? 古常滑焼の特徴
?) 古常滑焼の技法。
a) 成形方法。各時代を通して、紐造り成形、輪積成形、轆轤成形の三種類があります。
イ) 紐造りは大甕などの、大物成形には必要不可欠な技法です。
太さ5cm程度の粘土紐を肩に掛け、成形台を回りながら粘土を螺旋状に積み上げる
方法で、作品の内側に螺旋状の痕跡が見られる大甕もあります。
背の高い物は、下部が乾燥したらその上に乗せる方法で、数度に分けて行います。
繋ぎ目は接着が弱い為、叩き締めを行います。作品によっては外側に数段の押印がある
物がありますが、これは土を締めた跡です。
尚、この方法は現在でも基本的技法として、用いられています。
ロ) 輪積成形は、比較的小さな壷類(三筋壷など)の成形方法です。
ドーナツ状の粘土紐を、積み重ねて行きます。その他は紐造り成形と同じ工程になります
ハ) 轆轤成形。常滑では「山茶碗」と「山皿」の成形に限られています。
但し、轆轤の実物は見つかっていませんので、どの様な轆轤であるかは不明です。
?) 前回述べた様に、3,000基を越える窖窯が存在し、大量の陶器が主に海路で、全国に
送り出されています。その種類も多肢に渡っていますが、時代毎に幾らかの違いがあります
a) 初期の頃は、宗教用の特殊な容器として、貴族、社寺、武士階級で用いられています。
特に、各地で出土する常滑焼は、経塚や古い墓などの宗教遺跡の物が圧倒的に多いです。
・ 経筒外容器: 12世紀に多く作られます。高さ30〜48cm程度で、蓋が付いて
います。尚、次回述べる渥美焼きには、国宝級の経筒もあります。
b) 知多半島で最も多く生産されたのは、山茶碗です。次いで、山皿、片口鉢(大平鉢)で
食器用又は調理用として使われていた物と思われます。
・ 山茶碗:灰白色を呈する無釉の焼き物で、口径15cm、高さ5〜6cm程度です。
付け高台を持ち、薄手に出来ています。
・ 山皿: 山茶碗と同じ形態で、同時に焼かれた物です。径8cm程度です。
・ 片口鉢: 口径30cm程で、1(又は3)箇所に注ぎ口を設け、内側には卸目
(おろしめ)は有りません。(擂鉢では無い)高台も有りません。
c) 大甕は古常滑焼を代表する焼き物です。13〜14世紀に掛けて鎌倉付近や西日本の
各地から大量に出土します。
d) その他の器。水瓶、短頸壷、広口壷、小壷、耳付壷、水注、羽釜(はがま=煮炊き用)、
硯(すずり)、器台、瓦などがあります。
?) 焼成技術。無釉の作品を窖窯(あながま)で焼成し、自然釉が降り掛かる事になります。
大甕を焼く様になる14世紀に成ると、窯の構造に変化が見られます。
a) 従来ですと、分焔柱の工夫はあるものの、基本的には直炎式の燃焼方法である為、大甕の
下部への過剰燃焼で、焼き崩れの現象が起こり易かったです。
b) 窯を倒炎式に改良する。作品の前に急斜面の分焔柱を設け、燃焼室の炎が分焔柱に当たり、
急斜面を上り焼成室の天井に当たり、そのまま又は一部は下降しながら煙出口に至る経路を
たどる事で、下部の過熱を防いでいます。但し、この事で口から肩に掛けてが過熱し崩れる
事もあった様です。
c) 自然釉は薪の灰によるもので、1200℃以上の高温で熔け、ビードロ状の緑の流れに
成るものや、光沢の無い黄褐色が肩に振り掛かる場合もあります。
どの様に成るかは、窯任せです。鉄分を含む常滑の土は赤茶(茶褐色)色に発色しますので
自然釉と一体と成って、魅力的な作品と成っています。
