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Channel: わ! かった陶芸 (明窓窯)
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素朴な疑問 77 窯を開けるまで解からない?3

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2) 釉及び施釉に関する事項。(前回の続きです)

 ② 窯詰めに関する事項。窯詰めは、焼成する事と同様に大切な作業です。

   この窯詰め如何(いかん)によって、焼き物の良し悪しが決るとも言われる程です。

   又、窯詰めの方法を変化させると、当然焼き上がりにも変化します。

   作品が良く焼き上がる為には、窯の所定の位置(良く焼ける位置)に置く事と、その作品の

   周囲の環境も大きく関係します。窯の容積が大きくなるに従い、その窯特有の場所取りの

   問題が発生します。

  ) 窯には、各々の釉には、特等席的な場所が存在します。

    この場所に置けば、良い確率で希望の発色が見られる場所です。当然、新規の窯では解かり

    ませんが、窯焚きの回数が増えるに従い、経験的に自然と解かってきます。この特等席を

    見出す事が安定的な作品を作り出す一つの「こつ」です。

    この特等席の範囲が広い場合には、数個の作品を置く事が可能ですが、狭い場合には、

    一個のみと言う事もあります。

  ) 窯詰めでは、必要な量の作品が施釉済みになってから、一度に窯詰めを行う方法と、

    ある程度の量の施釉が済んだ段階で、順次窯詰めを行う方法があります。

    窯の容積が小さい場合には、前者の方法を取りますが、容積が大きい場合には、後者の

    方法を取る事が多いです。施釉の終わった作品は、触れただけで釉が簡単に剥がれ易く、

    「ホコリや塵」も悪影響を与えますので、速やかに窯に詰める事で、防ぐ事が出来ます。

    但し、後からだと特等席が埋まってしまっている場合もあります。

  ) 施釉された作品は、釉の性質毎に分類し、更に背の高さや横幅などの違いによって分類

    しておきます。これは、窯に余計な隙間を設けない為(即ち窯を有効に使う為)です。

    尚、大きな作品以外に、箸置きや、香合、ぐい呑みの様な小物も、焼成で大切な要素に

    成ります。上記と同様な理由であり、炎や熱の流れをコントロールする部材と成るからです

    それ故、なるべく作って置き、必要に応じて窯詰めします。

  ) 窯詰め前の作品の処置。

    特別な場合を除き、作品が棚板に接する部分(畳付き)に釉は塗れません。塗ってしまった

    場合は、落とす必要があります。更に、畳付き部分に「水酸化アルミナ」などの高温に熔け

    難い薬品に水を加えたものを塗り、棚板と作品の焼き付きを防ぎます。

  ) 窯詰めは、棚板を使うのが、一般的です。当然、窯詰めの前に窯内の掃除と、棚板の

   掃除が終わっている必要があります。窯内には、破裂した作品の欠片(かけら)が残っている

   場合(素焼き後に多い)や、倒れた棚板の支柱が残っている場合もあります。最悪の場合、

   倒れた支柱がガスバーナーの口を塞いでいる事もありますので、不用品は取り除いておく

   必要があります。棚板の掃除とは、以前に焚いた際、釉が棚板まで流れ落ちたり、作品から

   弾き飛ばされた釉の欠片が「こびり付いて」いる場合などです。この場合は、鏨(たがね)

    などで剥ぎ取り、その跡に「アルミナコーチング」を塗っておきます。

    尚、「アルミナコーチング」は、棚板を長持ちさせる働きもあります。

  ) 窯詰めの実際。

以下次回に続きます。


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