例10?

$
0
0
7) 施釉の失敗事例。

 備前焼や信楽焼きなど、一部の焼き締め陶器以外は、施釉するのが一般的です。当然釉の発明

 (発見)前の焼き物である縄文や弥生式土器などは、釉が掛けられていません。

 ① 施釉陶器の場合、作品の形や大きさ等よりも、釉の発色の良し悪しが、作品の優劣を決める

   事も珍しくありません。発色が優れていれば、形が歪んでいたり、場合によっては、少々

   傷があっても、その作品は高く評価される事さえあります。

 ② 施釉する事は、その作品に衣(着物)を着せる事でもあります。「馬子にも衣装」の諺が

   有る様に、着物一つでその作品の見栄えが違います。それ故、釉を掛ける際には、予めどの

   場所にどの釉をどの様に掛けるかを、頭に入れてから実行に移した方が無難です。

 ③ 釉はガラスの仲間です。但し、一般に言われているガラスとは、若干異なります。

  主な原材料は、草木灰や長石、珪石とアルカリ金属類の混合物です。色釉と呼ばれる物には、

  鉄や銅、マンガン、コバルト、チタン等の酸化金属が添加されています。

  これに水を加えて攪拌した物を、素焼きした素地に吸い取らせる様にして、施釉します。

  釉の種類は素数千~数万種類もあると言われています。市販されている釉の種類も多いですいが

  自ら調合して、新しい釉を作り出す事も可能です。尚、その「レシピ」もインターネット等で

  調べる事が出来ます。

 ④ 釉は重ね掛けを行っても、釉同士を混ぜて使う事は、ほとんど有りません。

  釉は本来単体で所定の色に発色する様に、調合されています。他の釉を混ぜると、両方の中間色

  が出る訳ではありません。まるで関係の無い色になる事も多いです。しかも綺麗な色とは呼ぶ事

  の出来ない、汚い(見苦しい)色になる事が多いです。

 ⑤ 釉には厚掛け、普通掛け、薄掛けの施釉の掛け方があります。これは、釉の性質に依存し、

   その厚みで所定の発色になる様になっているからです。市販の釉にはこの表示がある物が

   多いです。(カタログ等からも、確認できます。)

  ) 薄掛け用の釉を厚く掛けてしまうと、「ボッテリ」した盛り上がり感になり、場合に

    よっては熔け不足になる場合もあります。

  ) 厚掛け用の釉を薄く掛けてしまった場合、本来の色にはなりません。又、ガラスの層が

    薄い為、表面が平滑にならず、「ザラツイタ」感じになり易いです。

    更に、厚く掛けた釉の上に、他の釉を薄く掛けると、後から掛けた釉が下の厚掛け釉に

    吸収され、発色しない事もあります。

  ) 釉は、主に石の粉を原料にしている為、直ぐ水に沈殿する性質があります。

    勿論、沈殿防止剤成る物も市販されていますが、残念ながら、十分な物はありません。

    それ故、施釉する前に、容器に入っている釉は、良く攪拌させて濃度を均一にして置かな

    ければなりません。攪拌機を使う事もありますが、一般に手を用いて掻き混ぜます。

    その際、手に付いた釉の量や、手の色等から濃度を確認します。ある程度経験が必要に

    なります。

  ) 二重掛けする場合、どちらの釉を先に掛けるかによって、発色の違いが見られる釉も

    多いです。例えば、流れ難い釉の上に、流れ易い釉を掛けると、後から掛けた釉が流れ文様

    となり、綺麗な模様になり易いです。逆に、流れ易い釉の上に流れ難い釉を掛けると

    下の釉に上の釉が混じり、全然異なる色合いになり易いです。それ故、前後関係を考慮に

    入れて施釉する必要があります。

 ⑥ 釉を掛けの失敗例。

以下次回に続きます。 

素朴な疑問 107 陶芸での失敗事例11?

