轆轤上や亀板上から、切り取った作品は、手板や桟板に移動するか、亀板の上にある程度
乾燥する迄そのままにして置きます。手板や桟板に移動する際や移動後に作品が歪む事も
多いです。
1) 湯呑やご飯茶碗程度の大きさの作品は、人差し指と中指で作った「チョキ」を上向きに
して、高台脇を左右から挟んで取り上げます。取る時は若干手前側に倒す様にします。
この取り上げる際に作品は歪み易いです。特に口縁が大きい程、高さが低い程、楕円形
に成る事が多いです。即ち、指と直角方向が長径に成ります。但し綺麗な楕円形に成る
訳ではありません。尚、取り上げる際には、手が滑らない様に、両手の「チョキ」の
内側の水分や泥は拭き取って置かなければなりません。この楕円を作らない方法として
一部の地域では、底を二重に切り、取り上げる際の影響が器に伝わらない様にする方法
を採っているそうです。 又下部の部分を挟めば、指痕は上部の底付近に付かないと
言う利点もあります。
2) 歪む原因は素地が柔らかい事と、肉厚が薄い事による物ですが、「チョキ」の指の
開き具合や、差し込む深さや指先の力の入れ方にも影響します。
当然ですが、底が斜めに切られた作品は、板に載せると更に歪みます。
板は、作品一個を載せる手板と、数個の作品を載せる細長い桟板があります。
いずれも狂いが少なくて軽く、洗っても乾燥の速い杉板が良いです。
尚、桟板は裏面に下駄桟をつけますが、下駄桟の無い物も使わいます。
3) 作品の移動はなるべく近距離で行います。即ち、手板は轆轤の直ぐ傍に置く事です。
桟板は幅は狭く(一例長さ90cm,幅20~30cm)、数個の作品が横一列に載る長手の
一枚板を使う事が多いです。手板は水平にして使います。水平でまいと作品は歪みます
取り上げた作品は、そのまま座ったままで手板や桟板に移動できる事が大切です。
手にもって「ウロウロ」するのは厳禁です。
作品間は適度に離し、作品同士が触れない様にします。
4) 口縁が楕円に成った作品は、作品の腰で直します。
直接、口縁を直接いじってはいけません。必ず失敗します。
楕円の長径方向の腰の部分を、両手の「チョキ」で若干上に上げる様にします。
一度で修正出来ない場合には場所を変えて直します。但し、何回も行うと、余計に形が
崩れる場合が多いから出来るだけ回数は少な目にします。
5) 口径に対し、底の面積が広い場合には、平らな板に置いた時、口縁が歪み易いです。
特に、大皿や大鉢に多い現象で、底径が大きいと、口縁に掛かる力が部分的に異なり
変形が起こり易いと思われます。その為、高台径は出来るだけ小さめにします。
但し、大皿の場合、底径が小さ過ぎると、口縁が「ヘタリ」ます。
6) 作品は削り作業に適する迄、手を触れない事です。何かの拍子で手や物がぶつかると
作品は変形す。尚あえて作品を変形させるのであれば、乾燥具合に応じて変形します。
乾燥が甘い程柔らかい曲線あり、乾燥が進む程硬い線になります。
以下次回に続きます。