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Channel: わ! かった陶芸 (明窓窯)
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素朴な疑問 82 窯を開けるまで解からない?8

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3) 焼成方法や焼成温度、焼成雰囲気に関する事項。

 ⑧ 焼成方法。(前回の続きです。)

  ) 温度が上昇する条件。

   a) 上昇しない原因を探る。

   ホ) 攻め焚きとは。

    酸化や還元焼成に入ると、燃料(電気量)を増やしたり、空気の供給量を増やす必要が

    起こります。この際の窯焚きを「攻め焚き」と言います。この炊き方で、釉の色が決定

    されると考えても良いでしょう。一気に設定温度まで、昇温したい処ですが、中々思う

    様にならず、苦労する処です。何度も話す様に、窯の中の雰囲気は熱量や空気量、廃熱量、

    更には、作品の量(少な過ぎても温度は上昇し難いです)などが良いバランスの時に、

    順調に温度上昇が起こります。   

   ヘ) 寝らし焼成とは。

    設定した温度まで達したら、その温度を一定時間保持する事で、窯内の温度を均一にする

    目的で行う作業を、「寝らし」と呼びます。但し、一定温度と言っても実際には、±数℃の

    範囲内になります。 一般に酸化焼成で行います。

    尚、前回お話した様に、陶器の場合には、1180℃以上では、窯内の雰囲気は釉の色に影響を

    与える事は有りません。但し、強い還元焼成の場合には、不完全焼成ですので、炭素粒子が

    残り釉を黒くする事に成りますので、炭素を取り除く為に酸化焼成するのが一般的な方法

    です。「寝らし」時間は長い場合には1時間ほどの場合もあります。窯の温度も均一には、

    窯の構造や大きさで時間も異なります。多くの場合10~30分程度が多い様です。

    結晶釉の様に流れ易い釉の場合、時間が長過ぎると、作品の表面から棚板まで釉が流れ落ち

    くっ付く場合がありますので、「寝らし」時間は短めにする方が安全です。

   ト) 寝らし焼成の仕方。

    「寝らし」は温度を一定に保つ事ですので、温度の上昇や降下は避けなければ成りなりま

    せん。 燃料を使う窯では、燃料の供給量は一定に保ちます。更に前回お話した様に強酸化

    焼成では、温度が上昇し難くなる現象を利用し、煙突の引きを強くします。

    それでも温度が上昇する様ですと、燃料の供給量を若干少なくします。その際注意する事は

    燃料を絞り過ぎるとたちまち温度が低下します。

   チ) 焼成状態の確認。

    窯の温度は熱電対温度計やゼーゲルコーンの倒れ方で判断しますが、確実な方法は窯の中に

    呉須等で下絵を施し、更に透明釉を掛けた色見本を入れ、引き出す事で下絵が綺麗に発色し

    ている事を確認する事です。小さな窯であれば1~2個で十分ですが、大きな窯では色見本

    をあちこちに置いて、その焼け具合(絵が現れている)を観察する事に成ります。

   リ) 冷ましも窯焚きの内。

    所定の温度になり、適度の時間の「寝らし」後に直ぐに燃料(電気)をストップする事が

    多いです。一般に黒い色の釉は急冷が良いと言われていまので、直ぐにストップします。

    但し、結晶釉の場合は、徐冷する事で結晶が成長しますので、燃料を少しづつ減らしゆっくり

    温度を下げる事です。釉の種類にもよりますが、1100℃程度まで徐冷すると良いと言われて

    います。窯の壁の厚みや窯の構造の違いがありますので、冷却スピードも経験から割り

    出して下さい。その後は完全に燃料を断ち冷却します。


以下次回に続きます。    
  

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