1) 轆轤で大皿を作る。
? 轆轤で大皿を挽く。
?) 形を作る前の確認。
周囲の土手の高さをどの程度迄挽き上げるかは、以下の条件によって変化します。
a) 張り出し角度: 底面より角度が急に張り出す場合(皿の深さが深い)には、張り出す量を
多く取ることができます。逆に水平に近い角度では大きな寸法は取れません。
角度が急であれば、下の土が上部の重みを支える事が出来るからです。
・ 例えば10cm挽き上げた土を45度と30度の角度で開いた時の張り出し寸法は以下の
様になります。(但し湾曲せずに、直線的に逆「ハの字」の場合です。)
45度の角度で張り出すとすれば、張り出す寸法は10/√2=7.07cmとなり、直径で
約14cm大きくなります。同様に30度の角度では10√3/2=8.66cmで直径で約
17.32cm大きくなります。どの位の大きさに成るかは、色々の条件で変化しますので、
出来るだけ高くしておき、形作りの際に、大きければ徐々にカットして行く方法がベスト
です。肉厚もやや厚めにしておき、全体の様子を見ながら、薄くする方法が良いでしょう
b) 土の種類、肉厚、形:
イ) 土には肉薄でも腰のある物や、厚くないと形を保持できない物があります。
特に、赤土などは制作時には余り問題になりませんが、耐火度が低く高温では、腰が
無くなる物が多いです。
成形時に問題の無かった作品も、本焼きで変形する事も多いです。
ロ) 玉縁(たまぶち)の様に、口を肉厚にすると縁が変形(垂れる)し易いです。
ハ) ラッパ状に急激に開く形も危ない形状と言えます。
やや御椀形の様に内側に丸くなった形の方が安全です。
側面が急に張り出す形や、西洋皿の様に、途中のカーブが変化する形の場合は皿の
深さを浅くできません。
c) 水分の含有量: 轆轤作業が長引くと、土は水を吸って軟らかくなり、腰が無くなります。
制作時には固めの土を使うとしても、時間が掛り過ぎると、水を吸いますのでなるべく
水は使わず、「泥=ドベ」を使う事です。
?) 形を作る。
a) 形作りは「手、指又はコテ」を使って行います。広い面積を一応に綺麗に仕上げるには、
「コテ」が向いています。
b) 形を作る際、根元から作る方法と、口縁の寸法まで広げてから、根元に向かって形を
作る方法があります。口に向かってなだらかに変化する曲面の場合には、前者の方法を
取りますが、又、西洋皿の様に、縁が平行に近い形の場合、この部分は一番最後に
します。胴に丸みのある湾曲した形の場合、口の直径を決めてから、徐々に胴を膨ら
ませます。
c) 轆轤の回転速度は、径が大きくなるに従い、遅くする必要があります。遠心力は半径に
比例しますので、径が大きくなるに従い、遠心力(外に向かう力)は増え最悪、全体が
振り回されてしまいます。
d) 最後に口縁を革で拭いて土締め、綺麗に仕上げます。
縁の下側を親指で支えながら、親指と人差し指の間の革で摘む様にして拭きます。
上からの力が強過ぎる場合、縁が下に落ちてしまい、傘が「お猪口」に成る様な状態に
なりますので、注意が必要です。
e) 亀板と皿の境目に「竹へら」を入れ余分な土を取り除き、切り糸が入る利易くします。
糸を入れるタイミングは、成形直後が一番やり易いのですが、乾燥とともに縁が持ち
上がり、変形する場合が多いです。その故、変形を元に戻す為に再度轆轤に載せ、
轆轤挽きする事があります。この様な場合は、糸を入れずに、修正後に糸を入れます。
? 皿作りの注意点。
以下次回に続きます。