以下次回に続きます。
?) 古常滑焼の技法。
a) 成形方法。各時代を通して、紐造り成形、輪積成形、轆轤成形の三種類があります。
イ) 紐造りは大甕などの、大物成形には必要不可欠な技法です。
太さ5cm程度の粘土紐を肩に掛け、成形台を回りながら粘土を螺旋状に積み上げる
方法で、作品の内側に螺旋状の痕跡が見られる大甕もあります。
背の高い物は、下部が乾燥したらその上に乗せる方法で、数度に分けて行います。
繋ぎ目は接着が弱い為、叩き締めを行います。作品によっては外側に数段の押印がある
物がありますが、これは土を締めた跡です。
尚、この方法は現在でも基本的技法として、用いられています。
ロ) 輪積成形は、比較的小さな壷類(三筋壷など)の成形方法です。
ドーナツ状の粘土紐を、積み重ねて行きます。その他は紐造り成形と同じ工程になります
ハ) 轆轤成形。常滑では「山茶碗」と「山皿」の成形に限られています。
但し、轆轤の実物は見つかっていませんので、どの様な轆轤であるかは不明です。
?) 前回述べた様に、3,000基を越える窖窯が存在し、大量の陶器が主に海路で、全国に
送り出されています。その種類も多肢に渡っていますが、時代毎に幾らかの違いがあります
a) 初期の頃は、宗教用の特殊な容器として、貴族、社寺、武士階級で用いられています。
特に、各地で出土する常滑焼は、経塚や古い墓などの宗教遺跡の物が圧倒的に多いです。
・ 経筒外容器: 12世紀に多く作られます。高さ30〜48cm程度で、蓋が付いて
います。尚、次回述べる渥美焼きには、国宝級の経筒もあります。
b) 知多半島で最も多く生産されたのは、山茶碗です。次いで、山皿、片口鉢(大平鉢)で
食器用又は調理用として使われていた物と思われます。
・ 山茶碗:灰白色を呈する無釉の焼き物で、口径15cm、高さ5〜6cm程度です。
付け高台を持ち、薄手に出来ています。
・ 山皿: 山茶碗と同じ形態で、同時に焼かれた物です。径8cm程度です。
・ 片口鉢: 口径30cm程で、1(又は3)箇所に注ぎ口を設け、内側には卸目
(おろしめ)は有りません。(擂鉢では無い)高台も有りません。
c) 大甕は古常滑焼を代表する焼き物です。13〜14世紀に掛けて鎌倉付近や西日本の
各地から大量に出土します。
d) その他の器。水瓶、短頸壷、広口壷、小壷、耳付壷、水注、羽釜(はがま=煮炊き用)、
硯(すずり)、器台、瓦などがあります。
?) 焼成技術。無釉の作品を窖窯(あながま)で焼成し、自然釉が降り掛かる事になります。
大甕を焼く様になる14世紀に成ると、窯の構造に変化が見られます。
a) 従来ですと、分焔柱の工夫はあるものの、基本的には直炎式の燃焼方法である為、大甕の
下部への過剰燃焼で、焼き崩れの現象が起こり易かったです。
b) 窯を倒炎式に改良する。作品の前に急斜面の分焔柱を設け、燃焼室の炎が分焔柱に当たり、
急斜面を上り焼成室の天井に当たり、そのまま又は一部は下降しながら煙出口に至る経路を
たどる事で、下部の過熱を防いでいます。但し、この事で口から肩に掛けてが過熱し崩れる
事もあった様です。
c) 自然釉は薪の灰によるもので、1200℃以上の高温で熔け、ビードロ状の緑の流れに
成るものや、光沢の無い黄褐色が肩に振り掛かる場合もあります。
どの様に成るかは、窯任せです。鉄分を含む常滑の土は赤茶(茶褐色)色に発色しますので
自然釉と一体と成って、魅力的な作品と成っています。
以下次回に続きます。