$
0
0
7) 施釉の失敗事例。前回の続きです。

 ⑥ 釉を掛けの失敗例。

   釉を掛ける際作品を破損する。生の釉は同じ様な色の物が多く間違え易い。施釉の際釉の中に

   作品を落とす。流れ易い釉を厚く掛け過ぎ、棚板まで流れる。畳付きや底の釉を剥がし忘れる

   蓋物の蓋が取れなくなる、又は蓋が合わない、その他色々な失敗があります。順次述べたいと

   思います。

  ) 釉掛けの際、作品を破損する。素焼きまでは問題なかった物が、施釉する段で破損する

     事が時々起こります。

   a) 丼や鉢など容量の大きい作品(容器)に施釉する際、容器ごと釉の入っている器に

     全て沈めて、内外一度に釉を掛ける事があります。その際、内側に入った釉を作品を

     片手又は両手で持ち、斜めにして片側から釉を外に出します。完全に出し終えてから、

     手板に載せます。十分な器の釉が抜けきらない内に作品を持ち上げると、釉の重みで

     作品の縁が破損する事があります。特に口縁が薄造りの際には、注意が必要です。

   b) 容器に作品をぶつけて破損する。

     釉が入っている容器が小さい時、作品を中に入れる際や、中で動かしたりした場合に、

     容器に作品をぶつけて、破損する場合があります。特に高台内に施釉する際、釉を波立た

     せて、高台内に釉が掛かる様にする時は注意が必要です。

   c) 高台のある作品は高台を持って施釉する事が多いです。

     但し、高台が持ち易い形状に成っていないと、施釉途中で取り落とす事があります。

     釉の入った器内で取り落とした場合には、水分があるので比較的破損する事はありま

     せんが、それ以外の場所では、確実に破損します。又、施釉したばかりの作品は直ぐには

     触る事は出来ません。手板などを使います。この手板で取り落とす事もあります。

     手板に作品の底が2/3程度載れば安全です。更にこの手板をテーブルに載せる際にも、

     注意が必要です。手板を持つ手がテーブルの外に出る状態で水平にして、テーブルの上を

     滑らせて移動させます。

  ) 生の状態の釉は、同じ様な色の物が多いですので間違わない事です。

   a) 鉄系の釉には、鉄分を弁柄(べんがら)から取る事が多く、黒天目釉、油滴天目釉、

    黒マット釉、鉄赤釉、飴(あめ)釉、ソバ釉、柿天目、黄瀬戸釉、伊羅保釉などがあり

    ます。慣れないと見分けが付きません。

   b) 生の釉で白い釉には、透明釉、乳白釉、藁灰(わらばい)釉、白萩釉、白マット釉薬、

     志野釉、その他があります。

   c) 緑系の釉として、銅を使った、織部釉、青銅釉、青銅マット釉などがあります。

   d) 釉が入ってい容器には、名前や名札が付いているはずですので、それを確認すれば、

     間違える事は少ないはずです。間違い易いのは、同じ様な色の釉を同時に使う時で、

     柄杓(ひしゃく)等に取った釉を元の容器に移す際に、間違って他の容器に戻して

     しまう場合があります。

   e) 多くの場合、施釉した直後に窯詰めする事は少ないです。窯入れ時まで、釉の種類を記憶

     する事は難しいですから、記録を残しておきます。

     施釉した作品の色は似たり寄ったりですので、必ず紙切れ等に名前を付けて、作品の内側

     や側(そば)に置く事です。

  ) 作品全体に釉は掛けられません。即ち、棚板に接する部分には釉は塗れません。

   a) 塗ってしまった場合、窯出し時に作品と棚板がくっつき、剥がすのに苦労します。

    もし塗ってしまったら、ブラシ等で削り落とす必要があります。

    撥水剤を塗って、釉が掛けられなくする方法もあります。

   b) 底から数ミリ以内にも、釉は掛けられません。釉は高温で熔け流動性を持ちますので

    大なり小なり釉が流れ落ち、棚板まで流れる恐れがます。それ故流動性のある釉では

    5mm程度、他の作品では 2~3mm程度は、塗らない方が安全です。

以下次回に続きます。
Viewing all 836 articles
Browse latest View live