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Channel: わ! かった陶芸 (明窓窯)
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電動轆轤入門 9 土の中の空気を抜く

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2) 土の問題。(前回の続きです。)

 ? 轆轤挽きで、障害が出る頻度が多いのが、空気の混入です。一番大きな問題になります。

  轆轤挽きする際、土を練って空気を抜く事が大切です。一般に菊練の方法で空気を抜きます。

 ?) 空気を抜く理由。

  a) 轆轤挽きの際、空気が邪魔をし、土が部分的に伸ません。

    即ち、閉じ込められた空気は、変形したとしても、逃げ場がありませんので、肉厚を薄く

    する事が出来ません。

  b) 空気はまるで石が混入しているかの様に、硬い感じで指に当たってきます。

    その為、轆轤挽きに違和感を感じ、轆轤作業がスムーズに行きません。

  c) 空気は、肉厚が薄くなるに従い、現れてくる現象です。肉厚が厚い場合には、先ず見つける

    事は出来ません。それ故、轆轤作業中に空気を抜く処置をする必要があります。

  d) 大きな塊の空気は、乾燥による粘土の収縮に伴い、内部の圧力が高まります。

    場合によっては、破裂の恐れもでますが、意図的に空気を閉じ込めない限り爆発する事は

    有りません。

 ?) 空気を抜く方法。

  a) 轆轤挽きする以前の方法。

   イ) 一般に行う方法は、荒練りと菊練の方法です。

    大量の土は、足の踵(かかと)を使い、作業者が回転しながら、菊練状に練る方法もあり

    ますが、一般的には手を使います。菊練はある程度熟練をようする作業で、菊練をする事で

    逆に空気を閉じ込める事がありますので、注意が必要です。尚、詳細は後日お話します。

   ロ) 土を机などの板状の上に強く叩き付ける方法。朝鮮で行っている方法との事です。

    何度も下に落とす事で、内部の空気を表面に移動させ、最終的には表面の土の幕を破り

    外に逃がします。なるべく落とす高さを高くし、角度を変えて行います。

   ハ) 真空土練機(どれんき)を使う。

    土練機は、土の固さを均一化する事と、異なる粘土を均一に混ぜる機械ですので、本来

    空気を抜く事は出来ません。但し、真空土練機は、高価ですが空気を抜いてくれます。

   ニ) 細い糸で土の塊を乱雑に切る方法。

    但し、切っただけで空気が逃げる訳ではありません。要するに、空気の逃げ道を作った

    事になります。そこで上記の菊練を行えば、より容易に空気が抜けると言う事です。

  b) 土殺しの際に行う方法。

    土殺しの延べ上げの行為は、空気を上に逃がす行為も含まれています。

    それ故、両手を使い、両側から土を強く締め上げ、なるべく高くするのが「コツ」です。

    上手に、空気が抜けると「プチン」と言う音が聞こえる事もあるそうです。

  c) 土を伸ばす際に行う方法。(空気を潰す)

    上記で述べた様に、空気の発見は轆轤挽きしている途中で起こります。

    特に、肉厚が薄く成るに従い、指先で「はっきり」認識できる様になります。

    出来る位置は不定で、目で見ても空気の位置が確認できない場合が多いです。

   ・ 大きな空気の塊ほど見つけ易く、位置も解かります。その際には針を付き刺して空気を

     抜きますが、作品の形に応じて、内又は外側から突き刺し、必ず土の壁を貫通する事です

     その後、指で押さえて空気を抜きます。上手に空気が抜ければ、その部分の壁は凹みます

     凹まない場合は、再度行います。但し、凹んだ部分に土を追加してはいけません。

     濡れている状態では土同士が貼りつかない事と、付いたとしても滑らかに成りませんので

     かえって悪い結果に成ります。轆轤挽きで自然に滑らかになります。

   ・ 見た目で見つける事が困難な空気の場合。この状態が多いです。

     轆轤が回転している場合、指先で確認できるが、停止した轆轤では確認できない状態です

     轆轤をフりーの状態にし、手で轆轤が直ぐに止められる程度の回転させます。

     同時に指を空気の有りそうな所に置き、空気らしき物が指先に当たる所で轆轤を止め

     針で突き刺します。但し、この方法も結構難しく、空気の位置が発見できない場合が多い

     です。

   d) 空気が壁の内側にある場合、作品の径を細くする事で、内側に凸状の膨らみが出来る

     場合があります。これは空気が壁側に押し出された跡ですので、ここを針で通して空気を

     抜きます。

   e) どうしても、空気の位置が見つからない場合もあります。

     そんな時は、轆轤を回転させながら、空気が有りそうな高さの部分に、針で数本の深めの

     筋を付けます。その後轆轤挽きしてその筋を消しながら、空気が抜けた事を確認します。 

   f) どの様な方法でも空気が抜けない場合があります。

     大抵の場合、細かい空気の塊が多数存在している状態です。確かに轆轤作業はし難い

     ですが、この状態で作品を挽き終えても、問題は無いと思われますので、無視しても良い

     レベルの空気の量と思われます。

以下次回に続きます。    

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