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Channel: わ! かった陶芸 (明窓窯)
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素朴な疑問 56 彫像とは?

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古来より、手捻りで人物や動物を模し大小の像が作られていました。我が国に於いても土偶や埴輪

などが作られていますが、我が国以外の地方(国々)でも同様な像が作られています。

多くは祭祀の際や、信仰の対象など、宗教的な目的で作られたと思われています。

現在最古の「やきもの」として、3万年以前に焼かれた供犠用の像も有るとの事で、焼成しない像は

それより遥か以前に存在していたと考えられています。但し、焼成していない像は、もろく壊れ易い

為、現在ほとんど見る事はできません。

又、現在でも粘土を片手で握り、目鼻を付けた「握り仏」を作っている方々もいます。

ほとんどの場合、現在では実用的というより、置物として使用されます。

1) 手捻りの技法の特徴。

  粘土で手捻りするには、当然加工し易い土と、適度に乾燥した土が必要です。

 ① 簡単な用具は使いますが、ほとんどは自らの手で作る事ができます。

  それ故、誰でも粘土遊びで、上手下手は別にして、動物などの像を作る事は可能です。

 ② 手捻りでは、微妙に形が歪む為、同じ形の物は出来ません。

 ③ 手捻りで行えるのは、粘土を引っ張る事、他の石や貝、木の葉等を押し付ける事、指や棒で

  突く事や、引っ掻く事、更には、土を丸める事、土を叩く事、両手で捏ね回す事など色々な

  技法があります。これらを複数使い、形や文様を着ける事が出来ます。

 ④ 彫塑は土を加えるながら形を作って行くのが一般的な方法です。

  その為、土を簡単に接合し、強度的にも丈夫にする方法が必要です。

  簡単な方法は、両方の粘土を圧着すれば十分ですが、乾燥の進んだ粘土の場合には、「ドベ」を

  糊代わりにして接着します。その際、接合部分には「ザラツカセル」必要があります。

  例えば、人物像の場合、身体を作り、頭部を載せ、手足を着けるという具合です。

 ⑤ 手捻りは仕上げが大切です。

  手で作った状態では、肌が荒れていますし、顔などの細かい部分の表情も、表現されておらず、

  表面に模様も着いていません。

  ) その像が何を表しているのかを見るには、全体像の他に、顔や手足、尻尾、角などの

    特徴が必要です。

  ) 細かい部分は、主に削り取る事で表現されます。

    現在では、鋭い刃物がありますので、少々乾燥した粘土でも、容易に切り取る事が出来ます

    又、表面に線状の文様や溝を付けて、表面に文様を付ける事も可能です。

  ) 表面を研磨する。

    滑らかな石で表面を撫ぜる事で、荒れた表面を滑らかにし、光沢を出す事もできます。

    又表面を濡れた布や皮で拭く事で、綺麗に仕上げる事も出来ます。

2) 中空(空洞)の作品。

  今まで述べてきた作品は、中心まで粘土で作る方法です。即ち無垢(むく)の作品です。

  しかし、大きな像になると、重くなるし中心まで乾燥しない為、焼成までに長い時間が必要に

  成ります。場合によっては破損します。そこで、中の土を取り除く中空の作品を作る必要が

  あります。

 ① 一度無垢で作った作品を中空にする。

  一般的には、若干乾燥させた作品を二分し、中の土を丸いカンナや、スプーンなどで掻き取り、

  適度の肉厚にします。その後に張り合わせて、元の形に戻します。

 ② バランスに注意。(特に単独で立つ像)

  無垢であった作品も中空にすると、バランスが崩れ不安定に成りますので、必ず確認する事です

  バランスが崩れて自立できない場合には、何らかの補修が必要です。  

 ③ 注意点は、中空であっても、どこか一箇所でも外に通ずる穴を開けておく必要があります。

   これを怠ると、作品が窯の中で爆発し、粉々になってしまいます。

   更に、出来るだけ全ての部分の肉厚を一定にする事です。

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