8) 釉による装飾
② 釉による装飾の仕方の例。
) 多色塗り。(前回の続き)
c) 重ね塗りの方法。
イ) 釉を重ねて塗る方法にも、色々なやり方が存在します。更に、釉を重ねる場合、
どちらを下に(先に)塗るかによって、重ね合わせた部分の発色が異なります。即ち、
透明系の釉や明かり色を先に掛け、後から黒っぽい釉を塗ると、後から掛けた釉の色が
冴えます。逆に黒っぽい釉の上に透明釉や、明るく淡い色を掛けても、後に塗った釉の
色は冴えません。
ロ) 流れ易い釉薬の上に、他の釉を掛けると、上に載せた釉も一緒に流れ落ちてしまい
ます。その為、上の釉の発色は弱くなってしまいます。出来れば、流れ難い釉の上に、
流れ易い釉を使う方が綺麗に発色します。
ハ) 表面の全てを、一色の釉で仕上げた後、部分的に他の色の釉を塗る方法。
多色塗りで一番無難な方法です。但し下に塗った色により、上に載せた釉の色が変化
する事も珍しくありません。
ニ) 色数が増えるほど、重ねる順序を考えなければ成りません。当然幾重にも重なると
釉は厚みを増し、剥がれ易くなり、貫入が入り易くなります。更に釉の熔けも悪くなり
ますので、多くても2~3重程度に抑える必要があります。
ホ) 多重掛けで面倒なのは、釉をある範囲内で消費し、溜まった釉を外に棄てない時
です。即ち外に棄てるとなると、作品の端の一部にも釉が塗られる状態に成ります。
それを嫌う場合、適量の釉を表面に垂らし、薄く延ばします。余分な釉はスポイト等で
吸い取る必要があります。
へ) 細かい模様を釉で表現する事は難しいです。釉が熔けるて一時液体になる事で、
平らに広がったり、垂直の部分では流れ落ちて、模様が乱れて変化するからです。
細かい模様の場合、筆塗りの方法か、スポイト掛け、吹き掛けの方法に成ります。
筆塗りでは濃度の斑(むら)が出易く、スプレー掛けでは、細かいマスキングが必要に
成ります。その点、スポイト掛けでは点から線、更に面の状態に塗る事が出来ます。
ト) 多色塗りの場合、下の釉が乾いた後に塗るのが基本ですが、場合によっては、
下の釉が濡れている状態で、重ね塗りする事もあります。当然、釉の境界線では、
釉が滲みますが、これも一つの見所と成るかも知れません。
更に、この技法を積極的に応用したのが、釉によるマーブル模様です。
作業の方法は、泥漿(でいしょう)による化粧掛けと同様です。又、単に作品を振った
り、傾けるだけでなく、筆などで表面を掻き混ぜる方法もあります。
当然ですが、釉を重ね塗りを繰り返す程、素地の吸収力は弱くなり、釉の乾燥は
遅れます。但し、素焼きをした作品であれば、素地自体が弱くなる訳ではありません。
チ) スポンジを用いて施釉する。
スポンジに釉を含ませ、作品の表面に押し当て、判こ(印)の様に使う方法です。
スポンジにも目の細かい物から、粗い物まで色々存在しています。又、スポンジを
好みの形にカットし模様にする事も出来ます。スポンジの押し付ける力の強弱で釉の
濃度もある程度調節できます。
最後に注意事項として、施釉する際、作品の何処を持てば良いかを念頭に入れて作業する事です
無計画ですと、持つ場所が無くなってしまう場合もありますし、不用意に指跡を残す事にも
成りかねません。
② 釉による装飾の仕方の例。
) 多色塗り。(前回の続き)
c) 重ね塗りの方法。
イ) 釉を重ねて塗る方法にも、色々なやり方が存在します。更に、釉を重ねる場合、
どちらを下に(先に)塗るかによって、重ね合わせた部分の発色が異なります。即ち、
透明系の釉や明かり色を先に掛け、後から黒っぽい釉を塗ると、後から掛けた釉の色が
冴えます。逆に黒っぽい釉の上に透明釉や、明るく淡い色を掛けても、後に塗った釉の
色は冴えません。
ロ) 流れ易い釉薬の上に、他の釉を掛けると、上に載せた釉も一緒に流れ落ちてしまい
ます。その為、上の釉の発色は弱くなってしまいます。出来れば、流れ難い釉の上に、
流れ易い釉を使う方が綺麗に発色します。
ハ) 表面の全てを、一色の釉で仕上げた後、部分的に他の色の釉を塗る方法。
多色塗りで一番無難な方法です。但し下に塗った色により、上に載せた釉の色が変化
する事も珍しくありません。
ニ) 色数が増えるほど、重ねる順序を考えなければ成りません。当然幾重にも重なると
釉は厚みを増し、剥がれ易くなり、貫入が入り易くなります。更に釉の熔けも悪くなり
ますので、多くても2~3重程度に抑える必要があります。
ホ) 多重掛けで面倒なのは、釉をある範囲内で消費し、溜まった釉を外に棄てない時
です。即ち外に棄てるとなると、作品の端の一部にも釉が塗られる状態に成ります。
それを嫌う場合、適量の釉を表面に垂らし、薄く延ばします。余分な釉はスポイト等で
吸い取る必要があります。
へ) 細かい模様を釉で表現する事は難しいです。釉が熔けるて一時液体になる事で、
平らに広がったり、垂直の部分では流れ落ちて、模様が乱れて変化するからです。
細かい模様の場合、筆塗りの方法か、スポイト掛け、吹き掛けの方法に成ります。
筆塗りでは濃度の斑(むら)が出易く、スプレー掛けでは、細かいマスキングが必要に
成ります。その点、スポイト掛けでは点から線、更に面の状態に塗る事が出来ます。
ト) 多色塗りの場合、下の釉が乾いた後に塗るのが基本ですが、場合によっては、
下の釉が濡れている状態で、重ね塗りする事もあります。当然、釉の境界線では、
釉が滲みますが、これも一つの見所と成るかも知れません。
更に、この技法を積極的に応用したのが、釉によるマーブル模様です。
作業の方法は、泥漿(でいしょう)による化粧掛けと同様です。又、単に作品を振った
り、傾けるだけでなく、筆などで表面を掻き混ぜる方法もあります。
当然ですが、釉を重ね塗りを繰り返す程、素地の吸収力は弱くなり、釉の乾燥は
遅れます。但し、素焼きをした作品であれば、素地自体が弱くなる訳ではありません。
チ) スポンジを用いて施釉する。
スポンジに釉を含ませ、作品の表面に押し当て、判こ(印)の様に使う方法です。
スポンジにも目の細かい物から、粗い物まで色々存在しています。又、スポンジを
好みの形にカットし模様にする事も出来ます。スポンジの押し付ける力の強弱で釉の
濃度もある程度調節できます。
最後に注意事項として、施釉する際、作品の何処を持てば良いかを念頭に入れて作業する事です
無計画ですと、持つ場所が無くなってしまう場合もありますし、不用意に指跡を残す事にも
成りかねません。